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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

巨大都市競合地域“メガシティ”という新たな戦場【後篇】 専守防衛と平和国家としての軍事アプローチ

2016-05-16 22:05:09 | 防衛・安全保障
■日本のメガシティへのアプローチ
 巨大都市競合地域“メガシティ”という新たな戦場への一考察、最終回は日本という国家の専守防衛と平和国家としての軍事アプローチから考えてみましょう。

 冷戦時代にアメリカは柔軟な姿勢を示しました一方、冷戦後は、大量破壊兵器の拡散防止とテロ拡散防止を掲げた事で、その手段に民主化を第一に掲げた事から、そもそも民主制度の多様性を無視し、アメリカナイズされた民主主義プロセスを強行しようとしたことで失敗が続いています、冷戦時代のような、“建前と本音”の使い分けを行わない点が問題の根底にある、ともいえる。もちろん、言い換えれば、民主制と政治制度多様性の尊重という視点でもあります。また、アメリカが関与する事で独裁制度の行き過ぎを抑止する、という視点ともなる。

 ここまでしてでも極力避けるべきとするのは、軍隊の装備は全般での戦闘を想定し整備されています。このなかで市街地戦闘での必要な装備は、特に死角の多い市街では狙撃脅威が増大するため耐爆車両が必要となりますし、これらの前進を阻む即席障害物を相当するには防弾化された戦闘工兵装備が必要となります、これらは野戦での戦闘と異なり死角が多い事から最大の地形障害に守られる事も意味し、逆に野戦ほど車高等に制約は生じません、他方、火力は第火力の投射が市街地では付随被害を生むため砲兵火力を使いにくく、直接照準火砲と大きな防御力を有する戦車が必要となります。

 野戦と市街地戦闘はちぐはぐな装備体系となる、という事ですね、この部分ですが、例えばアメリカ国内の法執行機関の装備体系を見ますと、警察の重犯罪対応部隊を中心に耐爆車両を多用し、建物捜索班の装備や狙撃対策部隊と突入支援車両など、軍事機構よりも市街戦に適した装備を有しています、アメリカではメキシコからの麻薬密輸対策等により耐爆車両は既に500両ほどが警察へ配備されており、更に長距離行軍の必要性は野戦よりも少なくその分重量の大きな防護服を装備でき、一見すると州兵よりも重装備となるほどで、ここに市街地戦闘の特異性が見て取れるでしょう。

 そのうえで、この装備面の特異性を知るからこそ、メガシティという新たな戦場、相手が非対称の戦いを挑む以上、米軍も正面からの戦闘を避け、メガシティという新たな戦場へは現地政府の治安部隊養成、住民支持への政治形態の真摯な研究に基づく非対称戦闘を企図する勢力からの支持離反促進と自軍への支持増大への施策、という点を考え、その上で米軍はその長所である打撃力と戦力投射に機動力という他の諸国が整備する上で課題を抱える部分から強靭に支援する態勢を構築する必要こそあるのかもしれません。

 一方、防衛側からの視点ですが、専守防衛を掲げる我が国としては市街地戦闘は重視される分野ではあります。勿論、ここで示したようなメガシティでの戦闘へ国際平和活動の一環として積極的に関与するべきとは思いません、むしろ、法執行機関養成や市街地での治安作戦などにおける警察任務の養成に注力するべきで、日本型警察機構を念頭とした組織、及び警察特殊部隊の養成支援という形で協力するべきでしょう。例えば国土交通省海上保安庁は、ソマリア沖海賊対処任務対処の一環として、ケニア海上警察の創設支援を行いました。

 日本型のメガシティという新たな戦場への対応は、海上警察養成の実績を陸上でも踏襲する事で、ケニアに続き、海上保安庁は、ヴェトナムやインドネシアにフィリピンといった国々でも海軍以外の海上法執行機関の養成支援を実施し、政府援助として巡視船などの供与も実施します。この形で、警察も市街地での取り締まりと、大規模なテロを未然に抑止できる安定した社会の実現に寄与する警察機構創設の支援を行う、という方式を採り、メガシティという新たな戦場への関与方法とすることが理想といえるでしょう。

 他方、前述の専守防衛という視点ですが、メガシティという新たな戦場とは異なるものの市街地戦闘の能力を強化する事は必要です。世界において戦術原則の一つである最大限の市街地戦闘から回避という原則に最初に挑んだのはスイス軍、永世中立国のスイス軍です。スイス軍は永世中立政策を掲げどの国からも支援を受けられないという前提の下で、自らの国土を限られた人口や経済力という防衛資源から防衛しなければなりません。

 スイス軍は市街戦を重視する政策へ転換したのは、従来の国防戦略が山岳戦闘を重視し持久戦を強いるものでした。しかし、これは都市部の人口密集地防衛を断念する事でもあり、この場合自国民を致し方ないとはいえ見捨てる事となる政府をスイス国民が支持し続ける事が出来るかとの厳しい問題があり、この上で、市街地を防衛する施策を選択した訳です。非常に困難ではあるが防衛側には事前集積が容易で国民皆兵制を採るスイスでは市街地を確実に防衛する技術を構築する事を選んだ訳です。

 専守防衛の国にはこの施策は一つの選択肢と云え、スイスを外敵から“攻めにくい国家”とすることが出来、この視点から敢えて困難に挑んだ訳でした。この為大火力を集約可能な戦車の更新や装甲戦闘車を山岳戦用部隊に代えて導入し、市街地要塞化を図りました。我が国の場合は、メガシティという新たな戦場、ではなく、従来型の市街地戦闘を国内で展開し、防衛力は確実に国民と共にある、という示す必要はあるように考えます。他方、その能力を整備したとしても過信し、海外での投射に使う事が無いよう、法執行機関養成というお家芸を示せるよう臨む、こうした使い分けを採るべきと考えます。

北大路機関:はるな くらま
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-05-17 11:17:28
日米陸軍司令官建物は高重爆撃に耐えられ、4種以上の街にとの追伸ライン。および付近気王錯体を予め予備栄冠kし、有事の際に第一撃で滑走路がやられた場合は、彼らが一部PKO南スーダンは 「事情が出来た。国難の為帰国する。ではみ南スーダン人諸君! って工兵部隊をひっぱださりゃ大したもんだが、とにかくNATOがある 決意 を固めたら死んでもバレずにその体制につき従うべきであり、戦争に勝てばどんな品人道的行為を行っても、被害者側が犠牲者に謝罪させられるという異常なレトリックですら成ツ率する。北京国沙軍事法廷では習。江、辺りは確定であとは、口だけ将軍羅えんかなwww日本人台湾人合計1億5千万人が「 だいきらいだぞ シナシス
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