■次の米軍再編の行方
空母10隻の体制は明らかに不足しているとの海軍の視点、戦術戦闘機が戦後最低の水準となっており即座に大量のF-35を必要とする空軍の視点、アメリカの国防政策には装備品調達の面で問題が山積しています。

次の米軍再編の行方はどうなるのか。イラクアフガニスタンでの膨大な戦費と国防政策の長期的視野の欠缺が背景にありますが、ほかにも耐爆車両に重点大き過ぎ火砲や将来戦車と将来装甲戦闘車の重師団への配備が致命的に遅延している視点、国防政策を再編するためには非常に厳しい問題を突き付けているのですが、そもそもこれら視点はイラク戦争治安作戦最盛期の国防費、邦貨換算50兆円という天文学的支出の際に構想された計画でも溢れた内容が含まれると共に、実行するには非常に厳しい歳出の上限が突き付けられている訳です。

大統領選での軍隊の再建を呈示している候補がいますが、どの方向性に向けて国軍を再建するのかが非常に不明確となっていまして、例えば15個旅団の編成で中断しているストライカー旅団戦闘団、当初は55個旅団戦闘団をストライカーにより構成するという遠大な計画が立てられていました、このストライカー旅団戦闘団ですが、目岸夫国境からの大量不法移民に対し、特に重武装の麻薬組織が浸透する傾向もある事から純粋にアメリカ本土防衛だけを考える場合にはストライカー旅団戦闘団の再整備を行う必要が出てきます。

一個ストライカー旅団戦闘団の編成には300両以上のストライカー装甲車が必要となりますが、各種150万ドルから400万ドルという費用を要し、もちろんストライカー機動砲等は105mm戦車砲を搭載している為、待伏せならばT-72主力戦車へ対抗できるものであり、国境警備に限るならば十分に対応できるでしょう。しかし、T-80主力戦車に対抗できるかは非常に厳しく、国境警備や地域紛争の初動段階での鎮静化作戦には威力を発揮するでしょうが、欧州正面での同盟国の危機や中国との全面戦争を覚悟しなければならない状況においてはその能力は必ずしも十分とは言えません。

一方、壁の建設に代表されるアメリカ本土への立てこもり的な国防政策を提示しつつ、南シナ海での中国の行動にくぎを刺すためには、ジェラルドフォード級航空母艦、一隻70億ドルの建造費と一機1億ドルのF-35C戦闘機を50機搭載する高価な航空母艦を、中国の対艦弾道弾の脅威に対応できる一隻8億ドルのイージス艦を護衛に配置した空母任務群を複数整備し、展開させなければなりません。

具体策を示せば相手に手の内をさらすと拒否する候補がいますが、これでは政策を立てられません。国防費について上限があるのですから、どれかに絞らなければならない以上、その方向性、本土立てこもりの防衛政策をアメリカが実施する、いわばモンロードクトリンを再演するためにアメリカ以外の世界では大きな情勢変化が生じるのか、アメリカが戦力投射能力を強化するためアメリカの国防政策に歩調を合わせる同盟国はその方向性に合わせて装備体系及び装備運用体系の再編を強いられるのか、分からないのです。分からないと単純に示すのは簡単ですが、この根拠としまして、提示する施策が両極端であると共に矛盾しているものなのです。

故に、どこまで本気の政策を呈示しているのかが不明確で、どちらに転ぶかわからない、次の日の一言ですべて反故とするリスクもあれば、前日つきつけた要求は冷徹に実行を要求する可能性がある、故に無駄となる覚悟と共にあらゆる政策へ予防策を張り巡らす必要があり、この負担が結果的に何の成果に結ばれる事は無くとも支出だけが増大する可能性がある。アメリカが引きこもるのであれば戦力投射の代替策を準備するか、文字通り鎖国に近い専守防衛へ国土要塞化を進める必要がありますが、両極端のアメリカに振り回される可能性は、悪夢としか言いようがありません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
空母10隻の体制は明らかに不足しているとの海軍の視点、戦術戦闘機が戦後最低の水準となっており即座に大量のF-35を必要とする空軍の視点、アメリカの国防政策には装備品調達の面で問題が山積しています。

