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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『魔界転生』1981

2021-06-20 17:54:21 | 日本映画









 
1981年に公開され、経営危機に陥ってた東映をこれ1本で救ったという、原作=山田風太郎、監督=深作欣二による角川映画の大ヒット作。私も当時劇場で観ました。

沢田研二! 千葉真一! 緒形拳! 若山富三郎! 室田日出男! 丹波哲郎! 真田広之! そして佳那晃子! 目もくらむような豪華キャストによるアクション&エロチシズムの伝奇大ロマン!!

もうそれだけでお腹いっぱい。ただひたすら殺し合うだけの内容なのに、何度観てもまったく色褪せない面白さ! エロイム・エッサイム、我は求め訴えたり!!

このブログを読まれてる世代の方には説明不要かと思いますが、寛永15年のキリシタン弾圧に端を発する「島原の乱」で、徳川幕府軍に12万人近い信者を惨殺された末に自害を遂げた天草四郎時貞(沢田研二)が、魔界の力によって蘇った!

四郎は自分と同じように無念の死を遂げた細川ガラシャ(佳那晃子)、宮本武蔵(緒形 拳)、宝蔵院胤舜(室田日出男)、伊賀の霧丸(真田広之)、そして柳生但馬守宗矩(若山富三郎)らを蘇らせ、幕府への……いや、現世すべての人間への復讐を果たすべく動き出した!

その前に立ちはだかるのは柳生但馬守宗矩の息子=柳生十兵衛光厳(千葉真一)! 伝説の刀職人=村正(丹波哲郎)に魔界衆をも斬れる妖刀「ムラマサ」を授かり、宮本武蔵、そして同じムラマサを持つ父の亡霊を倒した十兵衛は、ガラシャによって引き起こされた江戸城「明暦の大火」の中、首チョンパされても死なないジュリーとの一騎討ちに挑むのでした。



15年ほど前、私は『ジュラシック・パーク』のパロディー映画として、歴史上の剣豪たちをDNA操作で蘇らせた博物館がトラブルに陥り、制御不能になった剣豪たちが大暴れしちゃうストーリーを構想し、剣豪どうしの実際にはあり得ない対決カードが見られる画期的なアイデアだ!って大いに盛り上がったんだけど、冷静に考えりゃこれってただの『魔界転生』やん!ってw、山田風太郎先生の偉大さをあらためて思い知らされた恥ずかしいメモリーがあったりします。

でも、この1981年版『魔界転生』が抜群に面白いのは、そんな夢のカードを千葉真一さんや緒形拳さん、若山富三郎さん等ホンマモンの名優、二度と現れそうにないカリスマたちが演じればこそ!なんですよね。

武蔵VS十兵衛のカードも迫力満点だけど、それ以上にクライマックスにおける宗矩VS十兵衛の親子対決は、日本映画史上に残る名シーンだと思います。

千葉真一さんのアクションが凄いのは言わずもがな、その千葉さんに殺陣を教えた師匠が宗矩役の若山富三郎さん(勝新太郎さん=座頭市のお兄さん)ですからね!

これから鑑賞予定の2003年版『魔界転生』では十兵衛を佐藤浩市さん、宗矩を中村嘉葎雄さんが演じておられるけど、このスピードとキレと迫力を超えられるとは到底思えず、もう観る前から期待はしてません。

'81年版は背景の炎も全てホンモノ、実際にセットを燃やし、あの大スターたちが火傷を負いながら命懸けで演じてますからね! '03年版はどうせCGだろうし、よしんばホンモノでも役者に危険なマネは絶対させないでしょう。そういうのは確実に画面から伝わって来ますからね。



そんなアクションの迫力に加えて、沢田研二さん=ジュリーのカリスマ性と色気ですよ!

