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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

大阪府北部地震M6.1,京阪神直下型烈震震度六弱と鉄道網広範麻痺&死者3名負傷者358名

2018-06-18 20:18:59 | 防災・災害派遣
■観測史上初の大阪府震度六弱
 震度五強は当方にとり東日本大震災直後の横浜市で経験して以来です。本日は予定を変更し、NHK報道を参考に京阪神の朝を襲った直下型地震の概要を提示します。

 本日0758時、近畿地方を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました。震度6弱を観測したのは大阪北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市。震度5強が京都市の中京区、伏見区、西京区、亀岡市、長岡京市八幡市、大山崎町、久御山町、大阪の都島区、東淀川区、旭区、淀川区、大阪府の豊中市、吹田市、寝屋川市、摂津市、交野市、島本町です。

 震源は大阪府北部13kmで、気象庁によれば大阪府内で震度6弱の揺れを観測したのは大正12年の観測開始から初めてとのことでした。しかし、この地域には活断層として警戒が続く上町断層帯、有馬高槻断層帯、生駒断層帯が存在しており、今回の地震は有馬高槻断層帯に重なる震源となっています。1099年康和地震をはじめ多くの歴史地震がありました。

 政府は0811時に官邸対策室を設置、防衛省は0812時より、舞鶴航空基地第23航空隊、八尾駐屯地中部方面航空隊、小松島航空基地第24航空隊、徳島航空基地教育航空隊、小松基地小松救難隊、など順次航空機を離陸させ、上空より情報収集を展開しました。また同時に中部方面隊、舞鶴地方隊より連絡幹部LOが府県庁舎と市町村庁舎へ派遣されています。

 交通機関への影響は京阪神近畿地方のほぼすべてのJR私鉄が運行を停止、東海道新幹線と山陽新幹線は新大阪駅と岡山駅間での停電により運転を停止し、この遅れは次第に東海道新幹線東京新大阪間の前線へと拡大してゆきます。また、伊丹空港ではこの地震を受け、滑走路の点検を実施し航空路線への遅れが発生しました。神戸空港は通常運行とのこと。

 地震による死者は3名、大阪府北部において登校中の女子児童が学校プールの遮蔽壁倒壊に巻き込まれ亡くなり、通学見守り中の男性もブロック塀倒壊に巻き込まれ、また茨木市ではマンションの室内で書架の下敷きとなり死者が出ています。大阪府内の病院へはけが人が相次ぎ搬送されましたが、通勤時間帯に重なり病院関係者が登院できない状況なども。

 高槻市下田部町では住宅地での火災が発生、火災家屋は焼け落ちてしまいましたが消防活動の結果、幸いにして周辺への延焼は避けられました。建物への被害はNTT通信施設や阪急茨木駅電光表示板の落下、建物のガラス破損や瓦の落下を筆頭に数多く、大阪府は1200時、府知事より千僧駐屯地の陸上自衛隊第3師団へ給水に関する災害派遣を要請しました。

 鉄道の影響は大きく、地震発生後一時間を経てもJR西日本は大阪京都奈良兵庫滋賀在来線全線を運休、阪急電鉄が京都線と神戸線と宝塚線等全路線で運休、阪神電鉄も全線運休、京阪電鉄も全線、南海電鉄も全線で運休、大阪市内の大阪メトロも前線が運休、京阪神近畿地方では京福電鉄や叡山電鉄、ポートライナーや近江鉄道等を除き鉄道が麻痺しました。

 新幹線は東海道新幹線について一時東京新大阪間の全線で運行中止となりましたが順次復旧、JR東海によれば1250時に名古屋と新大阪間に運行を再開しました。新大阪駅西側と大阪淀川区野中南の新幹線橋梁においてコンクリートの剥離が確認されましたが運行に影響がない事が確認され、山陽新幹線も地震から七時間を経た1500時頃全線で復旧しました。

 2000時時点で、JR東海道本線と大阪環状線は運休のまま、阪急電鉄京都本線でも運休が続いており、大阪モノレールは本日一杯の全面運休を発表しました。しかし、阪急神戸本線と宝塚本線の一部は運転再開、近畿日本鉄道、南海電鉄、京阪電鉄、阪神電鉄は全線で運行を再開しています。JR西日本も舞鶴線や草津線等、震源を離れた路線は運行再開です。

 京都市震度5強、文化財にも被害があり、宇治市の平等院では本堂壁面の一部が損傷、平等院鳳凰堂の漆喰破損被害とともに、庭園である養林庵書院でも灯篭の損壊が発生、国宝石清水八幡宮では灯篭が多数倒れる被害に遭っており、大阪府北部と中心に寺社仏閣の損傷が複数報じられています。京都市で震度5強は1995年の兵庫県南部地震や1830年の文政京都地震以来でしょう。

 原子力規制庁の発表では今回の地震による原子力施設への影響はありませんでした。関西電力高浜原発3号機と、大飯原発3号機4号機は運転中、停止中の高浜原発4号機、美浜原発、敦賀原発、石川県にある志賀原発や静岡県にある浜岡原発も影響は無く、放射線量測定モニタリングポストでも放射線値に変化ないとの事でした、僥倖といえるでしょう。

 死傷者数について、死者3名、負傷者は大阪府で319名、兵庫県で23名、京都府で11名、滋賀県で3名、三重県で2名の合計358名、直下型地震という事で大阪府北部に被害が集中した形でした。ブロック塀の倒壊による死者は1979年の宮城県沖地震以来盛んに指摘され撤去が進められるも今回も残念ながら発生、政府は対策強化を関係省庁へ支持しました。

 気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は1600時からの第二回記者会見において“大阪府北部では活発な地震活動が続いている”とし、“揺れの強かった地域では、今後1週間程度、最大震度6弱程度の地震に注意してほしい”と余震等に注意を促しました。大阪府北部は今夜から天候が崩れる予報で、近畿北部では50mmから100mm、近畿南部では100mmから200mmの24時間雨量が予想されています。ご注意ください。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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