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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

宇宙戦闘の現実化、中国ロシアの衛星攻撃脅威【前篇】アメリカ宇宙軍の衛星防護任務

2016-12-01 20:23:48 | 先端軍事テクノロジー
■現実化する宇宙空間での戦闘
 宇宙戦争というとSF古典的な響きがありますが、偵察衛星へ自爆攻撃を加えるキラー衛星とこれを防ぐF-15戦闘機からのASAT衛星迎撃ミサイル、イージス艦からの降下衛星迎撃と言い換えれば現実味が増すでしょうか、この脅威が現実化しています。

 次の戦場は宇宙、米軍が準備加速 衛星に迫る中ロの脅威、CNNにて興味深い特集が組まれました。宇宙空間での戦闘はSFでは一つの定番ですし、数多の映画でも描かれました。しかし、通信衛星や放送衛星にGPS衛星と宇宙空間への依存度が高まると共に、この宇宙空間での攻撃への脆弱性を払拭する事は安全保障政策上の重要度を刻々と高めています。

 特集では米戦略軍のジョンハイテン司令官の“人類が物理的に進出するたびに衝突は起きる。我々はそれに備えなければならない”という発言に加え、民間衛星調査企業AGIの経営者ポールグラジアニ氏の商業衛星防衛の必要性、そして現在の米軍の体制を米軍高官デービッドバック氏やロバートワーク国防副長官の言葉で説明した記事となっています。

 ロバートワーク国防副長官が昨年、アメリカは宇宙空間におおいて攻撃を受ければ反撃し撃破する、という発言で注目されましたが、既に宇宙空間での戦闘はSFの分野ではないとのこと。日本の安全保障及び防衛政策に照らし合わせますと重要な情報収集衛星打ち上げ施設が南西諸島を中心に在り、中国の巡航ミサイル射程内にある点が大きいのですが、ね。

 将来戦は宇宙戦争へ、これは最近言われ始めたかに見えて最も激烈であったのは情報収取衛生とキラー衛星の全面衝突を念頭に米ソが宇宙開発を実施した冷戦時代であった訳ですが、冷戦後宇宙開発の莫大な費用に追随できず、一旦、安定が保たれてきました。しかし、中ロのキラー衛星技術の進展と共にアメリカも新しい技術開発の必要性が生じています。

 宇宙分野での防衛を急務としている背景には、人工衛星には情報収集衛星や早期警戒衛星という国防に不可欠な要素と共に、通信衛星や放送衛星とGPS衛星という民生分野と深くかかわる宇宙空間の利用があり、例えば通信衛星や放送衛星とGPS衛星へ、大きな攻撃を受け機能を喪失した場合、民心動揺の増大、経済活動、航空や交通に大きな影響を与える。

 人間は社会性の生き物である、とは社会学の基礎ですが、通信衛星や放送衛星への停滞の発生は、民主主義の形成に不可欠な情報共有の基盤へも影響を及ぼしかねません。また、民間衛星ならではの脆弱性があります、情報収集衛星では冷戦時代の戦闘ではキラー衛星により早期に消耗するとして陸上へ情報収集衛星の予備機を一定数待機させていました。

 軍事用衛星は損耗を想定し、撃墜された場合には続座に次の予備機を打ち上げる、偵察機のような運用でしたが、通信衛星や放送衛星には民間が運用するものが多く、そもそも攻撃を想定せず、予備機がないものが多く、影響は長期に及びます、甚大ですし保証制度や保険制度も攻撃には想定外です。防御には攻撃を受けた場合、積極策が必要となります。

北大路機関:はるな くらま
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