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北大路機関

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CB90/Stridsbåt90H【3】襲撃艇,グリフィンミサイルやAMOS自動迫撃砲搭載で強力な哨戒艇となる

2023-10-21 20:21:41 | 防衛・安全保障
■地方隊の警備隊用
 CB90/Stridsbåt90Hは調べれば調べるほど興味深い装備ですし充分日本の造船能力ならばライセンス生産も可能という。

 CB-90,海上保安庁すずかぜ型巡視艇の後継に最適な性能、と強調しましたがもう一つ、自衛隊においても有用な装備です。例えば基地警備、海上自衛隊の警備隊にSBU特別警備隊などの支援には最適な装備の一つです。RHIB特別機動船のSB-25型などが支援に充てられていますが、特殊作戦の支援能力としてSB-25には限界があることも事実です。

 ひうち型多用途支援艦が基地防衛訓練では12.7mm機銃を搭載して警備支援に当たっていますが、さすがにあの多用途支援艦で、相手が特殊部隊という想定であっても携帯無反動砲などを装備していると仮定するならば対処は無理というものでして、はやぶさ型ミサイル艇なども警備隊に装備されていますが、もがみ型護衛艦に代替され退役が遠くない。

 CB-90の強みは3名で運用できるという点と、警察でも運用できるほどに後方支援が必要ない点、そして防弾装甲を加えられる点と元々沿岸砲兵用の装備であり、重機関銃をはじめ有力な武装を有している点です。まあ、12.7mm機銃を標準装備型で3丁も搭載していますので、射撃をしましたならばその機銃の分解清掃だけでかなり面倒ですけれども。

 日本海側の舞鶴基地などへのゲリラコマンドー対処を考えた場合、64式小銃を以て車両で警戒するという選択肢もあるのでしょうけれども、CB-90はこの点で有用な装備です、何より跳弾被害を局限しなければならないようなものが多数ありますので、12.7mm機銃をRWSにより正確な射撃を行うことができる点だけでも有用といえるでしょう。

 武装については、いろいろ搭載できる。AMOS-120mm自動迫撃砲システムを搭載することもでき、変な言い方ですが11㎞先に艦砲射撃を加えることができる、もっともAMOSを搭載しますと後部区画が何も載せられなくなりますが。アメリカ軍はペルシャ湾での警備任務にM-240機銃をこれでもかというほど搭載して撃ち負けないようにしている。

 AGM-176グリフィンミサイルは、CB-90に搭載できる有用な装備です。AGMとありますので空対地ミサイルと思われるかもしれませんが、地上発射が可能である空対地ミサイルであり、発射システムはジャベリン対戦車ミサイルを流用、シーカー部分の一部はサイドワインダーミサイルを流用していて、ミサイルは15㎏、発射システムも軽量です。

 ジャベリンミサイル程度の大きさのもので、しかし見通しの良い海上で運用する場合にはジャベリンミサイルの射程1.5㎞では短すぎる最近は4kmに伸びたが、故にサイドワインダーの部品などを用いて地上発射で射程6.5㎞、航空機から発射する場合は23㎞まで延伸する、という発想で開発されています。戦車を破壊できる弾頭はありませんが舟艇は一発で無力化できる。

 サイクロン級哨戒艇を筆頭にアメリカ海軍では特殊部隊作戦支援に当たる舟艇へ搭載しています、その射程は艦砲と比べればなにしろ57mm艦砲でも射程は15㎞以上ありますから十分ではないのですが、機関砲などよりは射程が大きく、しかもミサイルですので命中精度は高い、こうしたものを搭載していると知れば相手が警戒する、という点で重要です。

 はやぶさ型ミサイル艇、もともと海上自衛隊のミサイル艇は極地防衛としてソ連軍上陸船団などに一撃離脱を考えた魚雷艇の後継、ミサイル艇の運用は基本的に単体で運用した場合、相手が哨戒ヘリコプターを装備していた場合、生き残ることは出来ません、だから先進国では普通、沿岸の地対空ミサイル部隊の掩護下で航空攻撃に備えつつ運用します。

 スウェーデン沿岸砲兵がまさにそうでしたが、RBS-15地対艦ミサイルやホーク地対空ミサイル、RBS-70携帯地対空ミサイル、120mm沿岸榴弾砲と40mm機関砲とともに沿岸に接近できない体制を構築し、しかし見えないままでは抑止力といいますか示威運用ができないためにミサイル艇を巡回させてプレゼンスを行使する、という運用が為された。

 海上自衛隊の場合は、沿岸砲兵任務としては陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊が対応しています、そして護衛艦の大きさを見ればわかるように、ゲリラ的に沿岸部に隠れての運用というものはそれほど考慮されていません。唯一の任務は不審船という名の武装工作船対処で、かなりの部分、海上保安庁が対応するようにはなっていますが任務としては残る。

 地方隊の警備隊用にCB-90は2隻か4隻程度あっていいように思うのですね。そして、海上保安庁と自衛隊にCB-90は必要だ、と提唱したのですが、この装備は陸上自衛隊にも有用であると考えますし、もう一つ海上自衛隊にも哨戒艇、特に無人哨戒艇の原型として有用な装備ではないかと考えるのです。なにしろ自動化が進んでいる装備ですからね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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CB90はちょっと小さすぎるのでは? (ドナルド)
2023-10-22 01:09:17
CB90は好きな船ですが、原則として揚陸艦の搭載艇的な使い方が良い気がします。ちょっと16mでは小さすぎる気がします。北欧ではフィヨルドや沈水海岸が多いのでよいですが、日本近海はちょっと波やうねりが大きすぎるかと。。色々な動画を見ていても、内水を高速で突っ走るもののように見え、波やうねりがある海域では高速性は発揮できないでしょう。

あとは港内警備艇としての役割ですね。陸奥湾、東京湾、伊勢湾、大阪湾・瀬戸内海、鹿児島湾、有明海などの警備には使えるかもしれません。ただ、東京湾と伊勢湾はフェリーに乗ったことがありなんとなく波の荒さがわかりますが、CB90で高速機動は厳しいかもしれません。

そこで、一回り大きい、フィンランド海軍のJehu級はどうでしょう?20m級です。船首に人間用の小さなランプもあり、RWSもあり、兵員室も持ち、CB90の完全上位互換です。
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Unknown (成層圏)
2023-10-28 18:08:07
CB90は高速兵員輸送と強襲行動にはいい船ですね。しかし、荒波に弱く、航続距離も短いのが難点ですね。
 そこで、ひゅうが型やいずも型に数隻搭載することはできないのでしょうか?作業艇(内火艇)を搭載する要領で、できないでしょうか。搭載可能でしたら、輸送ヘリと協力して空と海から高速で兵員を島嶼へ上陸させることが出来るのではないでしょうか。初期の防衛隊として一足先に陣地構築も出来ないでしょうか。素人考えですが。。
 あと、気になったのが、ロシア海軍のラプトル(ラプター)級哨戒艇がCB90と同型というのは、事実なのでしょうか?確かに似ているのですが、ご存じでしたらお教えください。
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