■ローマ撃沈ウォースパイト大破
F-2戦闘機に搭載されるASM-2はもはや日本本土防衛の不可欠な装備となってますが、対艦ミサイルというものの源流をたどってみましょう。

空対艦ミサイルは日本が1980年に80式空対艦誘導弾ASM-1を完成させ、日本本土防衛の切り札的存在となりました。しかしその始まりを見ますと第二次世界大戦中にドイツが完成させたHs-293A、そして推進力を持たない誘導爆弾ではSD-1400X,連合国でフリッツXと恐れられた誘導爆弾が有名です。特にフリッツXは強力であり、警戒されていた。

SD-1400Xは1400kg徹甲爆弾PC-1400を元に誘導装置を装着したもので、爆撃機からの無線誘導により命中します。運用は高度6000mを飛翔する爆撃機が目標3kmの地点で照準を完了し、これと同時に高度6300mに上昇しつつ投下、SD-1400Xは放物線を描くように目標へ誘導、落下速度は900km/hに達し、無線での誘導は40秒間で目標に命中します。

ドルニエDo-217爆撃機やハインケルHe-111Z,ハインケルHe-177爆撃機、フォッケウルフFw-200C爆撃機などがSD-1400Xの搭載機に充てられました。強力ですが元の爆弾が1400kgもあるPC-1400ですので単発攻撃機や戦闘機転用戦闘爆撃機等に搭載する事は元より不可能、そして無線誘導員も必要であり、どうしても大型の双発爆撃機が必要でした。

1943年7月、ドイツ空軍は第100爆撃航空団をHs-293A とSD-1400X専門部隊に充て、航空団第二飛行隊をHs-293A運用のドルニエDo-217爆撃機部隊として南フランスのコニャック、第三飛行隊をSD-1400X運用のドルニエDo-217爆撃機部隊として地中海マルセイユに配置しています。初の任務飛行は1943年8月25日、目標はイギリス艦隊です。

ビスケー湾を対潜掃討するイギリス艦隊へドルニエDo-217爆撃機12機がHs-293Aによる一斉攻撃を実施、しかし一発も命中せず不成功に終わります。気を取り直して27日、再度攻撃を実施、イギリス海軍の対潜スループエグレットとカナダ海軍駆逐艦アサバスカンに命中、エグレットは浸水により数時間で沈没、対艦ミサイルによる世界初の撃沈となる。

ローマ撃沈。フリッツXは強力という印象を世界に示したのは1943年9月9日に第三飛行隊により実施されたイタリア艦隊攻撃でしょう。イタリアはムッソリーニ政権が崩壊しバドリオ政権が連合国参加を表明、これを受け残存艦がマルタ島にて降伏接収を受けるべくラスペーチア軍港をこの日朝出航しました、これは元枢軸艦隊が敵に回る事を意味する。

ヴィットリオヴェネト、ローマ、イタリア、最新鋭戦艦3隻と軽巡洋艦6隻及び駆逐艦8隻の艦隊はドルニエDo-217爆撃機11機にコルシカ島沖ホニファッチョ海峡で捕捉され、先頭を往く旗艦ローマが最初の一発を後部マスト右舷側に受け後部機械室を破壊、速力が16ノットに低下します、続いて二発目が艦橋前に命中、主砲弾薬庫付近で炸裂しました。

ベルガミーニ提督以下1250名の乗員は命中50分後の爆発により戦死、続いて戦艦イタリア艦首付近にも一発が命中しますが、こちらは懸命のダメージコントロールにより沈没を免れます。また続く1943年9月の連合軍サレルノ上陸作戦でもフリッツXは使用、イギリス戦艦ウォースパイトと軽巡洋艦ウガンダ、アメリカ軽巡洋艦サバンナにそれぞれ命中へ。

ウォースパイトは命中1発と至近弾2発を受け沈没寸前の大破へ。ただ、フリッツXは爆撃機からしか運用できず無線誘導、これを受け連合国軍は多数の直掩戦闘機を爆撃機に対し重点的に使用、また無線妨害電波を効果的に使用し対応しました。現在日本はASM-3改良型を開発中ですが、開発と対抗の流れは、遥か前1943年から連綿と続いているのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-2戦闘機に搭載されるASM-2はもはや日本本土防衛の不可欠な装備となってますが、対艦ミサイルというものの源流をたどってみましょう。

