北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

八八艦隊の日・・・新八八艦隊、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の統合運用

2014-08-08 12:27:10 | 北大路機関特別企画

◆統合機動防衛力と新しい八八艦隊  
 八八艦隊、北大路機関では毎年8月8日を八八艦隊の日として特集記事を掲載してまいりました。今年は統合機動防衛力の観点を加え、特集しましょう。
Efimg_0536  八八艦隊、旧帝国海軍が太平洋へ向け、戦艦八隻・巡洋戦艦八隻を以て艦隊決戦に備える一大計画を示し、戦後海上自衛隊が発足すると護衛隊群の編成として護衛艦八隻・回転翼哨戒機八機を基本編成とする作戦単位を示す言葉となりました。しかし、護衛隊群は、はるな型、しらね型のヘリコプター搭載護衛艦をより大型の、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦、建造進む、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦により置き換えられ、ミサイル護衛艦も、あたご型より航空機運用能力を付与されておりため、より多くの回転翼哨戒機を運用可能、発展的に解消されることとなっています。
Efimg_0700  ヘリコプター搭載護衛艦、全通飛行甲板構造を採用した海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦は、艦種記号こそDDHと駆逐艦を示すDDを受け継いでいますが、ひゅうが型で万載排水量19000t、いずも型の満載排水量は25000tから27000tと大きく、全通飛行甲板は護衛艦としての防護能力や索敵能力をもちながら、一見の通り軽空母としての運用にも耐えうる護衛艦として完成しており、将来的には甲板強度の高さと航空機格納庫の能力を以て、垂直離着陸運用能力があり2017年より米海兵隊が岩国において運用を開始するF-35B戦闘機も、仮に自衛隊が導入したならば運用可能です。
Efimg_0814  新しい八八艦隊としまして、北大路機関では毎年八月八日に、このヘリコプター搭載護衛艦を現在の四隻から八隻に増勢、イージスシステムを搭載するイージス艦の八隻の整備計画と合わせ、八隻のヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻を以て八八艦隊とする提案を行っています。これは現在の護衛艦隊が八の部隊単位を有していることに端を発したものです。護衛艦隊は隷下に四個護衛隊群を置き、横須賀の第一護衛隊群、佐世保の第二護衛隊群、舞鶴の第三護衛隊群、呉の第四護衛隊群を置き、各護衛隊群が二個護衛隊を基幹としているため、八個護衛隊体制を採っている、というもの。
Efimg_1547  護衛隊群は二個護衛隊をそれぞれ、ヘリコプター搭載護衛艦基幹の対潜掃討部隊、イージス艦基幹の弾道ミサイル防衛兼艦隊防空部隊、に区分し、横須賀の第一護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第一護衛隊と、イージス艦基幹の第五護衛隊、佐世保の第二護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第二護衛隊と、イージス艦基幹の第六護衛隊、舞鶴の第三護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第三護衛隊と、イージス艦基幹の第七護衛隊、呉の第四護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第四護衛隊と、イージス艦基幹の第八護衛隊をそれぞれ配置、四個の護衛隊群は、即応態勢・准即応態勢・訓練態勢・重整備、とローテーションを組み、一定規模の部隊を即応態勢に置く警戒を継続的に維持しています。
Efimg_1326  しかし、イージス艦の増勢が決定し、既存のイージス艦全てに弾道ミサイル迎撃能力が付与される方針が確定しているため、ヘリコプター搭載護衛艦基幹護衛隊であっても弾道ミサイル防衛を担当することが可能となり、護衛隊群の任務区分も変化しつつあります。すると、イージス艦基幹の護衛隊についても護衛艦を置き換える形にてヘリコプター搭載護衛艦を配置し、護衛隊の任務対応能力を均一化出来ないか、という視点に至ったわけです。全通飛行甲板型の護衛艦が八隻あり二隻が即応態勢を採り、対潜対空両面で非常におおきな能力を持つ護衛隊二個が即応態勢、これは非常に大きな抑止力となるでしょう。
Efimg_4055  ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻、もちろんヘリコプター搭載護衛艦は、乗員数で、あきづき型や、たかなみ型などの二倍、建造費も三割程度大きく、仮に中期防衛力整備計画二期10年で整備したとして、建造費だけで毎年100億円、人員も10年間で650名増員の必要があり、防衛費4兆7000億円、海上自衛官4万5500名、からみますと一見可能なように見えますが、削りに削って相当無理を強いている状況で現在の人員と規模を維持しているわけですので、新しい装備を揃えるならば、まず無理を解消して後行うべき命題も多く、容易ではありません。