その容姿と佇まいはもちろん、今回あらためて観て痛感したのは、あの声の美しさ! 声だけじゃなく台詞回しの1つ1つが耳に心地好く、フハハハハハハ!っていう不気味な笑い声すら痺れるほどにカッコいい!! '03年版の窪塚洋介くんに勝ち目は100%ありません。



だけど'81年版『魔界転生』の大ヒットを真に決定づけたのは、多分これでしょう。村娘と恋に落ち、悪いことが出来なくなっちゃった伊賀の霧丸に、天草四郎が「あんなもんは犯せばいいんだ」とそそのかし、なぜかキスをするというハイライトシーン。

私は正直言って男どうしのキスシーンだけは見たくないんだけど、ジュリーと真田さんなら見てられる! 台本には無かった即興の演出らしく、やらせた深作欣二監督も凄いし、宣伝でこのシーンを大々的にプッシュした角川春樹プロデューサーもまた凄い! そこに女性客が飛びついたのが歴史的ヒットに繋がったのは間違いないでしょう。いやあ凄い、本当に凄い!



もちろん、ヒロインたちの魅力も忘れちゃいけません。霧丸と恋に落ちる村娘=おみつ役の菊地優子さん、武蔵が愛したお通の姪っ子=おつう役の神崎愛さんも素晴らしいけど、白眉は誰が何と言っても細川ガラシャ役の佳那晃子さんでしょう。

まったく惜しみなく脱いでくれるのも素晴らしいけど、たとえ脱がなくともこの妖艶さだけで我々はイッちゃいます。果たして'03年版のヒロイン=麻生久美子さん(ガラシャとは違うキャラみたいだけど)は佳那さんを超えられるか!? 唯一の見所はそこでしょう。

そんなワケで、とにかく'81年版『魔界転生』は最高に面白い! 未見の方はもちろん、しばらく観てない方にも是非オススメします!


 

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『里見八犬伝』

2021-06-02 09:17:06 | 日本映画








 
日本の冒険ファンタジー、RPG的アクション物と言えば、真っ先に連想するのがこの作品です。

SF時代劇、伝奇ロマン、東映JACアクション、そして薬師丸ひろ子と、全盛期の角川映画を彩った要素がてんこ盛りの、まさに集大成と呼ぶに相応しい1983年の大ヒット作。

原作・脚本は我らが残酷大将=鎌田敏夫さん、そして監督・共同脚本が、やり過ぎ大魔王の深作欣二さん。

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字が刻まれた霊玉を持つ八剣士は登場しますが、原典『南総里見八犬伝』とは全くの別物。

千葉真一、真田広之、志穂美悦子、寺田 農、京本政樹、刈谷俊介、大葉健二、福原拓也が演じる八犬士が、夏木マリ率いるバケモノ軍団に生命を狙われる姫=薬師丸ひろ子を護るため、重力を無視した死闘を繰り広げるオリジナル・ストーリーです。

当時話題になったのは、角川映画が生んだ2大スター=薬師丸ひろ子&真田広之の初共演と、ひろ子さん初のセックスシーン。(ごくソフトなもんだけど、国民的アイドルの濡れ場はインパクト絶大でした)



それだけにラブストーリーとしての側面が強いんだけど、そこは深作欣二監督ですからアクションシーンの熱気もハンパなく、老若男女が楽しめる娯楽大作に仕上がってます。

ひろ子&広之に加え、アクション女優として唯一無二の存在だった志穂美悦子さん、可憐さ極まる岡田奈々さん、そしてこれ1本だけでバケモノのイメージが定着した夏木マリさん(オールヌード披露!)、さらに京本政樹さん、萩原流行さん等、あの時代のセックスシンボルがこれでもかと登場する豪華キャスティング。

そして深作監督のケレン味溢れる演出と、ジャパンアクションクラブのトップ3が魅せる華麗なアクション。いずれも様式美って言うか、舞を踊ってるみたいな感じでリアルじゃないのが私は不満だけど、このファンタジーの世界観には絶妙にマッチしてます。

ハリボテ感が否めないセットに大蛇や大ムカデ、合成丸出しの特撮など、当時にしてトホホだった日本映画のチープ感も、CG処理が当たり前になった今観ると逆に、その手作りの感触こそが大きな魅力になってます。



やっぱり、全てが熱いんですよね。大スターたちが本当に身体を張ったアクションや、現場で手間暇かけた特撮から伝わって来る熱気だけは、いくらハイテク技術が進化しても再現することは出来ません。