次の米軍再編の行方はどうなるのか。イラクアフガニスタンでの膨大な戦費と国防政策の長期的視野の欠缺が背景にありますが、ほかにも耐爆車両に重点大き過ぎ火砲や将来戦車と将来装甲戦闘車の重師団への配備が致命的に遅延している視点、国防政策を再編するためには非常に厳しい問題を突き付けているのですが、そもそもこれら視点はイラク戦争治安作戦最盛期の国防費、邦貨換算50兆円という天文学的支出の際に構想された計画でも溢れた内容が含まれると共に、実行するには非常に厳しい歳出の上限が突き付けられている訳です。

大統領選での軍隊の再建を呈示している候補がいますが、どの方向性に向けて国軍を再建するのかが非常に不明確となっていまして、例えば15個旅団の編成で中断しているストライカー旅団戦闘団、当初は55個旅団戦闘団をストライカーにより構成するという遠大な計画が立てられていました、このストライカー旅団戦闘団ですが、目岸夫国境からの大量不法移民に対し、特に重武装の麻薬組織が浸透する傾向もある事から純粋にアメリカ本土防衛だけを考える場合にはストライカー旅団戦闘団の再整備を行う必要が出てきます。

一個ストライカー旅団戦闘団の編成には300両以上のストライカー装甲車が必要となりますが、各種150万ドルから400万ドルという費用を要し、もちろんストライカー機動砲等は105mm戦車砲を搭載している為、待伏せならばT-72主力戦車へ対抗できるものであり、国境警備に限るならば十分に対応できるでしょう。しかし、T-80主力戦車に対抗できるかは非常に厳しく、国境警備や地域紛争の初動段階での鎮静化作戦には威力を発揮するでしょうが、欧州正面での同盟国の危機や中国との全面戦争を覚悟しなければならない状況においてはその能力は必ずしも十分とは言えません。

一方、壁の建設に代表されるアメリカ本土への立てこもり的な国防政策を提示しつつ、南シナ海での中国の行動にくぎを刺すためには、ジェラルドフォード級航空母艦、一隻70億ドルの建造費と一機1億ドルのF-35C戦闘機を50機搭載する高価な航空母艦を、中国の対艦弾道弾の脅威に対応できる一隻8億ドルのイージス艦を護衛に配置した空母任務群を複数整備し、展開させなければなりません。

具体策を示せば相手に手の内をさらすと拒否する候補がいますが、これでは政策を立てられません。国防費について上限があるのですから、どれかに絞らなければならない以上、その方向性、本土立てこもりの防衛政策をアメリカが実施する、いわばモンロードクトリンを再演するためにアメリカ以外の世界では大きな情勢変化が生じるのか、アメリカが戦力投射能力を強化するためアメリカの国防政策に歩調を合わせる同盟国はその方向性に合わせて装備体系及び装備運用体系の再編を強いられるのか、分からないのです。分からないと単純に示すのは簡単ですが、この根拠としまして、提示する施策が両極端であると共に矛盾しているものなのです。

故に、どこまで本気の政策を呈示しているのかが不明確で、どちらに転ぶかわからない、次の日の一言ですべて反故とするリスクもあれば、前日つきつけた要求は冷徹に実行を要求する可能性がある、故に無駄となる覚悟と共にあらゆる政策へ予防策を張り巡らす必要があり、この負担が結果的に何の成果に結ばれる事は無くとも支出だけが増大する可能性がある。アメリカが引きこもるのであれば戦力投射の代替策を準備するか、文字通り鎖国に近い専守防衛へ国土要塞化を進める必要がありますが、両極端のアメリカに振り回される可能性は、悪夢としか言いようがありません。
北大路機関:はるな くらま
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