Efimg_2262  一方で、ヘリコプター搭載護衛艦は汎用性が大きく、もちろんヘリコプター運用中枢艦としての対潜掃討や災害派遣の基盤としての運用も大きな能力を発揮しましょうが、将来的に海上自衛隊がF-35Bを導入した場合地域防空能力が向上、という遙か先の展望を行わずとも、例えば陸上自衛隊が導入を決定しているMV-22可動翼機の拠点や空中給油装置をMV-22へ追加搭載してのヘリコプター部隊や給油方法から既存の米軍MV-22では試みられていませんが、MV-22の高速飛行性能を持ってのE-2C早期警戒機への空中給油による警戒時間延伸、輸送艦の補完能力としての航空機運用能力など、導入することで既存装備の効率運用に資するものは非常に多いわけです。
Efimg_3090  また、航空優勢確保、特に南西諸島を見据えた場合、F-35Bを艦上運用すれば那覇基地の補完になる、という短絡的発想だけではなく、例えば機動施設隊とCH-47輸送ヘリコプターに空路投入可能な施設車両と併せ、脅威かもしくは既に巡航ミサイル攻撃などを受けた離島空港に護衛艦の防空支援下で急速展開しF-15戦闘機の運用基盤を構築、併せて護衛艦からの整備補給機材の搬入を行い、滑走路の拡張や補修、C-2輸送機とともに、戦闘機部隊の運用基盤を構築するという手法に投入するのならば、手元の装備を比較的簡単に防空圏での欠缺を埋め、南西諸島防衛強化に投入することが出来る。
Efimg_4419  もちろん、対潜掃討能力の大幅な向上は、潜水艦による我が国海上交通路への攻撃をかなりの面で封殺できます。特に航続距離が大きな原子力潜水艦をこうした用途に投入可能な国がりますが、原子力潜水艦の数は増勢中であるものの多くは無いため、ヘリコプター搭載護衛艦と固定翼哨戒機の連携により、脅威対象国の全ての原子力潜水艦を早期に無力化、撃沈を意味せずとも基地に封じ込められるならば同じように目的と達したという意味を含めているのですが、対応可能です。いうまでもなく、キロ級潜水艦は海上自衛隊潜水艦のように外洋に進出しますし、その行動範囲全てを封じる事となれば至難ではありますが、この難題にヘリコプター搭載護衛艦が寄与することは言うまでもありません。
Efimg_0934  自衛隊は統合機動防衛力を今後の防衛計画の指針としていますので、北大路機関としては昨年度末からの特集としまして地域部隊の5個の大型師団への改編を提案、陸上自衛隊改編案の師団指揮機能化と機甲師団以外の全師団の機動旅団改編と、装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団を創設、装甲機動旅団は第11旅団型の総合近代化旅団編成に方面特科部隊の多連装ロケット砲を付与、航空機動旅団は方面航空隊を移管し第12旅団型の空中機動を重点とし対戦車ヘリコプター隊を持つ即応近代化旅団型を志向、方面隊を地域司令部とし機動力と指揮通信機能強化を背景に防衛力とする提案を行ってきました。
Efimg_0334  陸上自衛隊は、ヘリコプター部隊の整備と地対空ミサイルの充実にかなりの重点を置いおり、地対艦ミサイルや各種対戦車誘導弾などミサイル重視の体制を採っているともいえ、特に後者は軽量であることから、既に保有するかなりのヘリコプター部隊を機動運用、つまり管区に縛られない防衛力運用に供するならば、諸外国が虎の子としている空中機動旅団を複数整備するだけの部隊規模を有しているわけです。加えて国産戦車の性能は、国土戦を考えた場合比類なき威力を発揮できる瞬発交戦能力の高さと戦域戦術両面での機動力を有しているため、ここに一定数の装甲戦闘車が増勢されるならば、仮に現役人員規模を二割程度削減したとしても全般能力は大きく高まる、として装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団の提案を行いました。
Efimg_1496  手持ちの装備に一定数の新装備を加えるだけで大きく劇的に防衛力が強化される、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の八八艦隊案とは、装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団とともに、考え得る大きな一例です。加えて統合運用体制が強化されるならば、ヘリコプター搭載護衛艦と航空機動旅団の連携による島嶼部防衛や策源地攻撃の可能性が当然高まりますし、早期警戒機や島嶼部防空支援や基地航空作戦能力強化等、勿論『どの部隊度々の任務に展開させるかの陸海空での協力と統合指揮に関する訓練態勢充実と併せる事は不可欠ではあるのですが、検討に値する案と信じる次第です。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 平成二十六年度八月期 陸海... | トップ | 台風11号接近、大阪湾展示... »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はるな様 (PAN)
2014-08-08 17:35:43
はるな様
貴殿の提唱する八八艦隊構想に対して、いくつかの反論をさせていただきます。

