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日の丸オスプレイ日本到着!陸上自衛隊用V-22可動翼機,初号機-二号機が岩国基地へ到着

2020-05-11 20:20:06 | 防衛・安全保障
■V-22,巨大な可能性と調達費
 新型コロナウィルスCOVID-19の厳しい話題が続く昨今ですが久々に明るい話題が、自衛隊向けV-22が対に日本へ到着しました。

 V-22輸送機が日本に到着しました、陸上自衛隊へ配備される17機のV-22可動翼機のうち最初の2機で、8日金曜日に山口県岩国基地へ輸送船で陸揚げされました。輸送船での搬入はアメリカ海兵隊のMV-22配備でも同様であり、今後岩国航空基地にて所要点検を実施した後、陸上自衛隊のV-22暫定配備先となる千葉県の木更津駐屯地へ飛行展開する予定です。

 可動翼航空機、これは回転翼航空機として飛行場を選ばず運用できるとともに長大な航続距離と巡航速度を有する機体であり、MV-22の取得費用はCH-47JAの二倍に相当しますが、運用方法次第では、水陸機動に加え例えば洋上の護衛艦へのF-35B整備器具など物資輸送や邦人救出任務、自衛隊に求められる任務を達成の上で大きな能力を発揮しましょう。

 木更津駐屯地へのV-22配備は六月下旬頃に実施されるとのことで、木更津駐屯地にはV-22関連の定期整備施設が建設されています。定期整備施設は米軍MV-22の定期整備を実施していますが、整備基盤構築などに思いの外時間を要し、長期間となってしまいました。また、木更津駐屯地への配備も前述の通り暫定配備となり、最終的には九州へ配備の見込み。

 水陸機動団支援、自衛隊へ配備されるV-22の任務は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に司令部を置く自衛隊初の水陸両用作戦専任部隊水陸機動団へ空中機動力を供することにあります。この為、防衛省は当初、相浦駐屯地にほど近い佐賀空港に隣接する新駐屯地を建設し、西部方面航空隊主力なども移駐させ、木更津駐屯地と並ぶ航空拠点を建設する構想でした。

 AAV-7水陸両用車、アメリカ海兵隊の運用する両用強襲車による水陸両用作戦を実施する水陸機動団ですが、洋上を低速で機動するAAV-7は沿岸部に敵対戦車火器や装甲車両が展開していた場合は即座に撃破される可能性があります、この為、水陸機動作戦では沿岸部への接近経路などを空中機動もしくは空挺作戦により確保することが必須となっています。

 LCACエアクッション揚陸艇など洋上を高速で航行する装備も自衛隊にはありますが、こちらはAAV-7より高速ではあっても装甲は逆に無く、CRRC複合高速艇による隠密上陸、そして空中機動による沿岸部への接近経路制圧が水陸両用作戦成功の要諦といえるでしょう。また主力展開前に敵着上陸に先立つ緊急展開任務にもV-22の高速は威力を発揮する。

 しかし、佐賀空港への新駐屯地建設はV-22運用基盤や安全性の問題、また同じ佐賀県の飛行場である目達原駐屯地との兼ね合いもあり時間を要しています。そして政府は当面導入するV-22を海兵隊の中型輸送機であるMV-22と同型としていますが、後期取得分は空軍の特殊作戦用CV-22と同型を想定している報道があり、配備先に影響するかもしれません。

 特殊作戦群支援任務。陸上自衛隊は木更津駐屯地にほどちかい習志野駐屯地に陸上自衛隊唯一の特殊部隊である特殊作戦群を置いています。CV-22は九州よりはこの木更津に配備することで特殊作戦群の緊急展開に資する装備であり、また、アメリカ空軍も横田基地へCV-22を配備していることから、日米共同訓練にもてる能力を最大限発揮できるでしょう。

 第2ヘリコプター団を目達原に新編できたのではないか、高価なV-22ではなく取得費用は半分で、しかし速度と航続距離も半分ですが輸送力は倍というCH-47を調達していたならば、V-22の取得費用17機分にて34機のCH-47を取得できることとなり、木更津第1ヘリコプター団の32機に匹敵する規模となり、CH-47の方がよい、長く考えていました。

 ただ、V-22はCH-47よりも遙かに行動半径が大きく、CH-47はあくまで輸送ヘリコプターとしてしか運用することはできませんが、例えばF-35B戦闘機の護衛艦艦上運用が画定している自衛隊にとっては、急速に整備員や整備機材と弾薬を、ひゅうが、いせ、いずも、かが、といったヘリコプター搭載護衛艦へ緊急輸送が可能です、CH-47では距離が厳しい。

