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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ級三番艦ブーゲンビル進水式とインド航空母艦二番艦IAC-2,トリエステ緊急入港と強襲揚陸艦アナドル艦載機

2023-12-04 20:01:12 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 最新情報としまして各国の全通飛行甲板型艦艇最新情報を集めてみました。

 アメリカ海軍はアメリカ級強襲揚陸艦三番艦のブーゲンビル進水式を挙行しました。アメリカ級強襲揚陸艦としてはウェルドックをもつ改良型フライト1の一番艦となります。アメリカ級強襲揚陸艦は先行するワスプ級強襲揚陸艦の先進設計を採用した8番艦マキンアイランドの設計を基にウェルドックを廃止した新しい設計の強襲揚陸艦です。

 ワスプ級とその前のタラワ級強襲揚陸艦はウェルドックを採用しており、もともとエセックス級空母やカサブランカ級護衛空母を海兵隊のヘリコプター部隊の母艦として運用する構想の延長線上にイオージマ級強襲揚陸艦を設計したものの、やはり重装備の揚陸にはドック機能も必要であるとしてタラワ級にウェルドックが設置されていました。

 アメリカ級強襲揚陸艦は、F-35B戦闘機など海兵隊の航空機部隊強化を背景にウェルドック区画を航空機用区画に転用したほうが航空作戦全般に有利であるとの視座からウェルドックを廃止しましたが、海兵隊からの強い運用上の不具合が寄せられ、アメリカと二番艦トリポリはそのまま建造し、ブーゲンビルからウェルドックを復活させた構図です。
■インドIAC-2新空母
 最終的に3隻体制を目指しているということですが。

 インド国防省は国産空母ヴィクラントに続く航空母艦二番艦IAC-2の建造を承認しました。インド国防省によれば今後具体的な建造費についてインド政府の承認を受け建造を開始するとのこと。インド海軍は各方面艦隊へ1隻の航空母艦を配備する構想があり、この為には航空母艦は3隻、中古空母ヴィクラマディーチャの老朽化も進んでいます。

 IAC-2航空母艦について、ヴィクラントは建造が長期化しましたが、現在インド海軍は空母艦載機としてラファール戦闘機を選定していますが、その調達予定数は26機とヴィクラントの艦載機分だけであり、これを増強するのか、若しくはインド空軍用に開発が進められているテジャス戦闘機の空母艦載機型を開発するのかについても未定となっています。

 インド海軍は国産空母ヴィクラントを既に就役させていますが、艦載機はMiG-29戦闘機を採用しており、これはロシアの中古空母ヴィクラマディーチャと同じですが、将来艦載機としてラファールを採用しています。しかし、その課題は現在の空母におけるラファールの性能発揮が未知数という点で、今後の評価試験も必要になってくることでしょう。
■アナドルにTB-3艦載機
 海上戦闘においてTB-3が特に脅威度の高い海域においてどの程度用途があるのかが非常に興味深い要素です。

 トルコ海軍が強襲揚陸艦アナドル艦載機として導入するTB-3無人機がまもなく初飛行を迎える見込み。バイラクタルTB-3はトルコのチョルル市に搬入されており、ここから試験に臨む。バイラクタルTB-3はロシアウクライナ戦争の緒戦で活躍したバイラクタルTB-2の後継機であり、特筆すべきは行動半径の大きさと発着方法の改良となっています。

 バイラクタルTB-3はTB-2の基本型が指令ビーム方式を採用していたのに対して衛星管制方式を採用し、指令ビームの圏外においても管制が可能となった事で航続距離は1900㎞まで延伸しており、また短距離離着陸能力を重視したことでトルコ海軍初の全通飛行甲板型艦艇である強襲揚陸艦アナドル艦上からの運用も可能となる見込みです。

 アナドル艦上での運用について、バイラクタル社はこのバイラクタルTB-3へ限定的な空対空戦闘能力を付与することで艦対空ミサイルの射程外における防空戦闘をある程度意識しているとのこと。この技術を受け、アメリカのジェネラルアトミクス社は同社のMQ-9リーパーへ艦上型開発を設計するなど、着眼点はアメリカも注目しています。
■トリエステ緊急入港
 イタリアはカブールでF-35B運用能力を確保し日本よりも一歩進んだ地中海と大西洋の海洋防衛委版を構築しつつある。