唯一残念なのは、当時は新鮮だったシンセサイザー主体のBGMやロックバンドによる英語の主題歌。時代劇にポップな音楽を使う「攻めてる感じ」は角川映画らしくて良いんだけど、トレンドであればあるほど時が経つと古臭くダサいものになっちゃう。まぁしかし、それも’80年代ならではの味と言えば味で、魅力の1つになってるかも知れません。

当時、私も劇場でこの映画を観ました。志穂美悦子さんが討ち死にする際に呟いた、このセリフが特に印象深かったです。

「誰にも愛されず、誰も愛さず……」

多くを語らず、たった一言で彼女の生き様を表現した、見事なセリフだと今でも思います。私も、死ぬ時に言う予定ですw



岡田奈々さんはアイドル歌手出身の女優さんで、私にとっては『俺たちの旅』や『ゆうひが丘の総理大臣』等の日テレ青春ドラマでお馴染みだった方。

本作では京本政樹さん扮する八犬士の1人と禁断の恋に落ちる義妹の役で、それを知って怒り狂った父親に斬り殺されるも夏木マリ軍団によって妖怪として蘇り、クライマックスで愛する義兄と対決するという、過酷な運命を背負ったキャラばかり揃った中でも特に悲惨な眼に遭うサブヒロイン役で、強い印象を残してくれました。

可憐なばかりじゃなく激しさや妖しさも見せる体当たりの演技で、これは代表作の1つと言えるんじゃないでしょうか。

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『ねらわれた学園』

2021-05-31 18:25:14 | 日本映画








 
1981年に公開された、大林宣彦監督5本目のメジャー作品。眉村卓原作、東宝配給による角川映画で、松任谷由実さんの主題歌『守ってあげたい』と併せて大ヒットし、主演の薬師丸ひろ子さんを一躍トップアイドルに押し上げた作品です。私は当時劇場で観ました。

たのきんトリオの映画『ブルージーンズメモリー』と二本立てだった筈なのに、そっちの方はまったく記憶に残ってませんw たのきんへの興味がゼロを超えてマイナス100だったせいもあるけど、それ以上にこの『ねらわれた学園』が強烈すぎたw

たぶん、私が初めて観た大林映画がコレなんですよね。だから、その後しばらく経って『転校生』『時をかける少女』をテレビで観て感動し、続いて劇場で観た『さびしんぼう』がマイ・フェイバリット日本映画になるまで、大林宣彦という監督さんには「とにかくヘンな映画を創る人」ってイメージしか抱いてませんでした。

いやあ~しかし、ほんとヘンだった。とにかくヘンだった!w 上に並べた画像を一見するとフツーの学園物アイドル映画なんだけど、よくご覧下さい。ヒロイン=由香(薬師丸ひろ子)とそのカレシ(高柳良一)が通う高校はなぜか副都心のど真ん中、新宿公園にある!w(もちろん背景は合成) しかも文化祭でもないのに学生たちがローラースケートで校庭を走り回り、朝からダンスを踊ってる!

アイドル映画なのにヒロインが完全無欠の優等生で、最初から恋人がいるのも異色だし、ライバル優等生役の手塚眞さんがひとり珍妙な芝居で浮きまくってるし、三浦浩一さんや明日香和泉さん演じる教師たちのキャラクターも明らかにヘン。

ヒロインやその両親(山本耕一&赤座美代子)が自宅でいつも和服を着てるのも、後に大林作品じゃ定番(戦中世代ならではのこだわり)であることを知るんだけど当時は「んなヤツはおらんやろ~」感に溢れてました。

けど、そんなのは序の口、ほんの些末なことに過ぎません。本格的におかしくなるのは中盤、この人たちが登場してからですw




ストーリーは至ってシンプル。ある日、超能力に目覚めたヒロイン=由香が、念力を使って剣道部キャプテンのカレシを地区大会で優勝させたりなど調子に乗ってたら、同じく超能力を持った美少女転校生=みちる(長谷川真砂美)から目の敵にされた上、マントを羽織った謎のド変態男=峰岸徹につきまとわれたもんだからさぁ困った!

