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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】インドMTA次期輸送機選定,T-7A高等練習機量産機納入開始とポーランドサーブ340AEWとJ-20BのWS-15エンジン搭載

2023-12-18 20:08:41 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連の話題ですが、日本の場合実質違うものの不勉強な方には違いが判らない装備を同時期に調達するもしくは装備することさえ財務当局が難色を示す例が多く、世界の視点から如何に頓珍漢かが浮き彫りに。

 インド空軍が進めるMTA次期輸送機選定へエンブラエル社はKC-390空中給油輸送機の売り込みを強化しました。インド空軍はC-17輸送機など強力な輸送機を有していますが中型輸送機については老朽化と能力不足が顕著であり、エンブラエル社は今年2月に行われたエアロインディア23航空宇宙展以降、KC-390の売り込みを熱心に継続中です。

 KC-390については8月から9月初旬にかけ、インドのニューデリーにおいてKC-390ミレミアムデーとして地上展示は勿論、飛行展示や体験搭乗などを積極的に実施しました。インド政府はエンブラエル社へ情報提供要請書を出しており、メイクインディア政策としてKC-390のインド国内でのライセンス生産がどの程度可能であるかを検討しています。
■EC-37B
 ガルフストリームはアンテナアレイ配置との親和性が高く早期警戒機とか最近上手く使われている印象だ。

 アメリカ空軍はEC-37Bコンパスコール電子戦機の受領を開始しました。これは老朽化するEC-130Hコンパスコール電子戦機の後継機として導入が決定したもので、初号機納入は9月12日、アメリカ空軍では既に評価試験を開始しているという。機体はイタリア空軍が先日小松基地へ派遣したG-550AEW早期警戒機と非常によく似ているものです。

 EC-37Bコンパスコール電子戦機はガルフストリーム社製G-550ビジネスジェットの機体にBAEシステムズ社がL3ハリステクノロジーズ社製電子戦システムを搭載したもので、任務は敵の通信やレーダーと航法装置への電子妨害により敵指揮統制ネットワーク網を遮断することに在り、そしてEC-130Hコンパスコールは性能の陳腐化も進んでいた。

 EC-130HコンパスコールとEC-37Bコンパスコールを比較した場合、EC-130Hは上昇限度25000フィートで最高速度時速300マイル、これでは妨害範囲が狭く戦闘機への随伴も難しい。EC-37Bは上昇限度40000フィートと巡航速度は時速550マイルといい、空軍によればEC-37Bはもっと前から絶対に必要な航空機であったと表現しています。
■A-330MRTT
 インドネシアは二転三転するので昨今は契約時点で一括費用納入を求める例が出ています、ボーイングとかね。

 インドネシア空軍はエアバスA-330MRTT多目的給油機を導入します。空中給油機導入は2010年代後半からインドネシア空軍近代化計画の一環として機種選定が進められており、2023年9月5日、導入機種としてエアバス社製A-330MRTT多目的給油機を決定しすでにエアバス社との間で取得契約の準備段階に入っていると発表しました。

 空軍次期空中給油機選定ではほかの候補機としてアメリカのボーイングが製造するKC-46A空中給油輸送機、ロシアのイリューシン社が製造するイリューシンIl-78空中給油輸送機などが候補に挙げられていましたが、インドネシア空軍はエアバスA-400M輸送機を運用するなどエアバス社製機材の運用基盤があり、A-300MRTTに決定しました。
■韓国空軍F-35A
 韓国が凄いなあというのはKF-21量産とF-35導入時期が重なっても財務当局が認めている点でしょうか。

 韓国空軍が導入するF-35A戦闘機25機の有償供与がアメリカ国務省により認可されました。9月13日、アメリカ国務省は韓国へのF-35A戦闘機25機と関連部品などに関する50億6000万ドルの有償供与を承認、この契約ではプパットアンドホイットニーF-135-PW-100エンジンを予備含め26基、block4アップデート費用などが含まれています。

 F-4Eファントム戦闘機を未だに維持している韓国空軍では、今回のF-35A取得によりファントムを完全に置き換える構想としています。現在韓国空軍が導入を進めているF-35A戦闘機は40機、今回の追加により65機のF-35が揃う事となる。また韓国は独自の第4.9世代戦闘機としてKF-21戦闘機を開発しており、空軍の近代化を進めています。
■要人輸送機へ機体自衛装置
 日本の政府専用機なんて無防備そのもの。

 オランダ空軍はガルフストリームG-650ER要人輸送機へ機体自衛装置を追加搭載します。搭載されるのはイスラエルのエルビットシステムズ社製DIRCM機体自衛装置で、搭載改修は機体の評価試験を含め2024年内に完了する計画です。DIRCMは直接赤外線対策装置であり、IR-MWS赤外線警報装置と合わせてミサイル攻撃から航空機を防護する。

