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八尾駐屯地で陸上自衛隊ヘリコプター墜落! 搭乗していた4名全員が負傷

2010-10-03 19:29:44 | 防衛・安全保障

◆UH-1が定期整備後の試験飛行で墜落

 最初に、上越市で震度五弱の地震があり、有感地震が昨日から続いている事もあり気象庁は警戒を呼び掛けています。

Img_9376  こうしたなか、今朝、陸上自衛隊八尾駐屯地でヘリコプターが墜落した、という一報が飛び込んできました。演習場での墜落と異なり、試験飛行の為に駐屯地でホバリングを行っている最中の墜落で、死者が出なかった、ということがなによりも不幸中の幸いといえるかもしれません。

Img_9526  UH-1はアメリカのベル社が設計したヘリコプターで陸上自衛隊はB型の導入が1963年より開始され、拡大改良型のUH-1Hを1973年から運用開始、富士重工がより強力に改造したUH-1Jを1993年から運用開始、取得総数は350機以上、現在も150機以上が運用されています。陸上自衛隊の主力ヘリコプターとして方面航空隊、師団飛行隊、旅団飛行隊に配備され、人員輸送、物量輸送、負傷者搬送、空中消火等などの防衛や災害派遣、民生協力の任務に欠く事の出来ない重要なヘリコプターです。

Img_9384  まず事故の概要について、その状況を時事通信記事を引用してみてみましょう。陸自ヘリ墜落、4人負傷=駐屯地でホバリング中-大阪・八尾・・・ 3日午前8時45分ごろ、大阪府八尾市の陸上自衛隊八尾駐屯地で、UH1多用途ヘリコプターが墜落した。陸上幕僚監部や同駐屯地によると、ヘリには男性隊員4人が搭乗しており、いずれも負傷して近くの病院に運ばれた。

Img_9383  1人が一時意識不明になったが、命に別条ないという。陸自は航空事故調査委員会を設置し、原因を調べている。 陸幕などによると、搭乗していたのは、機長の2尉(30)、副操縦士の3尉(28)と整備員の3曹2人。 同駐屯地によると、ヘリは先月29日から、飛行時間50時間ごとに行われる定期整備を行っていた。この日は整備後に異常がないかを確認するため、空中で停止するホバリングをしていた際に落下したという。(2010/10/03-18:46http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2010100300027&j1

Img_82261  記事から類推するに、八尾駐屯地の滑走路付近でホバーリングを行っていたのでしょう。エンジンが停止した場合でもヘリコプターは惰性で不時着することが出来るのですが、何らかの原因でバランスを崩すと墜落してしまいます。陸上自衛隊は航空事故調査委員会を設置して調査中とのことですので詳細を待ちましょう。

Img_8321_2  一方でこの種の事故が発生しますと同じ要員での事故の発生を抑止する観点から同型機種の飛行を原因が判明するまで差し止めとなります。訓練計画や定期整備への回送飛行にも影響が出てきますし、また自衛隊関連行事での飛行展示も事故の関係で自粛、ということが過去、行われています。

Img_7990  陸自ヘリ墜落で4人重軽傷、大阪・八尾:大阪・八尾市の陸上自衛隊八尾駐屯地のヘリコプターが敷地内に墜落し、隊員4人が重軽傷を負いました。 「陸上自衛隊の中型ヘリが墜落しています。後ろのテール部分もへし折れています」(記者) 3日午前8時47分、大阪・八尾市の陸上自衛隊八尾駐屯地の敷地内で、定期整備を終えたヘリコプターが整備後のテスト飛行を行っていたところ、機体から突然大きな音が響き、墜落しました。

Img_9579  ヘリには操縦士2人と整備士2人の4人が乗っていましたが、副操縦士(28)が脳挫傷の重傷、ほかの3人も頭部を打撲するなどしました。墜落したのはUH1H型という機体で、地上およそ10メートルの高さでホバリングを行っていました。 「クルクル旋回して、後ろの一部分が飛んだんです。落ちたのは頭からです」(目撃者) 「ドンドーンと2回(音が)して、エンジンの音が聞こえなくなった。おかしいなと思った」(近所の人) 陸上自衛隊は航空事故調査委員会を設置し、墜落原因を詳しく調べています。(03日17:31)http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4541521.html

Img_3294  記事には映像があるのですが、UH-1の特徴ある機首部分が完全に潰れ、右側を下に横倒しとなっています。完全に破壊、文字通り全損です。尾部は圧し折れ、ローターは消し飛び、消火剤と見られる白泡に覆われています。よくこれで死者が出無かったものだ、と思わせるものですが、ヘリコプターは回転翼が生む揚力により飛行するという特性上、軽量化されるとともに、脆弱化した部分を緩衝材として墜落時の乗員救命に充てる工夫が凝らされています。

Img_9492  航空機の墜落時に恐ろしいのは火災ですが、飛行場には消防車が滑走路脇に前進待機していますし、エンジンへの燃料供給を搭乗員が瞬時に停止したからでしょうか、火災には至っていません。数年前、相浦駐屯地で展示中に生じた墜落事故でも緊急時に即座の冷静な判断で被害拡大を阻止しています。前述のように陸上自衛隊の任務遂行上、重要なヘリコプターですから、願わくば迅速な原因究明とともに、防衛に孔のあく事のないよう飛行再開を祈念したいです。

HARUNA

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2 コメント

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副操縦士の方は重症ということですが、ご回復をお... (KGB)
2010-10-04 10:41:04
副操縦士の方は重症ということですが、ご回復をお祈りします。
機体の損傷状況見ると死者が出なかったのは不幸中の幸いで、良かったと思います。
事故機は旧型のUH-1Hということですが、今回の原因に直接結びつくかは?ですが、このクラスの機体も双発が趨勢ですね。
次期多用途ヘリの開発もスタートするようですが、早期の更新が望まれます。
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KGB 様 こんばんは (はるな)
2010-10-05 00:53:22
KGB 様 こんばんは

状況の写真を見ますとかなり大きな損傷ですから、ヘリコプターというのは墜落に弱いのだなあ、と再度認識しました。

双発化ですが、行いますと自動的に整備量も増大しますし、単価と維持費に跳ね返ります。このあたり、取得数か性能か、難しいところではないでしょうか。
返信する

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