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【京都発幕間旅情】彦根城(滋賀彦根)天守閣に三重櫓一望,紅葉に浮かぶ晩秋初冬移ろう城郭

2020-12-10 20:00:30 | 旅行記
■彦根城は曇天の紅葉を巡る
 彦根城、城郭を数多めぐっていましても成程天守閣は三層ではあるのですが改めて大きな城郭であると唸らされるところです。

 彦根城。近江は琵琶湖を眼下に収める日本屈指の名城は師走の寒風とともに鮮やかな紅葉の季節を迎えています。晩秋から初冬へと映ろう今日この頃は諸事情から大手振って登城探訪とは中々参りませんが、複合式望楼型三重三階構造の天守を仰ぎつつ散策も一興です。

 東海道本線彦根駅、此処は新快速停車駅であると共に近江鉄道彦根駅とも隣接していまして、この彦根駅が東海道新幹線米原駅から新快速で一駅なのですが、その駅前から、いや東海道本線の車窓からも見えるのが彦根城です。駅前からも望見できますが、歩み進めた。

 連郭式平山城という彦根城は、城郭に上り散策せずとも、その広い縄張りに沿って長く歩みで踏みしめつつ天守閣を仰ぐ探訪ならば、そう人混みに難渋する事もありませんし、井伊直継築城の元和8年こと西暦1622年の城郭は一周巡るだけでいろいろその情景が変る。

 金亀山という標高50mの山頂に築かれた城郭は現存天守であり国宝天守でもある。しかし天守閣は城郭の一部に過ぎず連郭式平山城とは壮大な永久築城城塞複郭陣地なのですが、登り石垣として牛蒡積という野面積石垣が広がり、見える石垣も位置によって様式が違う。

 掘割は外堀と内堀とを分けていまして、その道中には桜の季節などに乗っても眺めても面はゆい遊覧船が二艘係留されているのですけれども、改めて城郭の規模に唸らされるとともに、歩み進めます。天守閣は小ぶりですが、やはりこの道中、馬か車を呼びたくなった。

 野面積石垣という強度を重視した石垣と共にもう一つ、落し積みという近接戦闘に対応する為の土塁を石垣として整備した郭もありまして、これは石垣まで接近を許した場合に足場とされないように、若しくは蹴落として一種の人口落石を誘発する為に用いるともいう。

 琵琶湖と金亀山の間に立地する彦根城は、いまでこそ干拓によりこの琵琶湖との距離が3km程に隔てられているのですが、松原内湖と入江内湖と連絡していたようで、今でこそ琵琶湖の水運は鉄道と道路に置換えられているも、後方連絡線に配慮した城郭とわかる。

 玄宮園と楽々園という庭園がありました、この付近からも天守閣は見渡す事が出来ます。興味深いのは琵琶湖の一部であった松原内湖とこの二つの庭園が連絡していたという事で、遊興の場と思わせる庭園でも一つの集積地や策源地として用いる配慮が為されていたこと。

 本丸、二ノ丸、三ノ丸と北側に山崎曲輪という、築城当時はこの三つの複郭を構成していたようなのですが、更に西ノ丸と山崎曲輪に三重櫓を構成していまして、ここは防御拠点としても特火点としての攻撃拠点にも用いられていたようで、櫓も一部が現存しています。

 三重櫓といいますと小規模な天守閣のような迫力を醸すところですが、残念ながら山崎曲輪三重櫓は明治初期に破却されたといいまして、むやみに再現を求めるところではないのですが最盛期の彦根城というものも見上げた方の日記などを読んでみたいところですね。

 太鼓門及び続櫓や天秤櫓が有名なところではありますが、ここは登城しませんと見えない立地にあります。ただ、考えてみますと築城当時には既に攻城用の大筒は開発されているものですので、地形上の遮蔽に掩蔽する、という発想からはある種当然といえましょう。

 紅葉の季節。実のところもう少し天候の良い日程を散策に充てていましたらば、紅色の木々に白亜の城郭と更に群青の冬空の鮮やかな情景を記録できたところなのですけれども、曇天は寧ろすれ違う人数が僅か七人という閑散、昨今はなにか安心醸す不思議を感じました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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