久々にCATVでピンク映画を観ました。なにしろピンクなもんで、このレビュー記事が生き残る可能性は極めて低いです。
それでも、骨折り損を承知の上でチャレンジする私こそ、エロの神に選ばれし生けるレジェンド。真の勇者でありハリソン・フォードなのです。
2020年の劇場公開時は『よがりの森/火照った女たち』、フェス出品時は『眠れる森のミチコ』、DVDリリース時は『林業の嫁/肉体の火照り』といった具合に、タイトルと編集内容が変遷していくのはピンク映画「あるある」。
恐らくDVD版が最も過激で、テレビ放映版のこれ『処女と初恋の森』は最もソフトなバージョンなんでしょう。
脚本は深澤浩子さん、監督は小関裕次郎さん、そして主演は、その芸名から多部未華子さんを意識されてるであろうセクシー女優、あべみかこさん。似てるとは言い難いけど、タベリストはせっかくだから多部ちゃんと置き換えて観るのも一興かと思います。
就活に失敗し、山奥で首吊り自殺しようとした青年=智樹(可児正光)が、そこで若い女の野ション現場に出くわしちゃう。
だけどその女=道子(あべみかこ)はまったく動じないどころか、もっと頑丈な(つまり首吊り向きの)木がある場所を親切に教えてくれるのでしたw
どうやら森林伐採の新米作業員らしい道子に、なんとなくついて行った智樹は、そこの親方(森羅万象)にスカウトされ、なし崩し的に作業員の仲間入りを果たし、欲求不満を溜めこんだ道子にレイプされw、なんとなく生きる気力を取り戻していくのでした。
さらに、杏奈(谷花紗耶)というオタク少女も登場! 彼女は親方がSNSで発信した林業のPR動画に、たまたま道子が写ってるのを見て訪ねて来た。
杏奈は地下アイドルグループ「ももいろぴゅあハート」の熱狂的ファンで、中でも「藍野みく」というメンバーの推し活をずっと生き甲斐にしてきた。そう、道子は、突然引退して行方をくらませた藍野みくなのでした。
智樹だけでなく、アイドルとして生きることに疲れ果てた道子と、にわかに生き甲斐を見失った杏奈という2人の若い女も、森林に癒やされ、エネルギッシュな男たちから活力を得て、なんとなく希望の光を見出していきます。
もちろんピンク映画ですから、杏奈にもちゃんと濡れ場が用意されてます。演じる谷花紗耶さんは子役出身らしく、主役のあべみかこさんより確かな演技力で作品を支えてくれてます。
クライマックスはもちろん、ちょっとだけ逞しくなった智樹と、潤いを取り戻した道子との対等なセックス。そうでなきゃピンク映画とは言えません。
やっぱり、たまに観ると新鮮なんですよね! ピンク映画には、メジャー映画やテレビ作品がどこかに置き忘れて来た……というより捨て去ってしまった「魂」がしっかり残ってる。
たった3日間で撮り上げたという映像にゴージャス感は無いし、有名スターも出て来ないけど、だからこそ出来ることがピンク映画には確かにある。
つまり、スポンサーとかタレント事務所とか女性観客とかに対する「忖度」がほとんど要らない。ムリしてジャニーズ系のイケメンだの謎解き要素だのを入れなくていい、まったくピュアな作品創り。必須条件は女子のヌードとセックスだけという、これぞ究極のロマン!