転校生なのにいきなり生徒会長に就任したみちるは独裁政治をおっ始め、呆けた学生どもを謎のスパルタ塾に放り込んで片っ端から洗脳していきます。

彼女を操る峰岸徹の正体は金星からやって来た「星の魔王子」であり、目的はもちろん地球征服。強い念力を持った由香を仲間に引き入れ、みちると同じ助手にしようとするんだけど、完全無欠のスーパーヒロインである由香は迷わず突っぱねます。

「あなたは人間じゃないのね!?」

「わたしは、宇宙だ!」

「わたしは人間です!」

そんな哲学的な問答の末、由香が指先から発する愛のネグリジェ光線を浴びた魔王子は、あっけなく敗北を認めて「金星に帰ってよく考えます」との捨て台詞を残し、去っていくのでしたw



今となってはカルト映画として楽しめるし、大林監督の反戦メッセージ(怠惰な大衆をカリスマ性で束ねていくやり口は、まさにファシズム台頭のメタファー)を読み取ることも出来るんだけど、当時高校生になったばかりのガキンチョだった私には「子供だまし」の絵空事にしか見えず、魔王子のコスチュームとか手描きの光線(ほんとにフィルムに色鉛筆で描いたそうなw)描写は、当時の感覚ですでに前時代的で、超ダサかったw なもんで、初めて観た時はほんとガッカリしました。

けど、それもこれも今となっては愛おしいワケです。無味乾燥で予定調和な昨今のCG特撮じゃ絶対に味わえない、手作りの楽しさと温かさとセンス・オブ・ワンダーがこの作品には溢れてる!

薬師丸ひろ子さんや長谷川真砂美さんは「一体わたしは何をやらされてるんだろう?」って思いながら演じたに決まってるけどw、峰岸さんはどう見てもノリノリですからね!w 心底から楽しんでおられるのが画面から伝わって来ますw そういうのはやっぱ、観てるこっちも楽しくなっちゃう。

だから今、この映画は海外でも『HOUSE/ハウス』('77) と並んでカルトな人気を獲得し、世界各地で上映されてるそうです。このテのストーリーは万国共通ですからね。



製作当時、プロデューサーの角川春樹さんから大林さんに伝えられたのは、『ハウス』みたいなオモチャ箱ムービーをもう一度っていうのと、薬師丸ひろ子を是非とも「アイドル」にして欲しい!っていうオファー。

あの頃、すでに映画ファンには認知されてた薬師丸さんも、まだ全国区のアイドルにはなってなかった。それをアイドル化させる戦略を立て、大林さんに先導役を委ねた角川さんの嗅覚の鋭さは本当に凄い!としか言いようありません。

同じ「角川三人娘」の原田知世さんも結局、大林さんの『時をかける少女』('83) で本格ブレイクしたワケだし、ついでに両作で主題歌を担当されたユーミンさんまで再ブレイクしてますから。

薬師丸ひろ子さんと角川映画、ユーミン、そして次にいよいよ『転校生』('82) を撮られる大林監督と、上昇気流に乗りまくってる人たちの野心と遊び心と映画愛が詰まったこの『ねらわれた学園』、当時ガッカリしたり失笑しちゃった方にこそ是非、いま一度観直して頂きたいです。

やっぱり失笑するかも知れないけどw、その熱すぎるエネルギーと薬師丸さんの可愛さに胸踊らされるのは間違いないと保障します。ホントおかしな映画ですw

PS. 確か『時をかける少女』についてのコメントで、ヒロインのタイムリープ能力は「性の目覚め」のメタファーだと大林さんが語っておられた記憶があり、この『ねらわれた学園』における由香の超能力も、いま観ると明らかにそれを匂わせてるように感じます。そういう意味じゃ最もエロい薬師丸さんを堪能できる映画、と言えなくもないかも?

