ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『日本沈没/希望のひと』最終回

2021-12-19 23:47:07 | TVドラマ全般

不覚にも、けっこう楽しんで観られたし、最終回は泣かされちゃいました。

とは言ってもやっぱ「日曜劇場」だから、不満点はいくつもあります。内輪のゴタゴタ劇と裏切り者当てゲームで尺を稼ぐ『半沢直樹』商法には心底ウンザリしたし、もう残り2話ぐらいの段になって官房長官(杉本哲太)の裏切りが発覚した時には失笑あるのみでしたw もうすぐ日本が沈没するんやで!?

最初はバラバラだったチームが最後には一致団結したり、ずっと悪役だった人がここぞ!って時に一番頼りになる味方になったり等、定石通りの泣かせパターンもやっぱ「いつもの日曜劇場」でしたw

だけど今回だけは「もうええわ!」ってチャンネルを替える気にならなかったんですよね。クライマックスの沈没(スペクタクル)シーンがどう描かれるか見届けたいっていうのもあったけど、それだけじゃない。泣かされたって事はちゃんと感情移入して観てたワケです。

この『日本沈没/希望のひと』が従来の「日曜劇場」と一体どう違ってたのか? なにが「日曜劇場」嫌いの私のハートを掴んだのか?

それは多分、あまりにもストレートに伝わって来る、創り手たちのメッセージがそうさせたんだと思います。

環境省の官僚で政治家を目指す男(小栗 旬)が主人公で、サブタイトルが「希望のひと」でキャッチコピーが「信じられるリーダーはいるか。」と来れば、理想のリーダー像を描くドラマなのは明らかで、現実の我が国のリーダーにさんざんガッカリさせられた今年だからこそ、それをやる意味があるのがよく解ります。

それともう1つ、自然災害プラス疫病蔓延でいよいよ「破滅」が絵空事でなくなって来た今、我々が一番考えなきゃいけないことは何か?っていう問いかけ。

本当に日本がまるごと沈没することが有り得るのか否かはともかく、自然災害の規模がどんどん大きくなって来てるのは歴然たる事実ですから、そんなとき具体的にどんなことが起きて、我々はどう対処していくべきなのかをシュミレーションし、連ドラという形で解りやすく伝えることには大きな意義があると私は思いました。

そんな時にリーダーが内輪のゴタゴタで足を引っ張られることも現実にあり得るだろうし、海外への移民計画がやっと軌道に乗ったところで疫病が世界中に蔓延(温暖化で北極圏の永久凍土から太古のウイルスが復活!)して入国を拒否されちゃう!なんていうジェットコースター展開も、有り得ないなんて今や誰も言い切れませんからね。



しかしスペクタクル描写は最小限に抑えられ、大地震で負傷した小栗くんが病室で目覚めたら、都心はすでに半分沈んでましたっていう描き方になりました。

これはもう仕方ないですよね。現在の映像技術ならそんなに予算を掛けなくても描けた筈だけど、描くワケにいかないご時世なんだからどうしようもない。

スペクタクルを描かなきゃ『日本沈没』を映像化する意味が無いのでは?って最初は思ってたけど、そうじゃなくてこれはリーダー論のドラマなんだと途中で理解しました。

原作は同じでも昭和の頃と今とじゃ現実味がまるで違うから、同じ方法論では創り得ない。当然の処置だろうと思います。



とはいえ、ほとんどの市民が脱出し、もぬけの殻となった東京の風景はある意味スペクタクルと言えるかも? これはこれで相当な手間をかけた映像ですよね。



富士山の噴火と、水没していく関東平野。いま描けるギリギリのスペクタクルなんでしょう。

小栗くんや松ケンくんを乗せた自衛隊の飛行艇が助走中、崩落していく地面と追いかけっこするスリリングな場面もありました。あれってハリウッドの災害スペクタクルムービー『2012』からインスパイアされてると思うんだけど、あの映画で予言してた地球の寿命=2012年からもう10年経ってる! ってことは公開はもっと前!? うそーっ!! ついこないだやん!?



本当に日本全土が水没しちゃった昭和版と、草彅剛くんが1人で沈没を食い止めちゃった平成版との間をとって(?)、令和版はプレートの分裂により北海道と九州だけ沈没を免れちゃった!っていう結末。

そんなことが有り得るか否かも「神のみぞ知る」で、とにかく自然が猛威をふるい始めたら、もはや人間には逃げる以外に成す術なし。そういう意味じゃ原点に戻ったと言えそうです。

「もっと、恐れた方がいい。人間は、この地球があるからこそ生きていられる。皆そのことを忘れてしまっている」

ラストシーンにおける田所博士(香川照之)のセリフに、創り手たちのメッセージが集約されてます。

「止められるのは今しか無い。それが出来なければ、間違いなく地球は終わる。そのカウントダウンはもう、始まっている」



セクシーショットは外務省の官僚を演じた中村アンさん。厚生労働省官僚役のウエンツ瑛士くんと2人、場違い感がハンパなかったけどw、だからこそ一生懸命さが伝わって来て応援したくなりました。

私が日曜劇場をこんなに褒めることはもう、たぶん二度とありませんw



 

コメント
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