だからと言ってストーリーがスカスカじゃ駄目だけど、この作品はイケてます。登場人物がみんな活き活きしてる。
優れたピンク映画って、とにかく女の子が魅力的。あまり芝居が上手でないセクシー女優さんも、ピンク映画の中だと上手く見えちゃう。そうでなきゃ濡れ場が盛り上がらないから、創り手もそこに力を入れてるんでしょう。
この作品は2021年に発表された「ピンク映画ベストテン2020」で第1位を獲得し、あべみかこさんは主演女優賞に輝いたそうです。さもありなん。
だから勿論、すべてのピンク映画が優れてるワケじゃない。なんじゃこりゃ、っていう作品の方がたぶん圧倒的に多いけど、それはメジャー作品とて同じこと。ただ、ピンク映画の方が絶対ピュアだから、たまに観ると新鮮だし癒やされると、そういう話です。
1982年秋に公開された角川映画をレビューしたいと思います。増村保造監督が手掛けられた最後の作品で、原作は第1回横溝正史ミステリ大賞を受賞した斎藤澪さんの同名小説。
唐突にこの作品を取り上げたのは、いつも愛読させて頂いてる KT Jacksonさんのブログで、最近KTさんが偏愛されてる映画として何度も登場してたから。
そう言えば予告CMは記憶にあるけど本編は観てなかったし、何よりあんなに面白い文章を書かれるKTさんが、夜な夜な繰り返しDVDを観ちゃうほどハマっておられる映画が、一体どんなだったか気になってレンタルせずにいられませんでした。
KTさんはあくまで「昭和」の風景や文化に対する懐かしさと、主役の1人であるナイスミドル俳優「杉浦直樹」さんへの憧れ……というより、やっぱ「偏愛」と言った方がしっくり来るw、かなりオリジナルな「惹かれる理由」を書かれているけど、それだけで夜な夜な観ちゃうほどハマるだろうか? もしかしたらご本人も気づかれてない、潜在意識に訴えるような何かがこの映画にあったりするのかも?って、そんな興味がメラメラと湧いて来た次第です。で、観ました。
結果、これは想像してたより相当深い作品で、しかも2022年3月現在だからこそ強く胸に迫って来るものがある!……のかも?って、私は感じました。KTさん! これ、もしかしたら凄い映画かも知れません!
この映画の本質を語るには、浜村淳さんばりに結末までストーリーをバラさないと語りようがなく、ミステリー作品ではありますが、浜村淳さんよりも簡潔に解説し、バラしますm(_ _)m
前半のストーリーテラーは雑誌記者の杉浦直樹さんだけど、その杉浦さんが中盤で殺され、後輩記者の根津甚八さんが彼の遺志を継ぎ、連続殺人事件の真相に迫って行きます。
これ、みんな角川さんの宣伝戦略に騙されてホラー映画だと思い込んでるけど、実は幽霊も祟りも一切出てこない、あくまでミステリーです。
杉浦直樹さんが何度も謎の激痛に襲われ、のたうち回るもんだから、てっきり岸田今日子さんの呪いだと思っちゃうんだけど、それも実はミスリード。「オレ、たぶん癌なんだ」っていうオチがつきますw(あの痛がり方は腎臓結石だと私は睨んでるけど)
で、連続殺人の真犯人は、岸田今日子さんに夜な夜な「私たちが貧乏なのは全部、よそにオンナを作って逃げたお父さんのせいよ」「だからお父さんを恨むのよ」「私が死んだら代わりに復讐するのよ」って耳元で聞かされ、言わば洗脳されながら育った娘=麻矢。
根津甚八さん憧れの人だけど杉浦直樹さんと愛し合い、チョメチョメしちゃうスナックのママ=岩下志麻さんこそ、ずっと父親を探し続けてる麻矢なのでした。被害者は皆、その秘密を知ってしまったから殺された。麻矢は杉浦さんを愛しながら、父親への復讐を果たす為に殺すしかなかった。
だけど本作の肝は、誰が真犯人かじゃないんですよね。割と早い段階で岩下志麻さんがそうだろうと察しがつくんです。昨今のミステリーは犯人当てゲームに終始してる印象だけど、この作品は全然違う!
