■英コンヴォールG7サミット
菅総理大臣は14日にイギリスコンヴォールで行われたG7サミットから帰国、日本国内では内閣不信任案と否決が焦点となりましたが、サミットでは大きな動きがありました。
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G7主要七カ国首脳会談が完了し共同声明が発表されました。この特筆する部分はG7主要七カ国の協調関係を再認識させるとともに、これまでG7諸国が一致まで難色を示していました中国宥和の姿勢から人権や防衛問題の部分を軸に大きく転換した点は、アメリカの国際公序重視へトランプ政権バイデン政権への転換を象徴的に示したものという印象でした。
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NATO首脳会談。G7首脳会談に続き14日にブリュッセルで開かれたNATO首脳会談では、首脳宣言に“中国の行動は全体にとっての挑戦”と盛り込まれた事が15日付BBC報道にあり、北大西洋条約機構が環太平洋地域の安全保障問題拡大に正面から臨む転換点ともなり、一帯一路建設と共に欧州と中国の摩擦は表面化していますが、NATO宣言は驚きです。
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台山原発放射性物質漏えい。中国といえば広東省の台山原発で一昨日欧米メディアに報じられた、一週間前から続く放射性物質漏えいという状況が、ソ連のチェルノブイリ原発事故の初期隠蔽、というよりも一年前の湖北省武漢市でのCOVID-19感染爆発の報道管制による隠ぺいを思いだし、大事故に繋がらないのかが懸念するところではありますけれども。
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中国については、アメリカ軍が台湾に駐留を開始している、これは5月16日付の聨合報紙が、アメリカ軍兵士駐屯による業務量増大を嘆く中華民国軍兵士のSNS投稿を紹介する形で報じており、取材によりアメリカ陸軍安全保障支援旅団SFABの要員が、装備品の整備支援等の目的で駐留していると確認、この報道に大陸中国が激しく反発する事となります。
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フィリピン沖の中国海上民兵の問題が発生した際、実は3月25日の第52北大路機関に、世界が中国海上民兵に注目している間にアメリカの防衛産業要員が数千名規模で台湾に入っていて全員が米軍軍事顧問、という事があり得るのではないか、と台湾F-16V導入等の発表を元に類推してみたのですが、まさか米軍台湾進駐がこうも早く、と驚いたものです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/71/2439119774486b63a0c0b2a1f927fac0.jpg)
日本の防衛政策も、冷戦後の牧歌的といえた防衛政策からの大きな転換が迫られつつあると考えるのですが、同時にアメリカの姿勢について幾つかの疑問符がありました。それはアフガニスタン撤収です。実際には撤退と表現して差し支えないかもしれませんが、これが当初のバイデン大統領がしめした今年九月の予定を七月へ実に二ヶ月前倒しするという。
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アフガニスタンは、日本も2009年に野党から与党となる直前の民主党では当時の小沢氏を中心に自衛隊アフガニスタン派遣を提唱していましたが、なにしろ標高4000mの峰峰での治安作戦は山岳部隊と空中機動部隊以外には街道沿いの警備しか成り立たず、国際治安部隊ISAFとして欧州NATOも相当数を派遣、戦死者数も数多く数える事となりました。
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9.11アメリカ本土同時多発テロから20年を迎える九月までに撤収完了を当初案としていましたが、独立記念日までに米軍部隊を撤収完了させる、バイデン大統領の撤収前倒しについては、こうした政治的配慮があったとされています。これについては二ヶ月前倒しとなれば、NATOからの派遣部隊撤収計画も前倒しする必要があり、簡単ではない事なのです。
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南スーダンPKO任務において治安悪化を理由に一方的に撤収した日本は、あまりバイデン政権の方針変化を批判することができませんし、ISAFに自衛隊を派遣しているわけでもありませんので批判の必要はありませんが、アフガニスタンでは武装勢力タリバンの攻勢が激化しており、アメリカがアフガニスタンを見捨てた構図には他成りません。その意味は。
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中国への軍事リソース集約へ、アフガニスタンより撤収する、これがバイデン政権の基本方針です。これは中国の軍事圧力にさらされる日本としては歓迎すべき部分なのかもしれませんが、アフガニスタンのように、今度は台湾が見捨てられる疑念が。結果的に東南アジアから日本に至る製造業多国間国際分業を支えるシーレーンへ影響が及ぶ危惧に繋がる。