空対艦ミサイルは日本が1980年に80式空対艦誘導弾ASM-1を完成させ、日本本土防衛の切り札的存在となりました。しかしその始まりを見ますと第二次世界大戦中にドイツが完成させたHs-293A、そして推進力を持たない誘導爆弾ではSD-1400X,連合国でフリッツXと恐れられた誘導爆弾が有名です。特にフリッツXは強力であり、警戒されていた。

SD-1400Xは1400kg徹甲爆弾PC-1400を元に誘導装置を装着したもので、爆撃機からの無線誘導により命中します。運用は高度6000mを飛翔する爆撃機が目標3kmの地点で照準を完了し、これと同時に高度6300mに上昇しつつ投下、SD-1400Xは放物線を描くように目標へ誘導、落下速度は900km/hに達し、無線での誘導は40秒間で目標に命中します。

ドルニエDo-217爆撃機やハインケルHe-111Z,ハインケルHe-177爆撃機、フォッケウルフFw-200C爆撃機などがSD-1400Xの搭載機に充てられました。強力ですが元の爆弾が1400kgもあるPC-1400ですので単発攻撃機や戦闘機転用戦闘爆撃機等に搭載する事は元より不可能、そして無線誘導員も必要であり、どうしても大型の双発爆撃機が必要でした。

1943年7月、ドイツ空軍は第100爆撃航空団をHs-293A とSD-1400X専門部隊に充て、航空団第二飛行隊をHs-293A運用のドルニエDo-217爆撃機部隊として南フランスのコニャック、第三飛行隊をSD-1400X運用のドルニエDo-217爆撃機部隊として地中海マルセイユに配置しています。初の任務飛行は1943年8月25日、目標はイギリス艦隊です。

ビスケー湾を対潜掃討するイギリス艦隊へドルニエDo-217爆撃機12機がHs-293Aによる一斉攻撃を実施、しかし一発も命中せず不成功に終わります。気を取り直して27日、再度攻撃を実施、イギリス海軍の対潜スループエグレットとカナダ海軍駆逐艦アサバスカンに命中、エグレットは浸水により数時間で沈没、対艦ミサイルによる世界初の撃沈となる。

ローマ撃沈。フリッツXは強力という印象を世界に示したのは1943年9月9日に第三飛行隊により実施されたイタリア艦隊攻撃でしょう。イタリアはムッソリーニ政権が崩壊しバドリオ政権が連合国参加を表明、これを受け残存艦がマルタ島にて降伏接収を受けるべくラスペーチア軍港をこの日朝出航しました、これは元枢軸艦隊が敵に回る事を意味する。

ヴィットリオヴェネト、ローマ、イタリア、最新鋭戦艦3隻と軽巡洋艦6隻及び駆逐艦8隻の艦隊はドルニエDo-217爆撃機11機にコルシカ島沖ホニファッチョ海峡で捕捉され、先頭を往く旗艦ローマが最初の一発を後部マスト右舷側に受け後部機械室を破壊、速力が16ノットに低下します、続いて二発目が艦橋前に命中、主砲弾薬庫付近で炸裂しました。

ベルガミーニ提督以下1250名の乗員は命中50分後の爆発により戦死、続いて戦艦イタリア艦首付近にも一発が命中しますが、こちらは懸命のダメージコントロールにより沈没を免れます。また続く1943年9月の連合軍サレルノ上陸作戦でもフリッツXは使用、イギリス戦艦ウォースパイトと軽巡洋艦ウガンダ、アメリカ軽巡洋艦サバンナにそれぞれ命中へ。

ウォースパイトは命中1発と至近弾2発を受け沈没寸前の大破へ。ただ、フリッツXは爆撃機からしか運用できず無線誘導、これを受け連合国軍は多数の直掩戦闘機を爆撃機に対し重点的に使用、また無線妨害電波を効果的に使用し対応しました。現在日本はASM-3改良型を開発中ですが、開発と対抗の流れは、遥か前1943年から連綿と続いているのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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