まず、ひゅうが型/いずも型を、その大きさと全通甲板ということから単に軽空母と呼ぶことは、設計意図の本質をあまりに軽視してはいませんか?

ひゅうが型ですが、あれは究極の対潜空母と言うべき艦です。空母型にもかかわらず、現在の海自でもっとも高性能なバウソナーを備えており、対潜ヘリとの連携による対潜能力は、おそらく世界トップでしょう。またESSM装備で個艦防空能力も高く、自らを守りながら狩りができる戦闘艦です。

いずも型は、現在明らかにされているスペックから推察するに、イギリスのオーシャン級のようなヘリ搭載揚陸艦に近い艦でしょう。車輌運搬能力も備えていますので、ある意味、30ノットの高速輸送船でもあります。僚艦への補給能力も持っていることから、PKO派遣のような遠征艦隊向きの艦です。
一方でF-35Bの運用能力については、ひゅうが型ほどでないにしてもバウソナーを備えているため、重量バランスの関係でスキージャンプ台の増設が容易にはできないと言われています。さらに全通甲板前端の構造を見ても、将来のF-35Bの運用を想定していないことは明らかです。

以上のように、両型とも一般にいう軽空母とは備える方向性が違います。DDHが空母型になったからといって、単純に軽空母と呼んでしまうのはいかがでしょうか?またF-35Bの導入は、少なくとも現時点では考慮されていないと思います。

また弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス艦が将来8隻に増えるとはいえ、あと4隻のDDHを増やして均一の能力を持った8個護衛艦隊とするのは、かなり任務に無駄が生じるでしょうね。
弾道ミサイル迎撃任務と、DDHを擁する艦隊の任務は、求められるものが大きく違います。あれもこれもできるというのは、逆にあれもこれも中途半端となりかねません。
アメリカの空母群のように、マルチな任務をこなすには、海自のDDHでは難しいでしょう。ならば任務に併せた専門部隊を編成すべきです。またへたにDDHを増やすぐらいなら、その分各DDHやヘリ搭載汎用護衛艦に搭載する、ヘリの数と能力を向上し充足を測るべきです。
現在の海自の規模と予算では、8個護衛隊に拡大し米軍のように運用することは到底無理です。米軍と中国を除いたほとんどの国が、せいぜい2個艦隊規模であることを考えれば、現状の4個護衛隊群の維持だけでも、かなり頑張っているのですから。

近い将来の編成としては、弾道ミサイル迎撃任務がイージス艦4隻(あたご型+新規)を中心とした4個隊で、ローテーションで2隊が常時オンステージ。
一方対潜部隊は、ひゅうが型2隻のローテーションで1隊がオンステージ。
装備をまるごと運ぶ必要のあるPKO派遣などにいずも型2隻のローテーション。
それぞれのDDH艦隊の護衛として旧型イージス艦各1隻。
さらには、昨今話題にあがっている強襲揚陸艦がもし実現するなら、水陸両用部隊となり、その護衛にはひゅうが型中心の艦隊や控えのイージス艦があたる、といった感じになるのではないでしょうか?

