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【EOS-M3特報】中部方面隊創隊57周年記念行事伊丹駐屯地祭,16MCV登場(2017-10-08)

2017-10-09 20:06:36 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■初登場,16式機動戦闘車量産車
日曜日に伊丹駐屯地祭へ行ってまいりました、16式機動戦闘車量産車3両が式典に参加しています。

中部方面隊創隊57周年記念行事伊丹駐屯地祭、第14戦車中隊へ配備された16式機動戦闘車、いわゆる“16MCV”量産車が遂に登場しました。観閲行進へ第14旅団第50普通科連隊の軽装甲機動車か中隊と共に颯爽と登場、日本原駐屯地祭に続く第二の登場となった。

16式機動戦闘車は全長8.45m、全幅2.98m、全高2.87m、重量26t、乗員4名。570hpの水冷ディーゼルエンジンを搭載し路上最高速度は100km/hを越え、52口径105mmライフル砲を搭載、10式戦車用火器管制装置を基本とした高度な行進間射撃能力を有しています。

機動戦闘車試作車は、富士学校祭や富士総合火力演習、空挺団降下訓練始め等の自衛隊行事において度々一般公開されていますが、今回展示された車両は量産車で、砲塔側面部分の増加装甲形状等が試作車とは大きく発展し、車体各所にも複数の相違点が観られました。

統合機動防衛力として陸上自衛隊は、有事の際の第一線となる九州南西諸島第一線に先鋒部隊を即応部隊とし、有事の際に第一次展開を担う即応機動連隊、第二次展開を担う機動師団及び機動旅団、戦車等重戦力を以て事態を鎮定する増援部隊へ区分する事としました。

第14戦車中隊は四国善通寺の第14旅団隷下にある戦車中隊、61式戦車や74式戦車の第2混成団戦車隊の歴史を受け継ぐ赤鷲戦車隊として知られる部隊です。しかし四国には戦車部隊射撃場を確保出来ない為、第13旅団管区に当たる日本原駐屯地へ駐屯しています。

四国の赤鷲、第14戦車中隊のマークですが、車体には記載されていません。聞けば古い部隊の伝統を敢えて置き換える意思と、部隊そのものが廃止されるという意味を込めてのものという。16MCVの第一印象は戦車と比し、コンピュータのかたまり、という答えでした。

善通寺の第15普通科連隊を即応機動連隊へ改編するに当たり、新たに即応機動連隊機動戦闘車中隊を新編、この為に第14戦車中隊を廃止し、編入する事となりました。この改編に併せ、日本原の第14戦車中隊も機動戦闘車中隊となり順次、善通寺へ移駐するとのこと。

即応機動連隊は、本部管理中隊と3個普通科中隊に機動戦闘車隊、火力支援中隊、高射小隊、重迫撃砲中隊、即応機動直接支援中隊、という充実した編成を採り、普通科中隊は軽装甲機動車高機動車混成中隊と96式装輪装甲車高機動車混成中隊、と高度に装甲化される。

16式機動戦闘車は即応機動連隊の機動打撃を担う。2018年3月に善通寺の第14旅団第15普通科連隊と北熊本の第8師団第42普通科連隊が即応機動連隊へ改編、2019年3月には滝川の第11旅団第10普通科連隊と多賀城の第6師団第22普通科連隊が改編を受けます。

即応機動連隊は人員800名規模の連隊で、次期中期防衛力整備計画を経て更に、旭川第2師団、帯広第5旅団、相馬原第12旅団へも創設される計画です。旅団普通科連隊の650名よりは増強されていますが、師団普通科連隊の定員1200名を比較すれば小型連隊といえる。

第4偵察戦闘大隊として福岡の第4師団では来年の第4戦車大隊の西部方面戦車隊編入に伴う廃止改編に併せ、現在の第4偵察隊増強改編計画が進んでいます。現在の防衛計画大綱では本州戦車部隊は教育用を除き全廃予定で、戦闘偵察大隊に置換えられるのでしょう。

ただ、戦車を集中装備する北海道の即応機動連隊は少々無駄に思えます。敢えて東北方面隊や中部方面隊に集中し、複数の即応機動連隊を日本の中央部に配置した方が、北方有事から南西有事まで即応対処可能な内線防御の戦略基盤が構築できるのでは、と思います。

北大路機関:はるな くらま
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3 コメント

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Unknown (ドナルド)
2017-10-11 00:27:38
16式機動戦闘車の量産型ですが、後部の偵察員用のスペースはないのですね。。。残念です。87式偵察車の光景も兼ねると思ったのですが。。。
16式機動戦闘車 (はるな)
2017-10-25 19:57:26
ドナルド 様 こんばんは

16MCVですが、後部カメラ用の後部偵察員席については車長用独立照準器で代替出来るという理解ではないでしょうか、87RCVと異なり前部偵察員席もありませんし・・・
Unknown (ドナルド)
2017-10-27 20:49:58
はるな様

下車斥候(スカウト)を2--4名乗せられると良いかなぁ、思っていました。

メルカバに習って、もし4人乗るなら、2両で1個分隊を輸送しても良いかと。歩兵を乗せないときには、予備の105mm 砲弾を搭載すれば良い。

陸自は歩兵の装甲化があまりに貧弱で、敵が一定レベルの重火器を持っていると、一歩も動けないのではないかと心配しています。後進時の、砲塔の射界を気にしたのでしょうかね。。。

余談ですが、もし本当に装輪式のIFVが来るのであれば、MCVベースしかなさそうですね。小松の装輪装甲車は車高が高すぎて、IFVにはなれなさそうです。

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