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ロナルドレーガンの横須賀出航。さて、原子力空母ロナルドレーガン空母打撃群が定期哨戒任務として南シナ海へ入りました。これは海上自衛隊もヘリコプター搭載護衛艦を用い近年実施しているプレゼンスオペレーションというもので、空母航空団と強力なイージス艦からなる駆逐隊と巡洋艦を率いる原子力空母打撃力の巡回はきわめて大きな抑止力です。
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中東派遣の中止。今回のロナルドレーガン横須賀出航は当初、中東アラビア海に空母打撃群を遊弋させアフガニスタンからの米軍撤収を支援する任務と考えられていました、これは撤収による戦力の浮動に乗じたタリバンからの攻撃へ空母打撃群を以て対応するという任務からある種の妥当な任務でしたが、これが事実上撤収前倒しにより、中止された訳で。
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北東アジア空母空白。アフガニスタン撤収が予定通り実施されるならば、ロナルドレーガンのアラビア海遊弋は少なくとも九月中旬まで継続されることとなり、6月初旬から10月初旬まで、日本周辺の北東アジア地域ではアメリカ空母の空白状態が発生すると危惧されていました、しかし、前倒し、しかも撤収本格化の時点で空母はアジアに居る構図ですね。
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プレゼンスオペレーション。ロナルドレーガンの南シナ海遊弋はアフガニスタン情勢が悪化した場合でも、北東アジア情勢が急変した場合でも対応できる海域に遊弋し、しかもアフガニスタン撤収前倒しとすることで空白が生じうる期間を限定的に転換、その上で北東アジア情勢が変化せぬよう、東南アジア近海でのプレゼンスを行使したかたちとなります。
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北東アジア情勢は、アメリカがアフガニスタン撤収を前倒しとし、その上で航空母艦の空白を看過できないような緊張度があるのか、言い換えればこうした視点となるのかもしれません。しかし、こうした緊張を前に忘れてはならないのは、その脅威正面に立つのは何処の国でも無くG7では日本であるということ。この事実を直視しなくては、なりませんね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
菅総理大臣は14日にイギリスコンヴォールで行われたG7サミットから帰国、日本国内では内閣不信任案と否決が焦点となりましたが、サミットでは大きな動きがありました。
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G7主要七カ国首脳会談が完了し共同声明が発表されました。この特筆する部分はG7主要七カ国の協調関係を再認識させるとともに、これまでG7諸国が一致まで難色を示していました中国宥和の姿勢から人権や防衛問題の部分を軸に大きく転換した点は、アメリカの国際公序重視へトランプ政権バイデン政権への転換を象徴的に示したものという印象でした。
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NATO首脳会談。G7首脳会談に続き14日にブリュッセルで開かれたNATO首脳会談では、首脳宣言に“中国の行動は全体にとっての挑戦”と盛り込まれた事が15日付BBC報道にあり、北大西洋条約機構が環太平洋地域の安全保障問題拡大に正面から臨む転換点ともなり、一帯一路建設と共に欧州と中国の摩擦は表面化していますが、NATO宣言は驚きです。
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台山原発放射性物質漏えい。中国といえば広東省の台山原発で一昨日欧米メディアに報じられた、一週間前から続く放射性物質漏えいという状況が、ソ連のチェルノブイリ原発事故の初期隠蔽、というよりも一年前の湖北省武漢市でのCOVID-19感染爆発の報道管制による隠ぺいを思いだし、大事故に繋がらないのかが懸念するところではありますけれども。
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中国については、アメリカ軍が台湾に駐留を開始している、これは5月16日付の聨合報紙が、アメリカ軍兵士駐屯による業務量増大を嘆く中華民国軍兵士のSNS投稿を紹介する形で報じており、取材によりアメリカ陸軍安全保障支援旅団SFABの要員が、装備品の整備支援等の目的で駐留していると確認、この報道に大陸中国が激しく反発する事となります。
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フィリピン沖の中国海上民兵の問題が発生した際、実は3月25日の第52北大路機関に、世界が中国海上民兵に注目している間にアメリカの防衛産業要員が数千名規模で台湾に入っていて全員が米軍軍事顧問、という事があり得るのではないか、と台湾F-16V導入等の発表を元に類推してみたのですが、まさか米軍台湾進駐がこうも早く、と驚いたものです。