返信する
PANさま (ドナルド)
2014-08-11 23:19:14
PANさま

横から済みません。

DDHx8、DDGx8艦隊が、「よりバランスが悪い」ことは私も同意です。また「いせ」型や「いずも」型DDHを軽空母として運用することは、運用コストとメリットの比較からしても、悪手であると思います。

一方で、これらDDHが「機能的に軽空母たり得ないか」と言われれば、そうではないと思います。「いせ」型は、英海軍「インビンシブル」級軽空母やイタリア海軍の軽空母「ガリバルディ」と似たコンセプトと規模であり(「就役当時のインビンシブル級はDDGを兼ね、その防空能力は(当時の基準で言えば)今の「いせ」型をしのぐハイエンド品です)、これを「軽空母」に用途転換することは容易です。むろん改修は必要なので、「現時点で軽空母としての機能は考慮されていない」のは事実です。

ただ、あれだけの規模の船に、インビンシブル級と似た細めのスキージャンプを設営できないとは思えませんし、重量が本当に無理なら、巨大なバウソナーを簡素化すればよいだけです。「いずも」型も、イタリア海軍の軽空母「カブール」とそっくりで、典型的な現代の軽空母サイズの船です。当然ですが、インビンシブル級と似た細めのスキージャンプの設営は容易でしょう。

もちろん、艦として「軽空母的に使えるか否か」と、運用上「軽空母として運用するか否か」は全く別問題です。

英海軍の運用例を見ても、例えば、「いずも」型であれば、「F-35Bを6-8機、AW101にCROWNEST AEWレーダーを搭載したものを 4機、SH-60K 3機 (他護衛部隊に5機)」規模で航空部隊を搭載することは可能でしょう。しかし、この装備を使う場面が、ほとんど思いつきません。

この規模では、まともな空軍を持つ敵勢力下では(当方の空軍の援護がなしには)運用は不可能。一方で、日本が「まともな空軍のない地域で防空/対地攻撃任務を実施する」ケースは、今のところ思いつきません。日米同盟があり、米軍(空母含む)による制海圏が存在する以上、インド洋シーレーン防衛においてすら、必要ないと考えます。必要ない装備を購入する余裕は、我が国にはありません。

#英軍であれば、アフリカ沿岸やフォークランド諸島防衛で軽空母の出番はありますし、イタリアも、シリアに権益があります(難民対策)。

補足:F-35BはAよりも調達費と運用費の双方が3割up(英軍の検討資料に記述があるとのこと)な上に、ウェポンベイも航続距離も小さい。F-35B を 30機を整備するよりも、F-35A 40機の方がよいでしょう。「せっかくF-35Aを整備するなら "ついでに" F-35Bも」というのは、大きくは間違っていませんが、犠牲にするものがそれなりに大きいことに注意すべきです。
返信する
PAN 様 こんばんは (はるな)
2014-08-11 23:52:54
PAN 様 こんばんは

ご指摘の軽空母ではないが対潜空母だ、という視点ですが、対潜空母も軽空母の一系統と見る事が出来ますし、そうではない、という事が出来、このあたりは定義の問題だと考えます

他方、軽空母ではなく水上戦闘艦だ、という指摘ではなく対潜空母、と指摘されていますが、対潜空母といいますとかつての米エセックス級を見ます通り、同型艦が強襲揚陸艦用途に運用されている事例もあり、加えてF-8戦闘機を搭載し軽空母運用にも投入されています、故に全通飛行甲板型護衛艦というものは、所謂モジュール艦がモジュールを切り替え多機能に対応する以上に、艦載機を載せ替える事であらゆる任務に対応できる、というところに利点があるのではないか、と

