■中国・ロシアへの反撃能力
防衛力といいますと当方などは中国やロシアの軍事パレードなどの示威的な映像を見ますと逆に自衛隊の戦車や火砲と護衛艦や戦闘機を思い浮かべるのですが、政府は違うようだ。

防衛力に関する認識が政府と国民、そして専門家と為政者、防衛省と財務省の間でも大きな認識の差があるのではないか。今回の防衛費GDP2%問題、この為の増税問題とともになにか“同床異夢”のようなものがあるのではないかと感じるのです。先ず自衛隊と云われて何を思い浮かべるか、報道では観艦式や航空祭と富士総合火力演習位しか浮かびません。

限定戦争と全面戦争、ウォーかアームドコンフリクト、国際紛争が武力紛争に展開した場合には地域を限定し局地的に戦われる限定戦争と、相手国の崩壊を含め地域に限定させない戦闘を展開する全面戦争と、線引きは非常に曖昧なのですが、存在します。ただ、自衛隊の反撃能力は、勿論相手の着手があってですが、全面戦争に近い状況を想定している。

防衛力についてはGDP2%でも低下する、戦闘ヘリコプターと観測ヘリコプターの廃止、そして戦車の縮小も火砲の縮小も維持されるものですから、“日本に上陸した敵軍に対して身を挺して国民を守る”という印象があるとすれば、実のところ大きく後退します。1990年代に自衛隊は戦車1200両と火砲1100門、今は戦車300両と火砲300門へ削減中という。

ミサイルは相当強化される、これは北朝鮮が日本本土へミサイル攻撃を行った場合に反撃する能力が整備されるといいます、ただ、北朝鮮は核弾頭の搭載を念頭にミサイル開発を行っていますが、日本のミサイルは通常弾頭、クラスター弾頭さえ検討されていません。いや日本にミサイルを撃ちこむのは北朝鮮以外無いのか、こうした疑問は残ります。

専守防衛という基本政策がありましたが、いきなり戦車を揃えて日本に上陸する戦車に立ち向かう戦力を捨てて、日本に上陸したならば相手国の軍港や飛行場に軍需工場や補給施設などを日本がミサイルで叩く、こうした施策への転換です。勿論、有事の際に一方的に叩かれるだけでは防衛は成立ちません、しかし、専守防衛の転換が急すぎるのではないか。

戦車や火砲といった所謂伝統的な防衛力を削減して、北朝鮮に届くミサイルを、という防衛力整備ですが、北朝鮮に届くという事は九州沖縄に配備した際には中国の上海や南京は勿論内陸部まで届きますし、北海道や東北地方へ配備した場合にはロシア沿海州のウラジオストクまで届きます、すると相手は届くという認識で対日装備と戦略を考えるという。

反撃能力は必要なのですが、通常兵器ではなく日本の周辺国は核兵器国を含め核保有国が多い、従来型の防衛力が充実しているならば着上陸した敵に対して堪えがたい打撃を加え侵略を断念させるという選択肢があり、その上で反撃能力が整備されているならば、相手が一線を越える事を抑止する選択肢が生まれる、しかし反撃手段がミサイルだけとなると。

限定戦争と全面戦争、ウォーかアームドコンフリクト、自衛隊が従来型の防衛力を充分有しているならば限定侵攻、沖縄島嶼部や北海道北部などへの限定侵攻という状況に際して限定対処が可能となります。他方、従来型防衛力が不足していた場合、限定侵攻に対してもほかに手段が無ければ敵本土へ反撃能力しか無くなります。この点の議論と認識共有が、不充分と感じます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
防衛力といいますと当方などは中国やロシアの軍事パレードなどの示威的な映像を見ますと逆に自衛隊の戦車や火砲と護衛艦や戦闘機を思い浮かべるのですが、政府は違うようだ。

防衛力に関する認識が政府と国民、そして専門家と為政者、防衛省と財務省の間でも大きな認識の差があるのではないか。今回の防衛費GDP2%問題、この為の増税問題とともになにか“同床異夢”のようなものがあるのではないかと感じるのです。先ず自衛隊と云われて何を思い浮かべるか、報道では観艦式や航空祭と富士総合火力演習位しか浮かびません。

限定戦争と全面戦争、ウォーかアームドコンフリクト、国際紛争が武力紛争に展開した場合には地域を限定し局地的に戦われる限定戦争と、相手国の崩壊を含め地域に限定させない戦闘を展開する全面戦争と、線引きは非常に曖昧なのですが、存在します。ただ、自衛隊の反撃能力は、勿論相手の着手があってですが、全面戦争に近い状況を想定している。

防衛力についてはGDP2%でも低下する、戦闘ヘリコプターと観測ヘリコプターの廃止、そして戦車の縮小も火砲の縮小も維持されるものですから、“日本に上陸した敵軍に対して身を挺して国民を守る”という印象があるとすれば、実のところ大きく後退します。1990年代に自衛隊は戦車1200両と火砲1100門、今は戦車300両と火砲300門へ削減中という。

ミサイルは相当強化される、これは北朝鮮が日本本土へミサイル攻撃を行った場合に反撃する能力が整備されるといいます、ただ、北朝鮮は核弾頭の搭載を念頭にミサイル開発を行っていますが、日本のミサイルは通常弾頭、クラスター弾頭さえ検討されていません。いや日本にミサイルを撃ちこむのは北朝鮮以外無いのか、こうした疑問は残ります。

専守防衛という基本政策がありましたが、いきなり戦車を揃えて日本に上陸する戦車に立ち向かう戦力を捨てて、日本に上陸したならば相手国の軍港や飛行場に軍需工場や補給施設などを日本がミサイルで叩く、こうした施策への転換です。勿論、有事の際に一方的に叩かれるだけでは防衛は成立ちません、しかし、専守防衛の転換が急すぎるのではないか。

戦車や火砲といった所謂伝統的な防衛力を削減して、北朝鮮に届くミサイルを、という防衛力整備ですが、北朝鮮に届くという事は九州沖縄に配備した際には中国の上海や南京は勿論内陸部まで届きますし、北海道や東北地方へ配備した場合にはロシア沿海州のウラジオストクまで届きます、すると相手は届くという認識で対日装備と戦略を考えるという。

反撃能力は必要なのですが、通常兵器ではなく日本の周辺国は核兵器国を含め核保有国が多い、従来型の防衛力が充実しているならば着上陸した敵に対して堪えがたい打撃を加え侵略を断念させるという選択肢があり、その上で反撃能力が整備されているならば、相手が一線を越える事を抑止する選択肢が生まれる、しかし反撃手段がミサイルだけとなると。

限定戦争と全面戦争、ウォーかアームドコンフリクト、自衛隊が従来型の防衛力を充分有しているならば限定侵攻、沖縄島嶼部や北海道北部などへの限定侵攻という状況に際して限定対処が可能となります。他方、従来型防衛力が不足していた場合、限定侵攻に対してもほかに手段が無ければ敵本土へ反撃能力しか無くなります。この点の議論と認識共有が、不充分と感じます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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