■誤って実弾,友軍相撃
陸上自衛隊にて空包と実弾を取り違える事故が発生し、実弾を装填したまま双方が相手に向け銃撃、2名の隊員が負傷しました。
この事故は23日、北部方面後方支援隊が第5旅団管内の北海道鹿追町然別演習場での演習中に発生したもので、第310輸送中隊の隊員が輸送車列の防護訓練中、空包にて実施する訓練に実弾を装填してしまい発生しました。今回事故が発生した際に使われたのは89式小銃、5.56mm弾を用いる小銃です。この事故により数十発が発砲され、現在自衛隊では事故原因を調査中です。
第310輸送中隊に所属する隊員のうち23日然別演習場にて31名の隊員が、輸送車両が襲撃された際に防護する防御戦闘を想定し二手にわかれて戦闘訓練を実施、襲撃側と車列側に分かれ空包により攻撃訓練と防護訓練を行う予定でしたが、ここで実弾を双方が装填しており、射撃により負傷者がでたかたち。この車列への襲撃と防護訓練はかなり前から実施されている輸送科部隊の訓練ですが、実弾と空包の取り違えは自衛隊では初めての事故です。
5.56mm弾は世界の標準的小銃弾で、500m圏内での致命的な威力を有し飛距離はそれ以上に上ります、NATO-SS-109規格により設計されている銃弾で先端部に空隙があり身体命中時に殺傷力を高める構造となっています、今回死者が出なかったのは僥倖の一言に尽きますが、一部報道では負傷者は小銃弾が命中したのではなく、空包使用時の自動装填に用いるガス圧を確保するために銃口に取り付ける空包アダプターが破裂し、その破片により負傷したとの報道もあります。
実弾と空包の取り違えですが、これは兵士にとり恥ずべきことです。しかし、海外を見ますと稀に発生してしまうもので、例えば2008年にはフランス軍が広報行事として一般公開中、ヘリコプターからの戦闘訓練展示にてFA-MAS小銃を空包ではなく実弾を装填したまま射撃するという重大事故が発生、見学の市民と兵士など17名が重軽傷を負う大事故が発生した事もありました。この事故は第11落下傘旅団第3海兵歩兵落下傘連隊という精鋭部隊にて発生した事故で射手は経験を積んだ下士官、当時は非常に驚かされました。
最近でもアメリカ軍がカリフォルニア州フォートアーウィン演習場にて、誤ってAH-64D戦闘ヘリコプターへ小銃弾を命中させる事故がありました、今月13日、第17歩兵連隊第1大隊の兵士が訓練での仮設敵として参加した際、M-4A1カービンを射撃、空包ではなく実弾が装てんされており、AH-64D戦闘ヘリコプターへ4発が命中してしまう、という事故がありました。この際、死傷者は幸い出ませんでしたが、操縦席付近へ命中し風防が破損したとのことで、起こってはならない事故ですが取り違えは注意を怠れば発生してしまう事を端的に示しているでしょう。
しかし、空包と実弾では形状が著しく異なります。空包と実弾の外見上の違いは弾薬に弾丸部分があるか否か、小銃に装填する際、空包であるか実弾であるかは一目で分かるものですので、小銃を用いるならば一見して分かるものです。弾薬の配布は充分安全確認を行ったうえで実施されます、射撃場以外でも実弾を携行するという事は武器運用への習熟を図るうえで必要な事なのでしょうが、空包か実弾か、しっかりと確認する事の習熟はそれ以前の問題として重要です。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
陸上自衛隊にて空包と実弾を取り違える事故が発生し、実弾を装填したまま双方が相手に向け銃撃、2名の隊員が負傷しました。
この事故は23日、北部方面後方支援隊が第5旅団管内の北海道鹿追町然別演習場での演習中に発生したもので、第310輸送中隊の隊員が輸送車列の防護訓練中、空包にて実施する訓練に実弾を装填してしまい発生しました。今回事故が発生した際に使われたのは89式小銃、5.56mm弾を用いる小銃です。この事故により数十発が発砲され、現在自衛隊では事故原因を調査中です。
第310輸送中隊に所属する隊員のうち23日然別演習場にて31名の隊員が、輸送車両が襲撃された際に防護する防御戦闘を想定し二手にわかれて戦闘訓練を実施、襲撃側と車列側に分かれ空包により攻撃訓練と防護訓練を行う予定でしたが、ここで実弾を双方が装填しており、射撃により負傷者がでたかたち。この車列への襲撃と防護訓練はかなり前から実施されている輸送科部隊の訓練ですが、実弾と空包の取り違えは自衛隊では初めての事故です。
5.56mm弾は世界の標準的小銃弾で、500m圏内での致命的な威力を有し飛距離はそれ以上に上ります、NATO-SS-109規格により設計されている銃弾で先端部に空隙があり身体命中時に殺傷力を高める構造となっています、今回死者が出なかったのは僥倖の一言に尽きますが、一部報道では負傷者は小銃弾が命中したのではなく、空包使用時の自動装填に用いるガス圧を確保するために銃口に取り付ける空包アダプターが破裂し、その破片により負傷したとの報道もあります。
実弾と空包の取り違えですが、これは兵士にとり恥ずべきことです。しかし、海外を見ますと稀に発生してしまうもので、例えば2008年にはフランス軍が広報行事として一般公開中、ヘリコプターからの戦闘訓練展示にてFA-MAS小銃を空包ではなく実弾を装填したまま射撃するという重大事故が発生、見学の市民と兵士など17名が重軽傷を負う大事故が発生した事もありました。この事故は第11落下傘旅団第3海兵歩兵落下傘連隊という精鋭部隊にて発生した事故で射手は経験を積んだ下士官、当時は非常に驚かされました。
最近でもアメリカ軍がカリフォルニア州フォートアーウィン演習場にて、誤ってAH-64D戦闘ヘリコプターへ小銃弾を命中させる事故がありました、今月13日、第17歩兵連隊第1大隊の兵士が訓練での仮設敵として参加した際、M-4A1カービンを射撃、空包ではなく実弾が装てんされており、AH-64D戦闘ヘリコプターへ4発が命中してしまう、という事故がありました。この際、死傷者は幸い出ませんでしたが、操縦席付近へ命中し風防が破損したとのことで、起こってはならない事故ですが取り違えは注意を怠れば発生してしまう事を端的に示しているでしょう。
しかし、空包と実弾では形状が著しく異なります。空包と実弾の外見上の違いは弾薬に弾丸部分があるか否か、小銃に装填する際、空包であるか実弾であるかは一目で分かるものですので、小銃を用いるならば一見して分かるものです。弾薬の配布は充分安全確認を行ったうえで実施されます、射撃場以外でも実弾を携行するという事は武器運用への習熟を図るうえで必要な事なのでしょうが、空包か実弾か、しっかりと確認する事の習熟はそれ以前の問題として重要です。
北大路機関:はるな くらま
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弾倉の識別ですが、自衛隊も、あと米軍(陸軍&海兵隊)も実弾射撃の際に弾倉にテープ等は貼っていないのですよね、自衛隊の場合は射撃場での弾薬受領を見ますと非常に形式ばったしっかりとした管理をやっているなあ、という印象でしたので、今回の事故には驚いた次第です
謎の多い事故です、ご指摘の通り発砲したのは9名、1名ではないのですよね
輸送科の訓練ということで日々銃器を扱う普通科と比べると銃器の使用機会が少ないかも知れませんが職業軍人として定期的な射撃訓練や座学等で銃器の扱いに熟知しているプロなのですから今回の件を猛省し二度と起こらないよう教育や安全対策をしっかりして欲しいものです。