当方の視点は、F-35Bという単語が其処此処に出ていますが、よくお読みいただければ、当面F-35Bを装備せずともヘリ母艦として離島に戦闘機部隊展開に必要な装備を輸送する手段にも使え得る、という視点が示されているところ、お気づき頂けるでしょう

一方、旧型イージス艦をヘリコプター搭載護衛艦の護衛に、とご指摘ですが、旧型にあたるミサイル護衛艦こんごう型こそが現時点でミサイル防衛担当艦で、くわえて旧型ヘリコプター搭載護衛艦にあたるヘリコプター搭載護衛艦しらね型を有する護衛隊に新型イージス艦にあたるミサイル護衛艦あたご型が配置され、ひゅうが型を基幹とした護衛隊には旧型のターター艦であるミサイル護衛艦はたかぜ型が配備されています、このミサイル護衛艦はたかぜ型がイージス艦に置き換わり、ミサイル防衛担当艦が八隻体制となるのに合わせて、それならば護衛隊の任務均等化を図るのが筋ではないか、という視点です
返信する
はるな様 ドナルド様 (Unknown)
2014-08-12 14:17:08
はるな様 ドナルド様

いずも型が果たしてF-35Bを運用できるかについてですが、世界の艦船2013年9月号で、元海将の勝山拓氏が記名原稿で触れられています。

要約すると、単に現状のままで搭載して発着させるだけなら可能。ただしペイロードにかなりの制約が生じる。
一方、本格的なスキージャンプ台を設置して本格的軽空母とするには、かなり大掛かりな改造を擁する。スキージャンプ台の重量が500t前後になり、その重量を吸収するには艦首のバウソナーを撤去し、て艦尾に1000tものカウンターバラストを設置しなければならない。
簡易的なトラスト構造のスキージャンプ台設置の場合は、設置位置がかなり後方になるため乱気流の心配があり、飛行甲板の無駄なスペースが大きくなる。との指摘でした。

また、飛行甲板の形を見れば一目瞭然ですが、いずも型にしろひゅうが型にしろ、飛行甲板の左舷前方はギリギリまで伸ばされず、大きく斜めにカットされています。これは飛行甲板のウエイトバランスを考えた設計だと思います。オーシャン級も同様ですね。
もしスキージャンプ台なしで米強襲揚陸艦のようにV/STOL機を運用するなら、この構造はダメでしょう。

以上のことから、少なくとも現状ではF-35Bの導入は考えていないと思われます。ただし、24DDHはまだ進水していません。24DDHの飛行甲板構造に大きな変更があったとしたら、話は別ですが。

もっとも、F-35Bを入れるくらいなら、その分F-35Aの導入数を増やしたほうが、対中国を考えた場合は有効だと思いますよ。そこはドナルド様と同じ意見です。

またはるな様からご指摘のイージス艦の配備についてですが、弾道ミサイルの脅威が薄い場合は、4隻をそちらの任務に常時振り分け、もし危険性が高まれば6~8隻体制であたるというように、変動すると考えています。

正直、ミニイージスレベルの防空能力を持つひゅうが型は、直援の護衛艦はむらさめ型やたかなみ型で十分でしょう。
ただしいずも型についてはどなたが言ったのか覚えていませんが、「この艦は護衛される艦だ」という認識です。PKO任務などの遠征任務では、通常の随伴艦でいいでしょう。(これにイージス艦をつけて出す必要はないでしょう)
でも東~南シナ海方面で運用するなら、やはりイージスの護衛は欲しいところだと考えています。
どの海域でどのような状況でどのような任務なのかしだいで、艦隊の編成はある程度変わると考えています。

ただ、対弾道ミサイルと、東~南シナ海での揚陸任務の2面作戦になった場合は、悩みどころです(その可能性は高いですね)。その場合は、イージス艦6隻が対弾道ミサイルの本土防衛任務。2隻が味方艦隊の護衛任務。(フルに8隻動かせるならですが)
あきづき型4隻は対弾道ミサイル用のイージス艦の護衛、といったところでしょうか?

