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ウクライナ情勢-激戦地アヴディイフカのロシア軍突出と対砲兵戦へのランセットドローンの投入

2023-11-15 07:00:30 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 砲兵精度の低さを補っているのかという素朴な疑問と火砲の射程をどの程度と見積もってランセットドローンを投入しているかが気になります。

 ロシア軍は対砲兵戦へ火砲ではなく小型無人機自爆攻撃を優先使用している、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月1日付発表において概要を解説しています。自爆由生無人機はランセットドローンとも呼ばれるもので、ロシアではザラアエログループが製造を担当、この企業は偵察用小型無人機オルラン10の製造も担当しているとのことです。

 ランセットドローンはロシア軍にとり、野砲が命中精度の低さから優先目標に対して多数の弾薬を必要としつつ弾薬使用規模に見合う効果が得られない状況に対して高精度の装備として認識されていて、特に対砲兵戦ではウクライナ軍の火砲という点目標に有用な装備となっているという。ロシア軍は上記の通り過去数か月間で対砲兵戦を一新しました。
■S-400ミサイル撃破
 ウクライナへのF-16教育が開始されている中でウクライナ空軍を脅かす地対空ミサイルに打撃が加えられたもよう。

 ウクライナ軍はロシア軍のS-400地対空ミサイルシステムを少なくとも4基破壊したとみられる、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月1日付最新情報が状況を報告しています。既に10月26日のロシア国内報道でルハンスク州において3基のS-400ミサイルシステムが破壊されたとしていて、ウクライナ軍は更に1基をクリミアで破壊した。

 ロシア軍は戦域航空優勢確保に地対空ミサイルを重視しており、射程の大きなS-400ミサイルが短期間で複数破壊されたことは航空優勢への不確定要素を示すとともに、運用に一定の練度が必要とされる広域防空システムが操作要員とともに失われたことは、その補填が簡単ではない事を示す。S-400は対空用と共に地対地用にも用いられています。
■アヴディイフカ再攻撃
 かなりの激戦になっている。

 ロシア軍はアヴディイフカ再攻撃に際し危険な突出部を形成している、軍事作戦において突出部は側面を突かれる危険と同義であり側面攻撃に備えた陣形が求められるが、11月1日時点でのロシア軍はこの慎重さを伴わなかったと思われ、ウクライナ軍はロシア軍側面を通るH20高速道路から1㎞以上浸透し、突出部の分断に成功しつつあるもよう。

 アヴディイフカでのロシア軍側面攻撃の成功可否については現在分析中であるものの、ロシア軍攻撃軸は突出部先端においてクバンアルタとクラスノホリフカ北方及び西方の三方向攻撃に集中しており、H20高速道路からのウクライナ軍分断が成功した場合、アヴディイフカ攻撃の主力を一気に殲滅できる可能性が出ており、注視すべき概況です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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