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日本の防衛政策も、冷戦後の牧歌的といえた防衛政策からの大きな転換が迫られつつあると考えるのですが、同時にアメリカの姿勢について幾つかの疑問符がありました。それはアフガニスタン撤収です。実際には撤退と表現して差し支えないかもしれませんが、これが当初のバイデン大統領がしめした今年九月の予定を七月へ実に二ヶ月前倒しするという。
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アフガニスタンは、日本も2009年に野党から与党となる直前の民主党では当時の小沢氏を中心に自衛隊アフガニスタン派遣を提唱していましたが、なにしろ標高4000mの峰峰での治安作戦は山岳部隊と空中機動部隊以外には街道沿いの警備しか成り立たず、国際治安部隊ISAFとして欧州NATOも相当数を派遣、戦死者数も数多く数える事となりました。
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9.11アメリカ本土同時多発テロから20年を迎える九月までに撤収完了を当初案としていましたが、独立記念日までに米軍部隊を撤収完了させる、バイデン大統領の撤収前倒しについては、こうした政治的配慮があったとされています。これについては二ヶ月前倒しとなれば、NATOからの派遣部隊撤収計画も前倒しする必要があり、簡単ではない事なのです。
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南スーダンPKO任務において治安悪化を理由に一方的に撤収した日本は、あまりバイデン政権の方針変化を批判することができませんし、ISAFに自衛隊を派遣しているわけでもありませんので批判の必要はありませんが、アフガニスタンでは武装勢力タリバンの攻勢が激化しており、アメリカがアフガニスタンを見捨てた構図には他成りません。その意味は。
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中国への軍事リソース集約へ、アフガニスタンより撤収する、これがバイデン政権の基本方針です。これは中国の軍事圧力にさらされる日本としては歓迎すべき部分なのかもしれませんが、アフガニスタンのように、今度は台湾が見捨てられる疑念が。結果的に東南アジアから日本に至る製造業多国間国際分業を支えるシーレーンへ影響が及ぶ危惧に繋がる。
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ロナルドレーガンの横須賀出航。さて、原子力空母ロナルドレーガン空母打撃群が定期哨戒任務として南シナ海へ入りました。これは海上自衛隊もヘリコプター搭載護衛艦を用い近年実施しているプレゼンスオペレーションというもので、空母航空団と強力なイージス艦からなる駆逐隊と巡洋艦を率いる原子力空母打撃力の巡回はきわめて大きな抑止力です。
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中東派遣の中止。今回のロナルドレーガン横須賀出航は当初、中東アラビア海に空母打撃群を遊弋させアフガニスタンからの米軍撤収を支援する任務と考えられていました、これは撤収による戦力の浮動に乗じたタリバンからの攻撃へ空母打撃群を以て対応するという任務からある種の妥当な任務でしたが、これが事実上撤収前倒しにより、中止された訳で。
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北東アジア空母空白。アフガニスタン撤収が予定通り実施されるならば、ロナルドレーガンのアラビア海遊弋は少なくとも九月中旬まで継続されることとなり、6月初旬から10月初旬まで、日本周辺の北東アジア地域ではアメリカ空母の空白状態が発生すると危惧されていました、しかし、前倒し、しかも撤収本格化の時点で空母はアジアに居る構図ですね。
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プレゼンスオペレーション。ロナルドレーガンの南シナ海遊弋はアフガニスタン情勢が悪化した場合でも、北東アジア情勢が急変した場合でも対応できる海域に遊弋し、しかもアフガニスタン撤収前倒しとすることで空白が生じうる期間を限定的に転換、その上で北東アジア情勢が変化せぬよう、東南アジア近海でのプレゼンスを行使したかたちとなります。
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北東アジア情勢は、アメリカがアフガニスタン撤収を前倒しとし、その上で航空母艦の空白を看過できないような緊張度があるのか、言い換えればこうした視点となるのかもしれません。しかし、こうした緊張を前に忘れてはならないのは、その脅威正面に立つのは何処の国でも無くG7では日本であるということ。この事実を直視しなくては、なりませんね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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