返信する
はるな様 (PAN)
2014-08-12 14:35:21
はるな様

前のコメントで名前入れ忘れたような気がしますが、ワタクシPANの投稿です。

それともう一つ、軽空母と対潜空母についてですが、ご指摘のように確かに歴史的には、戦後にジェット機運用能力に欠けるエセックス級を対潜空母に流用しました。そのときはヘリ以外に固定翼の対潜哨戒機を使用していますね。

現在、軽空母と言うとどうしても、V/STOL空母の印象が強くなります。前のコメントでも書きましたが、いずも型にしてもひゅうが型にしても、単に緊急的に発着艦するだけなら可能でしょう。
しかし常備戦力として運用することは話が別です。まだ未知数ないずも型はともかく、ひゅうが型を軽空母と呼ぶのは、その意味で違和感があるのです。

実は純粋な対潜空母というのは、旧ソ連のキエフ級の退役で一度は廃れたと考えています。(キエフ級は、一応Yak-38を乗せていましたが、ペイロードがほとんどなく、その航空戦力は対潜ヘリが主体でした)。
ひゅうが型は、いずも型ほどの多目的性はなく、かなり対潜任務にウエイトを置いたヘリ搭載艦だと思います。(事実、小回りがきかないサイズを除けば、スペック的にはこれを超える対潜艦はありません)。その意味で、新時代の対潜空母だと申し上げたわけです。

はるな様のこのブログは、かなり軍事的な造詣が深い方々が読んでいると思います。その意味で、ひゅうが型(個人的にはいずも型もですが)を、軽々しく軽空母とまとめて欲しくないと思い、最初のコメントのようなご指摘をさせていただいたものです。
返信する
ドナルド 様 こんばんは (はるな)
2014-08-17 22:51:14
ドナルド 様 こんばんは

ううむ、軽空母の定義をしっかりと明示してから論じるべきでした反省しています

ただ、本文タイトルが“八八艦隊の日・・・新八八艦隊、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の統合運用”であり、“八八艦隊の日・・・新八八艦隊、軽空母八隻・イージス艦八隻の統合運用”、ではない点にご留意ください

全通飛行甲板型護衛艦の定義としては軽空母の他にもPower Projection Ship、所謂戦力投射艦という単語を用いる事も出来ると思いますし、多目的母艦用途水上戦闘艦、という単語も用いる事は出来ると思います、が、ヘリコプター空母か、と問われますと可動翼機であるMV-22の離発着を既に実施していますので、回転翼兼可動翼機母艦、ヘリコプターパワーリフト機母艦、と名称が長くなってしまうため、便宜的に、とご理解ください

逆に戦闘機を搭載する軽空母と言いますと当方としては、制海艦、という単語の方を思い出してしまうのですが、まあ、これは、個々人で違うのかもしれませんね

>「F-35Bを6-8機、AW101にCROWNEST AEWレーダーを搭載したものを 4機、SH-60K 3機

ヘリコプター搭載護衛艦一隻に全ての艦載機を搭載すようとした場合、ご指摘の通りになると考えますが、そうした運用を考えるならば元々当方は八隻のヘリコプター搭載護衛艦整備の必要性明示などは行いません、ではどうするか

八隻を四個護衛隊群に配備する、という提示ですので、即応態勢と高練度待機態勢の護衛隊群が有事に対応できる訳で、非常手段として最大四隻のヘリコプター搭載護衛艦を必要ならば一方面に派遣できる形となるわけです、ご指摘の編成では、ひゅうが型・いずも型と艦載機区分を敢えて簡略しますが、F-35Bを28機、AW-101AEWを16機、SH-60K/Jを12機、と非常に不均衡な編成となってしまいます、しかし艦載機搭載枠に応じて戦闘航空団を分散させればこの結論は変化すると考えます

正規空母一隻分の機能を八隻のヘリコプター搭載護衛艦に分散させている、かなり誤解を招きそうな発想ではあるのですが、少なくとも将来的に制空戦闘に資する艦載機を運用し制海艦運用を行う場合、これが新しい八八艦隊構想の一つの視点です、ちなみに正規空母、定義があいまいになりそうですが、思い浮かべるのは横須賀にいるあの艦、と