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『海辺の映画館/キネマの玉手箱』

2021-05-24 16:55:11 | 日本映画









 
2020年7月のコロナ禍に公開された、大林宣彦監督のオリジナル企画による遺作です。亡くなられたのは同年4月なので没後の公開となりました。

大林監督は前作『花筐/HANAGATAMI』('17) のクランクイン直前に肺ガンで「余命3ヶ月」の宣告を受けており、そこから3時間に及ぶ大作を2本(!)完成させられたという、その事実だけで涙なくしては語れません。

そして2本とも明確にして切実な反戦映画であり、この遺作は前作に比べると難解さが緩和され、よりストレートな大林さんのメッセージ、というか「願い」がダイレクトに伝わって来ます。

だから、これは是非とも皆さんにも観て頂きたいです。「映画で歴史は変えられないけど、未来は変えられるかも知れない」っていう大林さんの想いを、1人でも多くの方に受け止めて頂きたいです。

大林さんが脚本に着手された'17年の時点ですでに、世の中はかなりヤバい方向に向かっており、コロナ禍になってより一層、私ら人間はヤバい本性をむき出しにしちゃってます。このまま行けば本当に大戦争になりかねない……っていうか、多分なるでしょう。

そうなる前に今一度、これまで私らが犯して来たことのムゴさと愚かさを振り返ってみようじゃないかと、そういうコンセプトで創られた作品なのは間違いないと思います。

ながら見のテレビやインターネットだと「他人事」で済まされかねないけど、暗闇で集中しながら観る映画、皆がより感情移入しやすい映画ならば、若い世代にも願いが届くかも知れない。そういう事だろうと思います。

私は受け止めました。もう若くはないけど戦争は知らず、どこか対岸の火事みたいに思ってたけど、天災や疫病と同じように戦争も今そこにある危機と恐怖と理不尽であり、人間というモンスターがこの世に存在する限り、いつ我が身に降りかかってもおかしくないことを痛感しました。

もちろん、そこは大林さんですから重くならず、作品は遊び心満載のエンターテイメント大作に仕上がってます。だからこそ伝わるんですよね!

私のフェイバリット日本映画は大林さんの『さびしんぼう』('85) だけど、生前の黒澤明監督も同作を大変気に入られ、若い世代へのバトン役を大林さんに直接託されたんだとか。大林さんはそれをずっと意識されてたそうで、この映画には黒澤監督の想いも込められてるワケです。

敬愛申し上げる大林監督が文字通り命懸けで、最期の力を振り絞って撮られた渾身の大作を、劇場で観られなかったことが残念でなりません。この状況はほんと戦時下に近いのかも知れません。



さっき大林監督が最期の力を振り絞って……なんて書きましたけど、実際は構想しておられた更なる「次回作」への繋ぎとして、久々(本格的にロケするのは20年ぶり)に故郷の尾道で「気軽に楽しめるエンターテイメント」でも撮ってみるかって、そんなノリだったんだそうです。ホントにまったく、なんて人だ!w

今夜限りで閉館する、尾道で唯一残る映画館「瀬戸内キネマ」を訪れた青年3人(厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦)が「日本の戦争映画大特集」の最終オールナイト上映で映画の世界にタイムスリップするという、確かにパッと見はありがちな娯楽ファンタジー。

だけど実際は、若者3人が戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争下の沖縄などを巡り、そこで出逢って恋に落ちた女性たちを救おうとするんだけど、結局1人も救えないまま広島であの夏の日を迎えてしまうという、悲惨と言えばあまりに悲惨なストーリー。当たり前です、それが戦争なんです。

そこで描かれるのは敵国との戦いよりも、むしろ「お国のため」という大義名分の下、日本人が日本人に対して現実に犯して来た残虐非道な行いの数々。状況によって人間が如何に冷酷になれるか、そして如何に同じ過ちを何度も繰り返して来たか、それが全て「映画」であるからこそ痛烈に思い知らされます。

ヒロインたちを新人の吉田玲、成海璃子、山崎紘菜、そして常盤貴子が演じ、歴史上の人物たちを高橋幸宏、小林稔侍、白石加代子、入江若葉、尾美としのり、蛭子能収、片岡鶴太郎、南原清隆、武田鉄矢、村田雄浩、稲垣吾郎、柄本時生、浅野忠信、渡辺裕之、笹野高史、川上麻衣子、伊藤歩、根岸季衣、渡辺えり、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、寺島咲、有坂来瞳、中江有里etc…と、大林映画の常連やゆかりの俳優さんたちが演じておられます。隅から隅まで凄い顔ぶれで、まさに最終作に相応しい豪華キャスト!

ちなみにヒロインたちの役名が、成海さん=斉藤一美、山崎さん=芳山和子、常磐さん=橘百合子。私と同じく'80年代に青春を過ごされた映画ファンなら、それらの名前を聞いただけでキュンと来てジンと泣けるのでは?

