北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成26年度協同転地演習(師団等転地) 中部方面区~北部方面区、第10師団基幹で開始

2014-06-29 23:43:59 | 防衛・安全保障

◆人員3200名・車両1100両が参加

 防衛省によれば、6月26日より平成26年度協同転地演習(師団等転地演習)が開始されました。

Himg_8645 協同転地演習とは、旧称北方機動演習、かつてはオーロラ演習とも呼ばれ、冷戦時代に北海道への軍事脅威が増大した際などを想定し、本土の師団をソ連脅威正面である北海道に緊急展開させる目的で実施されていた演習で、自衛隊の長距離緊急展開に関する必要な能力などを演練することに主眼があります。 

Himg_6375_2 統合機動防衛力の整備が進められる中、陸上自衛隊は有事における正面hの全国的な加えて迅速な機動展開能力の整備が求められているため、この演習の重要性はさらに高まると共に、併せて北部方面隊管区からの機動訓練も別演習として実施されます。

Himg_0176 平成26年度協同転地演習は中部方面隊が訓練実施を担い、中部方面総監堀口英利陸将が担任官とし、訓練参加部隊は第10師団を基幹とした部隊が担当、中部方面隊区から北部方面隊区までの機動を実施し、更に北部方面隊管区の広大な演習場を活用し、長距離射撃訓練や実爆訓練を行う。

Himg_5498 第10師団からは、人員3200名、車両1100両、航空機15機が参加し、車両には74式戦車9両とFH-70榴弾砲21門が参加します。また、航空機は第10師団に加え増援部隊が参加し、UH-1J多用途ヘリコプターやOH-6観測ヘリコプターのほかにCH-47輸送ヘリコプターが参加すると発表されました。

Himg_4161 演習は機動訓練と転地先訓練に分かれており、機動訓練は6月26日から7月7日までの期間に車両による自走及び鉄道車両による陸上長距離移動、海上自衛隊及び民間輸送船による海上輸送、航空自衛隊輸送機や民間旅客機、加えて陸上自衛隊航空機による機動が実施されます。

Himg_6019 部隊は北海道浜大樹訓練場にて7月8日と9日の両日に海上自衛隊輸送艦からのLCACによる揚陸訓練が実施されます。続く転地先訓練では矢臼別演習場での行進と集結地での行動に加え攻撃等の一連の訓練を実施し、更に野砲の長距離実弾射撃訓練及び実爆破訓練を実施するとのこと。

Himg_8809 長距離機動訓練は7月17日から7月25日の期間に車両による自走及び鉄道車両による陸上長距離移動、海上自衛隊及び民間輸送船による海上輸送、航空自衛隊輸送機や民間旅客機、加えて陸上自衛隊航空機による機動と、展開時と同じ行動を行い、駐屯地へ戻る。

Himg_3724 他方で、冷戦期と比べ自衛隊の緊急展開に関する障壁は増大しています。主たるものは、冷戦時代、北海道への緊急展開が想定されていたため、北海道には人員を中心に機動展開すれば、第1戦車群等の方面直轄部隊や輸送部隊のトラックを受領し連隊戦闘団を編成することが出来たため、実に装備事前備蓄に近い体制が採られていました。

Gimg_9885 しかし、現代の状況は脅威正面が北海道を含め南西諸島や九州地区に山陰方面など多様化するとともに、装備品定数の効率化により事前備蓄を行うことが出来ず、併せて陣地防御から機動防衛への転換と共に普通科部隊の自動車化が進み、運ばねばならない装備の総量が劇的に増大するに至っています。

Img_2624 限られた予算では機動展開に必要な艦船や航空機の取得や運用に限界があるため、輸送における民間との協力体制や輸送艦艇の効率運用など、研究しなければならない点は非常に多く、演習の意義は大きいというわけです。

北大路機関:はるな

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