八隻に分散していれば、一隻の正規空母と違い、重整備で入渠していて行動不能、という事例も生じにくいですし、流石にブロック工法で造船しても一隻では前半分だけ出航、とはなりませんが、一隻の機能を分散させておけば、各個対応できるのです

まともな空軍の脅威下に展開しなければならなくなるほどの日本の選択肢が限られるという切迫状況まで追いつめられるのであれば、この八八艦隊であれば日本にもう一つの選択肢を供することが出来るのではないか、と

・・・、そんなにアメリカの支援の有無に懐疑的なのか、と問われると弱いところですが
返信する
PAN 様 どうもです (はるな)
2014-08-17 23:07:55
PAN 様 どうもです

軽空母、ううむ、制海艦や戦力投射艦に航空機母艦と航空中枢艦、いろいろ呼称はあるものの、“八八艦隊の日・・・新八八艦隊、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の統合運用”としていまして、ヘリコプター搭載護衛艦の一形態として軽空母運用はあるのではないか、と

また、純粋に対潜空母なのか、と問われますと、まず設計にMCH-101掃海輸送ヘリコプターの運用が盛り込まれていまして、少なくとも航空掃海母艦と輸送用途に用いるコマンドー空母か航空輸送艦機能は含まれ、ヘリコプター以外にMV-22の発着を実施していますので可動翼母艦としての機能がある訳です

対潜掃海輸送可動翼回転翼母艦機能護衛艦、全部合わせると凄い長い名称になります

軽々しく軽空母に纏めるべきではないのではないか、とのご指摘ですが、対潜掃海輸送可動翼回転翼母艦機能護衛・・・、ちょっと長すぎ、流石に略して多目的空母護衛艦、という事も難しい、すると軽空母としても運用できるヘリコプター搭載護衛艦、という表現でもあながち間違ってはいないのではないか、と

勝山拓氏のお話しを引用されていますが、勝山拓氏、実は当方お会いしてお話を聞かせていただいたことがあります、震災の年でした、その際、F-35Bの場合は海上自衛隊の予算に余るものがあるので、現時点の予算では海上自衛隊は導入するべきではない、と仰っていました

確かに、F-35Bを航空集団に導入した場合、厚木や鹿屋で陸上空母発着訓練は可能なのか、F-35Bの搭乗員はT-5練習機だけでは養成不能であるのでT-4練習機相当の機体を航空教育集団に導入する必要がある、早期警戒機との連接運用に関するノウハウ構築には海上自衛隊には非常に時間が掛かり、その他に優先すべき装備体系があるため、慎重を要する、その通りです

F-35Bの前進艦隊防空能力やステルス機としての索敵能力と策源地攻撃能力、派米搭乗員養成等を行う意義はあるとも考えるのですが

スキージャンプ台についてですが、アメリカ級強襲揚陸艦やワスプ級強襲揚陸艦ではスキージャンプ台を装備せずAV-8攻撃機の艦上運用に短距離滑走で対応しています、ヘリコプター搭載護衛艦の場合、艦首形状、特に通路部分を閉塞化する必要はありますが、不可欠なものであるのか、ワスプ級のボノムリシャールが佐世保にいますので、仮に将来的にF-35Bを導入するならば、こちらでの研究を行うことで結論を出せるのではないでしょうか

その一方で、ヘリコプター搭載護衛艦はSH-60J/KにMCH-101とMH-53、CH-47J/JAやUH-60JAとAH-64D、更にMV-22の搭載と運用が可能です、こちらに利点があり、併せて将来的にF-35Bの搭載も可能、当方はこう見ているところ

他方、一応本文に“MV-22の高速飛行性能を持ってのE-2C早期警戒機への空中給油による警戒時間延伸”、“機動施設隊とCH-47輸送ヘリコプターに空路投入可能な施設車両と併せF-15戦闘機の運用基盤を構築”というF-35B搭載以外の選択肢、示していますので、こちらについても読んでいただければ、と
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

北大路機関特別企画」カテゴリの最新記事