そう、我らが金字塔=尾道三部作『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』のヒロインたちと同じ名前です。これは脚本執筆に参加された内藤忠司さんの提案だったそうだけど、やっぱり大林映画の集大成、有終の美を意識せずにいられません。



もちろん、大林監督と言えば映像の魔術師であると同時に、脱がせの魔術師。今回も山崎紘菜さんと成海璃子さんが当たり前のように脱ぎ、それぞれ濡れ場も演じておられます。特に成海さんは私のストライクど真ん中な女性なもんで、相手役の細田善彦くんがチョー羨ましいです。

とはいえ、前作『花筐』もそうだったけど、オールヌードでありながら乳首やアンダーヘアはCGで見えないよう加工されており、さながら昔のアニメみたいになってますw

観客をストーリーに集中させる為の配慮なのか、あるいは今時そうでもしないとタレント事務所の許可が下りないのか?

映画の中じゃ意味のあるヌードでも、そこだけ切り取られてネットに上げられたら単なるエロ画像になっちゃう。それをブログに載せて何度も公開停止処分を食らってるバカも巷にいますからねw(私のことです、念のため)

そんな風に映画を取り巻く環境も時代と共に変わって来たけど、CGよりも手作り特撮に凝りまくる我らが大林映画の温かみは、最後の最後まで健在すぎるほど健在で、今回もやっぱり面白かった! いやホント、3時間の長尺がちっとも苦になりません。ほんとにオススメです!

私は正直なところ、数ある大林映画の半分も実は観てないんだけど、観た作品はどれも例外なく、いろんな意味で楽しませて頂きました。クリエイターの端くれとして少なからず影響も受けて来ました。間違いなくマイ・フェイバリット映画監督です。

さようなら、そして本当にありがとう! 大林宣彦監督!

 

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『花筐/HANAGATAMI』

2021-05-17 20:00:09 | 日本映画






 
2017年に公開された大林宣彦監督による日本映画です。原作は檀一雄さんの純文学『花筐』。

この次に大林さんが撮られる遺作『海辺の映画館/キネマの玉手箱』('20) とセットで予約したレンタルDVDが届いてから、1ヶ月近く経ってようやく観るに至りました。

自分が体調を崩してしまったこと、それをキッカケに部屋を大整理したこと、レビューしたい作品が他にあったこと等、鑑賞が遅くなっちゃった理由は色々あるんだけど、かねてから敬愛申し上げて来た大林宣彦さん最期の2作品(しかも両方3時間近い長尺!)とあって、じっくり腰を据えて見る覚悟が必要だった、っていうのが何より大きいです。

なにせ、この『花筐』は大林さんが「余命3ヶ月」の宣告を受けてから撮られた作品。不謹慎ながら、私は完成にこぎ着けることすら危ういと思ってたのに、こんなにパワフルな大作に仕上がったばかりか、更にもう1本撮られることになろうとは!

だから、これまで以上に魂のこもった2作品なのは間違いなく、そりゃ相当な覚悟を決めなきゃ向き合えません。

……いや、それは綺麗事かな? もっと自分の本音を探っていけば、詰まるところ「小難しそうだから」っていう理由が一番かも? 反戦映画であることは知ってたし、そもそも大林監督の作品は面白いけど難解なんですw

案の定、この『花筐』もよく解らんまま観終えちゃいました。やっぱり凄い! 面白い! けど、解らない!w けど、だからこそ凄くて面白い!っていうのが私にとっての大林映画です。



舞台は1941年、太平洋戦争勃発前夜の佐賀県唐津市で、これから徴兵されるであろう若者たち(窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生)と、彼らと深く関わる女の子たち(矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦)の儚い青春と、それを見守る女性(常盤貴子)の哀しみが描かれてます。……っていう要約すら正確なのかどうか分かりませんw

なにしろ「今回、大林さんは誰を脱がせたんだろう?」っていうのが一番の興味で観てるような私ですw

案の定、矢作穂香(旧芸名=未来穂香)さんと常盤貴子さんが当たり前のように脱いでくれました。いや、それ以上に満島真之介くんが脱ぎまくってますw 満島くんと窪塚俊介くんが全裸で馬を二人乗りし、激走するシーンは色んな意味でクラクラしましたw(キンタマ痛い! ぜったい痛い!)

