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世界遺産 仁和寺 (旧御室御所)散策記

2007-01-18 16:10:37 | 写真

■仁和寺探訪記

 私事ながら多忙を極めたセメスターのプレゼンテーションも一段落し、時間も空いたので久々に仁和寺へと足を運んだ。

Img_4778  仁和寺は、平安時代において第58代光孝天皇により西山御願寺として建立したのがその始まりで、光孝天皇崩御後の仁和四年(888年)、宇多天皇が先帝の意志を継ぐかたちで仁和寺を完成させた。宇多天皇は、退位したのち出家し、三十年以上にわたり真言密教の修行をここ仁和寺において励まれ、以後、明治維新までのあいだ天皇家が仁和寺の門跡となられ、寺は御室御所とよばれるきっかけとなった。そして1994年に世界遺産に指定され、今日に至る。

Img_4716  最初に挙げた写真は、寺の正門というべき二王門で、此処から入り、参道を進むと朱色が鮮やかな中門が見えてくる。この階段部分を登ると、金堂や五重塔にいたる重要文化財、国宝が立ち並ぶ。

 当日は、松などの樹木の消毒作業日だったのか、コンプレッサーの音が響き、噴霧器の霧状薬剤が撒かれていた(霧状の薬剤を霧に見立て五重塔の写真を撮ろうとしたが上手く行かなかった)。

Img_4732  江戸時代に立てられたこの五重塔は、高さ36㍍(塔高32㍍)あり、寛永年間の建築物である。

 重要文化財指定を受けているこの五重塔は、中門をくぐるとその右側にそびえ、鬱蒼とした木立の中にその存在を示している。屋根の大きさがどの層も同じという江戸期の特徴を有しており、近世に立てられた五重塔の中でも古寺の塔として貫禄を示している。

Img_4741  五重塔の裏手には、拝殿、そして九所明神があり、裏手から金堂へ向かう途上に、この経蔵がある。

 この経蔵は重要文化財指定を受けており、様々な経典が安置されている。境内はその多くが木々により占められており、観光の閑散期ということもあり、静さが伝わりそうな写真に仕上がっているが、実際、平日ということもあってか観光客は数人しか見かけなかった。

Img_4746  国宝、金堂。中門をくぐるとその正面に見える建物である。

 仁和寺が寛永年間に再興された際、この金堂は京都御所の紫辰殿を移築し建立されたもので、本尊は国宝である阿弥陀如来である。同じく阿弥陀如来坐像は、霊宝館に保存され、年に二回、四月一日と十月一日から、それぞれ50日間の名宝展というかたちで、特別公開を行っている。

Img_4750  金堂から更に西へ、水掛不動尊の前を通り、写真は観音堂へと続く道。この位置から反対側へ進めば、西門を出て御室八十八箇所巡りという巡拝をすることが出来、八十八箇所は3kmの道程で、約二時間ほどで回る順路となっている。

 本日は時間の都合もあり、八十八箇所巡りは行わなかった。道は成就山へと続くとあったので、山道なのであろうか。

Img_4747  写真は、前の写真とほぼ同じ位置から撮影したもの。

 18㍉広角レンズの威力というべきか、これまでに上げた建物が一枚のフレームに収まっている。手前の朱色の建物が鐘楼で、その向こうに金堂、そして更に向こうに経蔵がみえる。

 木々の葉が落ちてしまっているのがやや残念であるが、これは季節柄致し方ない。

Img_4759  観音堂から再び五重塔を望む。葉の落ちた木々は、かの有名な名勝御室桜である。春には満開の花々がこの一面を覆う。

 御室桜の中でも御室の地特有の桜は「御室有明」として特に有名であるが、行った経験からしてやや遅咲きであるので、桜予報などの報道をみてから花見には出かけられることをお勧めする(入り口のところで係員さんに聞くという手もあるが、それは野暮というものであろう)。

Img_4765  中門から二王門(仁王門ではなく二王門)を望む。中門が比較的高いところに築かれた事が端的に分かる写真である。

 90000平方㍍の境内であるが、この参道の左右(東西)には、東側に京料理や喫茶など食事をとることができる御室会館があり、その向こうに東門、そして比較的大きな駐車場があり、参道の西側には本坊や庭園などがあり、こちらも見ごたえのあるものだ。

Img_4767  本坊へ続く勅使門。辰殿を中心に白書院、黒書院という構成になっているが、この部分は江戸時代に京都御所の常御殿を移築したものであったのだが、残念なことに1887年に火災により焼失してしまい、明治期から大正初期にかけて再建された。

 したがって再建されたものではあるものの、当時の最高の技術を持って復元されたものである。

Img_4779  二王門を外側から観た写真。すぐ外は車道である。

 二王門のすぐ西側には京都駅や四条河原町方面に向かうバス停があり、龍安寺方面、若しくは妙心寺方面を経由し、それぞれ目的地に向かう。双方とも40分ほどでJR京都駅、阪急河原町駅に到達するという。また、59系統や26系統など4種の系統が停車する為、比較的バスの本数は多い。

Img_4782  鉄道線は京福電鉄御室駅にて降車すると二王門がみえてくる。

 しかし、京福電鉄は、北野白梅町までバスで京都駅から35分、河原町駅からも25分ほどかかり、若しくは地下鉄五条駅から阪急線に乗り換え、更に京福線に乗り換えるという非常にめんどうな道程となってしまうが、古い車輌の多い京福電車は京都ならではの情緒をかもし出し、また嵐山へも連絡が容易である。

Img_4780  京都駅からはやや距離があるものの、桜の時期や紅葉の時期は境内は多くの観光客で覆われ、また、行くだけの感動を得られる場所である。皆さんも京と観光の際には是非立ち寄られてみては如何だろうか。

HARUNA

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