ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『太陽にほえろ!』#467

2022-10-10 22:35:29 | 刑事ドラマ'80年代

数少ない’81年スコッチ(沖 雅也)主演作の1本で、久々にハードボイルドな滝隆一が観られる貴重な作品。

この後は謎解き編1本と殉職編があるだけで、スコッチらしいスコッチはもう、これが見納めと言って良いと思います。だからレビューすることにしました。



☆第467話『スコッチ非情』(1981.7.24.OA/脚本=長野 洋/監督=鈴木一平)

スコッチが宿直を務める夜、七曲署捜査一係に「7月24日に人が殺されます」という、タレコミなのか殺人予告なのかよく分からない電話がかかって来ます。

しかし単なる悪戯じゃないと直感したスコッチは、電話の主を捜そうとするんだけど、さすがに手掛かりが無さすぎて捜査は難航。



そんな折り、ちょっとした交通違反をパトロール警官に見られた男が、車を暴走させて逃げようとし、逮捕されます。

その男=石山(遠藤征慈)の声を聞いて、スコッチがピンと来ます。あの電話の男だ!

逃走した理由を頑として言わない石山は、明らかに何か重大な秘密を隠してる。

身辺を調べてみると、彼が数日前にサラ金からの借金400万円を一括返済してることが判明。ちょうどその前夜、汚職事件で内偵中だった大手商事会社の経理課長が轢き逃げに遭って死んでおり、一係が殺人の線で捜査してたところ。もしかして、2つの事件は繋がってる?



そう、かつてスタントマンだった石山は、汚職事件の関係者を消そうとする闇組織に眼をつけられ、雇われて、どうやら轢き逃げの片棒を担がされた。

ということは、彼が電話で予告した7月24日に、次のターゲットが殺される!? それはいったい誰なのか!?



スコッチは石山を徹夜で取り調べ、一睡もさせずに攻め続け、「眠りたければ吐け」と自白を強要しますw なにせ昭和です。殴らないだけマシなんです。

心配した石山の奥さんが差し入れを持って来ても、冷たく追い返しちゃう鬼夜叉ぶり。これぞスコッチの真骨頂!



そして、奥さんが来たときの石山の反応を見て、スコッチは察します。秘密をバラせば妻子を殺すと、彼は組織に脅されてるに違いない! だから密告電話を入れておきながら、途中から貝になっちゃった。

となるともう、石山の口を割らせるのは絶望的。7月24日は翌日に迫ってる。残された手段は1つだけ。石山を釈放し、泳がせるしかない。つまり、暗殺計画をあえて実行させる危険なオトリ作戦。

当然、その前に石山が消されちゃう可能性も高く、スニーカー(山下真司)が久々にスコッチと対立します。



「滝さん、石山だって人間ですよ!? 犯罪者かも知れないけど、あいつにだって奥さんや子供がいるんですよ!」

「放っておけばまた違う人間が殺されてしまうんだ!」



当然、スコッチはクビを覚悟の上で言ってる。その気持ちがよく解るというか、こういうムチャを今まで率先してやって来た山さん(露口 茂)に、止める資格はありませんw

「よし、やってみろ」



翌日、釈放された石山は、スニーカーが危惧した通り組織の刺客に襲撃され、休業中の遊園地へと逃げ込みます。そしてジェットコースターのスタートボタンを押すと、その線路に横たわるのでした。



そんな石山を、朝からずっと尾行して来たスコッチが、柱の陰で静かに見物しますw



結局、死ねずにレールから飛び降りた石山に、スコッチが声をかけます。

「死ぬのは勝手だがな。その前に、どこで誰が殺されるのか教えてもらおうか」



「あんた、朝からずっと尾けてたのか……人が死のうとしてるのがそんなに面白いのかっ!?」

「お前は自殺など出来ない」

「だったら殺してくれ! この場でオレを殺してくれよ!!」

「甘ったれるなっ!!」

スコッチのサボテンパンチをまともに食らった石山は、あんときの猪木みたく地べたに沈みます。



「お前は死ねばそれで済むかも知れん。だがな、残された奥さんや子供はどうなる? お前の家族だけじゃない、今日じゅうにもまた1人の命が無くなるかも知れないんだ!」

「…………」

「その殺される人間にも、家族はいるんだぞ! 誰だ? 誰が殺されるんだっ!?」



「こ……殺されるのは……」

今度こそ石山が白状しようとしたところを、またもや組織の刺客たちに襲撃され、スコッチの怒りが爆発!



マグナムを抜いたスコッチは、自分が連中の相手をしてるスキに七曲署へ通報するよう、石山に指示します。



「連絡ならあなたがして下さい! どうせ私は……」

「馬鹿野郎! たった今、命を粗末にするなと言ったろう!」

「あなただって殺されるかも知れないじゃないかっ!?」

「これはな、オレの仕事だ。行けっ!」



待ってました! スコッチ久々の銃撃戦! しかし残念ながら、まだ沖雅也さんの体調が万全じゃないんでしょう。大して動かず3〜4発撃っただけで片付けちゃう、スコッチにしちゃ淡泊なアクションでした。

けど、それでも、やっぱりスコッチがやるとサマになる。ちょっとした動きでもいちいちカッコいい!

なのに、これで見納めなんですよね。殉職編で格闘シーンはあるけど、銃撃戦はもう観られません。まさか最後になるとは、もちろん当時は夢にも思ってませんでした。



閑話休題。みごと刺客たちを倒したスコッチに、石山はようやく次のターゲットを知らせることが出来ました。この人なら、きっと家族も守ってくれる。そう確信したんでしょう。



もちろん、スコッチからの連絡により捜査一係の仲間たちが急行し、次のターゲット=汚職役員のお抱え運転手も死なせずに済みました。彼の証言により、汚職がすべて摘発されるのも時間の問題でしょう。



ヘロヘロになって刑事部屋に戻って来たスコッチを、山さんが無言で迎え入れます。スコッチもまた無言。なんで二人とも黙ってるのか、よく解りませんw

でも、それが死ぬほどカッコいい! 今どきの役者はムダに喋り過ぎなんですよ!



恒例のラストシーンにおける大団円でも、笑いを取るのはドック(神田正輝)やゴリさん(竜 雷太)に任せて、主役のスコッチと山さんはやっぱり無言w それで画になるんだから凄いワケです。



前年と比べると眼力が弱い気がするし、ちょっと肥えたせいもあって動きにシャープさが無いんだけど、それでも、ただ無言で立ってるだけでも画になっちゃうスコッチ=沖雅也は健在なり!

だから、もっと長く、無理しないペースで続けて頂きたかった! ジプシーやデュークも決して悪くはないけど、やっぱりスコッチが完璧すぎました。まさに唯一無二です。合掌。
 


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