だけどそのシーンも含め、当たり前ながら全てのシーンにちゃんと意味があるんですよね。私が解らないって書いてるのはストーリーの事じゃなくて、その1つ1つの意味です。

満島くんと窪塚くんだけじゃなく、窪塚くんと長塚くん、矢作さんと常盤さん、山崎さんと門脇さん等、同性愛の匂いもプンプンしてて実に楽しいんだけど、なぜそれを匂わせるのかっていう意味が解らないw



だから鑑賞するには覚悟が必要なワケです。私が昭和の刑事ドラマやハリウッドのアクション映画を好んで観るのは、創り手の意図がある程度まで読めるから、っていうのも大きい。元から好きで、そういうのばっか観て来たから読めるんだろうけど。

かつて自分で映画を創ってた頃は、難解だったり苦手なジャンルだったりする作品もいっぱい観なければ!っていう使命感で色々観たし、確かにそれで視野は広がったと思うけど、正直しんどかった。そのままムリして観続けてたら映画が嫌いになっちゃったかも知れません。

同じ「解らない」でも、作者が最初から説明を放棄してるとか、実は大した意味も無いのにわざと難解にしてるとか、そういうのはやっぱつまんない。

大林さんの場合は全ての描写にちゃんと意味があるし、むしろそれを観客に伝える為に色々やり過ぎるからかえって難解になってるw、ような気がします。

とにかく情報量がハンパなく多い! 映像のあちこちにヒントが隠されてるし、セリフ量も多くて登場人物は『シン・ゴジラ』並みにずっと喋ってるし、BGMも鳴りっぱなし。だからいつも圧倒されちゃう。で、解らないw

けど、決して我々観客が「置いてけぼり」にされるような難解さじゃないんですよね。凄い熱量でずっと語りかけてくれるから、1つ1つの意味は解らなくても言いたいことは何となく伝わってくる。

今回の『花筐』では、学校の授業をサボりがちだった満島くんと長塚くんが、徴兵を前に自ら命を絶っちゃいます。大きな権力と、その理不尽に対する怒りが込められてるんだと思います。解んないけどw

よく解らなくても、一方通行だったりマスターベーションだったりする映画とは全然違う。だから面白いって事なんだけど、この文章もよく解んないものになって来ましたw

とにかく凄い情報量だけど、何でもかんでも台詞やナレーションで説明し、我々から読解力や感性を奪っちゃう昨今のテレビドラマともまた全然違う。大林監督が提示されてるのは全てヒントであって解答じゃないんです。だからこそ面白い。

すでにオッサンの窪塚くんや長塚さんが10代の若者を演じる違和感にすら、ちゃんと意味があるんですよね。監督のインタビュー記事によると、戦争を知らない世代が戦中を生きる人物を演じるぎこちなさを、あえて強調するためのキャスティングなんだそうです。なんでそうしたいのかはやっぱ解んないけどw

背景が合成丸出しなのも勿論わざとだし、唐突に画面が反転したりするのも全て計算ずく。だけどあざとく感じない。それが大林さんなんだってことを我々はよく知ってるから。

意味があるからこそ、今まで脱がなかった女優さんも潔く脱げちゃう。意味が解らなくても、ちゃんと意味がある事だけは判るから。

だから、理屈で理解できないものに抵抗がある役者は、たぶん大林映画には出たがらない。大林組と呼ばれる常連の役者さんは、きっと感性の人たちなんだと思います。



とにかく、ほかの誰にも真似できない、唯一無二の世界観。そんな映画を創れる、創らせてもらえる監督がこの世知辛い国に存在した奇跡。大林映画の魅力はそこに尽きると私は思います。

しかし、それにしてもまったく、なんというパワフルな映画! 当時80歳のご老人、それも余命3ヶ月を宣告されたお人が創った作品とは、とても信じられない! 凡庸な感想しか書けなくてすみませんm(__)m

セクシーショットは矢作穂香さんと山崎紘菜さんです。


 


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