 イタリア海軍の強襲揚陸艦トリエステは公試中に推進装置の問題が確認されトリエステ港に緊急入港した。強襲揚陸艦トリエステはイタリア海軍最大の艦艇として建造されているもので、1982年に就役した空母ジュゼッペガリバルディの後継艦となっています。ジュゼッペガリバルディは同種の艦艇と比較し小型でしたが、トリエステは大きい。

 トリエステの満載排水量は38000tとされ、アメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦とアメリカ級強襲揚陸艦に続く世界第二位の排水量を誇り、中国海軍の075型強襲揚陸艦にも並ぶ規模とされていますが、当初計画では2023年6月に竣工予定であったものの、10月まで公試を延長している最中で推進系統の問題が確認されたかたち、長引きそうです。

 ジュゼッペガリバルディは空母カブールのF-35B戦闘機運用能力付与を以て実質的に強襲揚陸艦運用となっています。トリエステについてはその飛行甲板からF-35B戦闘機を空母カブール以上に余裕をもって運用できる可能性を示しましたが、この為にはイタリアは30機を空軍と海軍が分けて運用するF-35Bの更なる調達を検討するのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-カリーニングラード配備地対空ミサイル抽出と黒海艦隊拠点セヴァストポリからノヴォローシスク移転

2023-12-04 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 S-400を撃破され過ぎて予備が枯渇している状況ですが、日本の高射群の方面高射群改編を見ますと余裕をなくしてしまった点でロシアのような状況に有事の際陥らないか不安を突き付ける。

 ロシア軍はバルト海の飛び地カリーニングラード配備の防空システムを移動させた可能性がある、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月26日付版発表に明示されていました、これは11月に入ってからのカリーニングラードからの異例といえる航空輸送が行われており、カリーニングラードに配備されたS-400地対空ミサイルが移動した可能性を示した。

 カリーニングラードはバルト海沿岸の飛び地で、ロシア本土にあるサンクトペテルブルクからは海路か空路で移動する他ない立地です。S-400地対空ミサイルは射程が長いものの、かすが限られ、10月にウクライナ軍の攻撃を受け破壊されており、ロシア政府はカリーニングラードの防空をある程度リスクにさらす形でウクライナ野戦防空を強化した構図です。
■ノヴォローシスク移転
 ウクライナ侵攻さえなければせめてセバストポリ軍港は維持出来ていただろうにとおもう。

 ロシア海軍は黒海艦隊拠点基地をセヴァストポリからノヴォローシスクへ移転できるかが焦点となりつつある、イギリス国防省ウクライナ戦況報告として11月25日に分析を発表しました。セヴァストポリ軍港はウクライナ軍ミサイル攻撃や無人機攻撃を受け従来の様に長距離巡航ミサイル等黒海艦隊中枢基地としての機能が麻痺しつつある状況です。

 ノヴォローシスク基地はこの為、巡航ミサイルなどの補給拠点として整備されているものの、11月13日にロシア軍が兵站上の問題としてミサイル補給能力を停止したとウクライナ軍が発表、これがロシア軍の巡航ミサイル枯渇か補給能力限界かは判断が難しいものの、後者であった場合は黒海艦隊の水上打撃という主要任務に支障をきたす事となります。
■穀物輸送船の護衛
 黒海穀物合意の代替なるか。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は不特定の国際有志国が穀物輸送船の護衛を提供できる方向で合意に達した、ISWアメリカ戦争研究所11月25日付戦況報告が発表しました。ウクライナの港湾からアフリカ諸国などへ向かう穀物輸送船はロシア軍攻撃を受け、特に黒海穀物合意失効後にこの影響が顕著化、東欧経由の陸路輸送も限界があります。

 ウクライナと国際有志国は、重要港湾のあるオデッサ州の防衛に対してウクライナへ強力な防空システムを提供する事でも合意したと発表しています。黒海穀物輸送は、代替経路となる欧州陸送経路が東欧地域の穀物市場に重大な悪影響を与えていて、黒海海上輸送路の安全確保が焦点となってきましたが、ロシア黒海艦隊の脅威も今なおきえていません。

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