 エルビットシステムズ社製DIRCM機体自衛装置は欧州NATO加盟国において装備が進むエアバスA-330MRTT多目的給油機への搭載が進められており、給油機でも安全に装備できる。オランダ空軍はこれに併せる形でVIP輸送機にも装備することとしました。オランダ空軍はG-650ERを空軍第334飛行隊に配備し2009年から運用してきました。
■T-7A高等練習機
 日本T-Xもどうなるのか。一機種に絞って多種多様な訓練を詰め込む事で整備と調達を合理化したT-4ですが予算に余裕があれば高等練習機と中等練習機を分けるのは合理的ではあるのですよね。

 アメリカ空軍はT-7Aレッドホーク高等練習機量産機2機を受領しました。開発が大幅に遅れているT-7A練習機により、アメリカ空軍は1950年代から極めて長期間にわたり運用し続けているT-38高等練習機の老朽化が、既に訓練体系へも影響を及ぼしています。特にT-38高等練習機は504機が配備されており、この多さは簡単に置き換えできない。

 T-7A高等練習機は、脱出装置と飛行制御ソフトウェアに問題があり、これでは正常に飛行できない可能性と緊急時に脱出できないという問題を抱えています。開発を担当するボーイング社は今年前半に遅延を表明、量産機2機の引き渡しが全て解決するわけではありませんが、351機を導入する計画のT-7Aが一応引き渡せる事は、朗報と言えるでしょう。
■JAS-39グリペンE
 JAS-39グリペンは総生産数が輸出という選択肢を閉ざしてしまっているように思えてしまう。

 スウェーデン空軍はJAS-39グリペンEへの追加性能付与を行うサーブ社との新しい契約を結びました。具体的には電子戦システムと偵察システム、そして機体データリンクシステムの変更が行われ、これによりJAS-39グリペンEそのものの納期延期も視野に含めた契約とのことです。契約は2023年から2030年までの期間を想定しているようです。

 JAS-39グリペンEの開発によりスウェーデン空軍は2030年代以降もJAS-39戦闘機を運用し続ける計画であり、またスウェーデンが輸出したJAS-39についても2030年代以降、アップデートやバックアップなどが行われることを意味しています。JAS-39は第4.5世代戦闘機であり、スウェーデンは現在第五世代戦闘機に関する具体的計画がありません。
■サーブ340AEW
 アップデートの事を考えるとE-2Dのほうがいいと長年E-2Cを運用している日本としては考えてしまう。

 ポーランドが導入を計画するサーブ340AEW早期警戒機の早期納入計画が推進中です。スウェーデンのサーブ社はポーランドが軍事力近代化を大車輪で進めていることを認識しており、サーブ社はポーランドが2機のサーブ340AEW早期警戒機導入計画を発表して2か月後にあたる9月に実証機を発表、ポーランドへの納入の目処を示したかたち。

 サーブ340AEW早期警戒機について、先ず全くの新造ではなく既存のリージョナル旅客機としてのサーブ340の機体に、搭載するエリアイ社製空中警戒アンテナアレイ装置を搭載し、機体そのものの外見を早期警戒機らしくしたのちに、今後時間をかけて機内の電装品配置などを行うことが考えられます。これにはポーランドの厳しい現実もあります。

 ポーランドは10月15日に選挙を控えており、M-1A2戦車にK-2戦車とHIMARSロケット砲にK-239ロケット砲とF-35戦闘機とKF-50軽戦闘機とAH-64Eアパッチガーディアンやペトリオットミサイルに31型フリゲイトなどを短期間に調達、支払いが国内から不安視されており、機体を先に完成させキャンセルできない状況を創るのでしょう。
■F/A-18訓練飛行の運用終了
 岩国も随分いっていないなあ。

 アメリカ海兵隊はF/A-18訓練飛行隊の運用を終了しました。これはカリフォルニア州ミラマー航空基地、第3海兵航空団隷下の第11海兵航空群第101海兵戦闘攻撃訓練飛行隊VMFAT-101のF/A-18運用終了を意味し、1969年からの飛行隊の廃止です。VMFAT-101は稼働するF/A-18戦闘攻撃機18機を飛行させラストフライトを挙行しました。

 F/A-18は海兵隊が永らく戦闘攻撃機として運用しており、近接航空支援や航空阻止は勿論、空母航空団隷下に配属され艦隊戦闘の一翼を担う運用にも就いてきましたが、海兵隊は改良型のF/A-18E,F-35戦闘機への転換を進めています。VMFAT-101の任務そのものは実戦部隊である第323海兵戦闘攻撃飛行隊VMFA-323に引き継がれることとなります。
■MQ-4Cの運用体制
 国土が広いというのは羨ましい。

 オーストラリア空軍はノースロップグラマン社製MQ-4C無人機の増強を決定しました。具体的には4機を増強する方針で、これによりサウスオーストラリア州のエインバラ空軍基地とノーザンテリトリー州のティンダル空軍基地からMQ-4Cの運用体制を確立、インド太平洋地域における警戒監視体制を無人航空機により確立させるのがねらい。

 MQ-4C無人機のオーストラリアへの配備はノースロップグラマン社が2023年内にアメリカ本土カリフォルニア州のパームデール航空工場において初飛行を実施し、ノースロップグラマンオーストラリア社の支援と共にオーストラリアへ運用基盤を構築することとなります。滞空時間と滞空高度の大きなMQ-4Cは南太平洋諸国では初の配備となります。
■ベルギー空軍F-35A
 実質第五世代戦闘機はこれしかない。