 邦人救出任務であれば、アメリカ海兵隊の同種の部隊であるSPMAGTF危機対応特別両用任務部隊のように、MV-22を6機有する、同盟国や包括安全保障協力協定締約国の基地提供を受け迅速に広範囲を救出することが可能となりますし、CV-22相当の機体運用により、例えば遠隔地での要人や航空搭乗員救出など、実施可能となる任務も幅広くなります。

 岩国基地へ搬入されたのは最初の2機となっていまして、自衛隊V-22運用史はいよいよ始まるという段階です。実はこの高価なV-22の調達は陸上自衛隊多用途ヘリコプター調達や戦闘ヘリコプター調達などに予算を圧迫している問題も、とにかく政治が求める任務と部隊規模に予算が見合わない、懸念はあるのですが高価機材、最大限活用してほしいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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Unknown (軍事オタク)
2020-05-12 11:54:34
そうですよね、
折角配備するのだから有効に利用ですね。
特殊作戦用CV-22も当然配備すべきですね。
ついでに空中給油機能付きのV-22も配備すべきですね。
空中給油機能付きのV-22は
空中給油セット外せば汎用のV-22としても使えるでしょうし。
実際運用しているのかが?だが。
F-35BやCV-22、米軍のF-18、空自の救難ヘリに給油が可能です。
あと、空自のE-2Dに受給口付ければ給油も可能。
17機では足らないかな?
あと9機追加でお願いしたい。
MV-22 13機 CV-22 8機 空中給油型V-22 5機
合計26機
CMV-22B採用という手もある。

また、重輸送ヘリとして本当はCH-53Kがほしいですねえ。
整備性や費用、機種の統一化を図る自衛隊としては難しいでしょうが。
チヌークではローターが畳めないし塩害に弱い。
チヌークにできるだけ塩害対策を施して、ローターの折り畳みがある程度短時間にできるようにできればチヌークでもいいが・・・

木更津基地は高潮や津波で水没する可能性があるから心配です。
格納庫等の嵩上げが必要だと思います。
司令部は1M嵩上げしました。
でも格納庫は嵩上げ無し。

でも巨大台風襲来時の高潮+巨大地震による津波襲来時は、例えば3Mかさ上げしてもだめかもしれませんが・・・
木更津基地の台風襲来時の高潮最大浸水深さは3M、
https://www.pref.chiba.lg.jp/kakan/shinsui/takashio/shinsuishin.html
それにプラス津波襲来となる。
https://www.city.kisarazu.lg.jp/kurashi/anzen/hinanjo/1001155.html
6Mのかさ上げしないとダメという話になる。
愕然としますね。

佐賀空港は素早く整備すべきです。
佐賀空港も津波の心配は木更津より大幅に低いが最低でも2Mはかさ上げしてほしいですね。
佐賀空港標高2Mだし。
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Unknown (ねこまんま)
2020-05-13 00:45:42
ティルロータ機は旧軍の水上飛行のように、
飛行場が無い島でも飛行機が着陸できるので、戦術輸送機からの、人や物資の移動がスムーズになりますね。
島間の連絡、輸送に便利な機体かも、しれませんね。

ここは島の防衛にAEW型オズプレイも欲しいですね。島民避難、遅滞、逆上陸時に役立ちそうです。
丸腰ではAEW型が活躍するのは難しいので、護衛にガンシップ型オズプレイも必要かも?
返信する
Unknown (ドナルド)
2020-05-13 09:25:05
V-22は、あまりに調達費・維持費が巨大で、陸自の航空部隊を破壊する危険性があります。

が、航空部隊を破壊する代わりに、師団を8個とも破壊させれば、コストは捻出できるのではないでしょうか?実員5000人程度の師団を全て旅団に変えて、実員3300人程度とする(定員3600人で、92%充足)。そうすれば、1700人x8 = 1万3600人の人員を削減できます。このうち、3600人をイージスアショアや、V22部隊に転向させるとして、これで1万人純減は達成できる。年間800億円が確保できます。

陸自の覚悟か問われているのではないでしょうか?「これまで通りの部隊+V22やイージスアショア」などあり得ないと思います。「これまでの部隊を大きく縮減することで+V22やイージスアショアを増強する」のがあるべき姿でしょう。

返信する
Unknown (市民のミカタ)
2020-07-23 00:37:37
こんなガラクタヘリコプターをスクラップにして
各市町村にレッドサラマンダーを!
返信する

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