 ベルギー空軍が導入を計画するF-35A戦闘機は初号機にエンジン搭載が開始されました。これはロッキードマーティン社が進捗状況を発表したもので、ベルギー空軍向けF-35戦闘機初号機はAY-1,コックピット部分の工事や電装品のくみたてとともに胴体部分の接合が夏に報道されていますが、いよいよ戦闘機としての管制が間近となってきました。

 ベルギー空軍は現在F-16戦闘機43機を配備しています、これらは近代化改修こそ行われているもののF-16A/Bと初期のものであり、F-16開発初期に採用したNATO加盟国の一つ。ベルギー空軍はこの後継機としてF-35A戦闘機34機の採用を決定、F-16を1:1で置き換えるのではなくMQ-9無人機などと混成とした空軍装備体系を整備します。
■WS-15エンジン
 WS-15エンジンはトライアンドエラーの繰り返しと以上に寿命が短いような失敗作でも国が我慢して買い続けた事による成果であり、技術者を育てたというこの点は日本も見習いたい。

 中国空軍が導入するJ-20B戦闘機のうち改良型のWS-15エンジンを搭載した試作機が初飛行する様子が中国国内SNSなどで映像共有され話題となっています。J-20は中国が独自開発した第五世代戦闘機であり、機体規模はステルス機の中でも世界最大、またアジアで初めて独自開発された第五世代機ともなっています。エンジンは頻繁に変わる特色が。

 J-20戦闘機は双発機であり当初はロシアから輸入したAL-31F-M2エンジンを搭載していましたが、続いて中国がSu-27戦闘機デッドコピー機用に開発したWS-10Cエンジンを搭載し国産機に国産エンジンを搭載、WS-15は2010年前後から開発が開始されており、地上試験なども実施していましたが、このほどJ-20B戦闘機に搭載し初飛行に成功した。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ロシア軍攻勢強めるマリンカ市街廃墟とアウディイフカSu-25攻撃機航空攻撃再開

2023-12-18 07:00:41 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 市街戦になった場合は防衛側に市街地を守り抜く覚悟さえあればかなり善戦できる事をウクライナ軍が証明しました。

 ロシア軍は廃墟となったマリンカ市内の完全制圧を目指している、イギリス国防省ウクライナ戦況報告12月5日付発表によれば、2014年のドンバス戦争からの激戦地となっているマリンカ市内においてロシア軍は9年間かけ大半の市街地を掌握しましたが、市内西部にはウクライナ軍が保持している地域があり、ロシア軍はここに更なる戦力をそそぐ。

 マリンカは開戦前の2014年には人口が9000名となっていましたが、現在は大半の建物が瓦礫となっているもよう。ロシア軍は漸進に成功していると戦況分析されていて、この町に9年間も戦力を注ぐ背景には、この占領がドネツク州全域の占領に繋がる要諦と見做している為で、ロシア指導部のメンツの上でも重要であると考えられている背景があります。
■ロシア軍航空攻撃再開
 インド軍のSu-30戦闘機が日本での訓練中に稼働率を維持する事へ難渋していた事が伝えられましたが。

 ロシア軍がSu-25攻撃機とKa-52攻撃ヘリコプターの使用を再開しました、12月5日付のISWアメリカ戦争研究所戦況報告によれば、ウクライナ軍のタヴリスク地区報道官の発言として、アウディイフカ周辺地域に航空攻撃を再開したとしています。アウディイフカではロシア軍は廃棄物地区の廃棄物丘陵地を陣地として、ここから攻撃を行っています。

 アウディイフカでは空軍やヘリコプター支援と共に23回に渡る攻撃が加えたてており、またアウディイフカ黒鉛工場にもロシア軍が迫り、工場と結ぶ線路に沿ってロシア軍が移動、対してウクライナ軍も線路沿いに反撃を行っており、鉄道線を若干距離東方に奪還できたとしています。ロシア軍は野砲弾が不足し、代えて戦車による支援を強化しているという。
■ウクライナ国内仕様SIM
 無人機はロシア本土から日本列島もその射程内に収めており防空の対策は急務です。

 ロシア軍は自国製シャヘド無人機にウクライナ国内仕様SIMカードを使用し運用させているもよう。これはイギリス国防省が12月6日に戦況報告として開示しました。ウクライナ軍は11月にロシア軍御自爆用無人機を鹵獲し分析したところ、SIMカードの他に4Gモデムなどもウクライナ側で流通しているものが搭載されていたことが判明しました。

 ウクライナ国内仕様SIMカードが搭載された背景には、GPS情報などに依存せずロシア軍がウクライナ国内の通信インフラを用いて無人機を運用しようとしている事をしめしています。この他、最近投入されるシャヘド無人機は黒く塗装され、これはウクライナ軍の対空射撃に大半が撃墜されている為、夜間運用を重視していることの表れと分析しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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