じゃあ何が肝なのかと言えば、岸田今日子さんが娘をずっと洗脳し続けた理由です。時は昭和25年頃。
確かに今日子さんの夫=芦田伸介さんは彼女を捨てて逃げたんだけど、それは単なる浮気じゃなくて、背景に「戦争」があるんですよね。
終戦の時、芦田さんはすでに妻帯者だったけど、戦地から日本に帰国する為に他の女性、つまり今日子さんと偽装結婚する必要があった。
で、帰国しても妻の行方が分からず、そのまま今日子さんと暮らして麻矢という娘が出来るんだけど、麻矢はネズミに喉を噛み切られて死んじゃった!(当時はそういう事故も珍しくなかったとか)
そのショックで今日子さんは精神を病んでしまい、そんな時に芦田さんは偶然、本来の奥さんと再会してしまう! つまり、そういう事です。
芦田さんは充分な手切れ金を渡し、今日子さんは潔く身を引いた……と見せかけて、芦田さんと奥さんの赤ちゃんを誘拐し、麻矢として育てたワケです。
つまり岩下志麻さんは、ずっと今日子さんから嘘を吹き込まれ、実は被害者でもある父親を殺す為だけに人生を捧げ、連続殺人を犯してしまった。
芦田さんと甚八さんからその事実を聞かされ、志麻さんが絶望の淵に追いやられたところで、何の救いも無いまま映画は終わっちゃいます。
だけど、不思議とイヤな気分にならないんですよね。志麻さんは父親が憎いからじゃなくて、育ての母である今日子さんを愛してたから、あくまで彼女の為に復讐しようとしてた。恨みや嫉みじゃない、愛のストーリーだから全然イヤな気分にならない。ただ、果てしなく切ない気持ちにはなるけど……
さて、冒頭で「これは想像してたより相当深い作品で、しかも2022年3月現在だからこそ強く胸に迫って来るものがある!」って書いたのは、これは「愛」だけじゃなく、もしかしたら「戦争」の本質を追究したストーリーなのかも?って思ったから。
単に「女の情念」の恐ろしさや哀しさを描くだけなら、わざわざ戦争を背景に持って来る必要は無かったかも知れません。
一番の罪人は(一番の被害者でもある)岸田今日子さんだけど、彼女をプーチン大統領と置き換えて考えると、岩下志麻さんがロシア軍の兵士たちに見えたりしませんか? ロシアから離れる道を選んで侵攻される羽目になったウクライナが、まさに芦田伸介さんで。
ロシア軍の兵士たちで、自分たちがやってる戦争の意味を正確に理解してる人は少ないかも知れません。志麻さんみたいに洗脳されて。
あらゆる戦争がそんな構図で、みんな愛国心で戦ってるつもりだけど、実は狂人に騙されてるだけっていう……
まあ、この映画で描かれたような悲劇が、終戦から間もない日本には実際いくつもあったでしょうから、単にそれをネタに使っただけの話かも知れません。
で、映画が公開された’80年代にはすっかり過去の話で、2000年代に至ってはおとぎ話になりつつあった。けれど今、それほど遠くない場所で同じような悲劇がまた生まれようとしてる。
そんな今だからこそ、この映画が何かを訴えかけて来てるのかも? KTさんのアンテナがそれをキャッチして、さらに私が引き継いで、今この記事を読んでる皆さんにまた……
別にスピリチュアルな話をしたいワケじゃないけど、物事には必ず理由があると思うもんで、この映画や小説が創られた意味や、今になってKTさんがハマり、なぜか私も観てレビューを書きたくなった理由を、こんな風に「謎解き」してみました。
ところで、杉浦直樹さん。確かに魅力的です。セクシーかどうかは男の私には判らないけど、圧倒的に前向きなエネルギーを感じるし、俺ジナル溢れる演技でこの人が出てるシーンは退屈しません。
「可哀想にぃーっ!」って言いながら志麻さんにかぶりつくゲスさに爆笑しましたw
杉浦さんだけじゃなく、芦田伸介さん、村井国夫さん、室田日出男さん、小林稔侍さん、神山繁さん、名古屋章さん、戸浦六宏さん、坂上二郎さん等々、エネルギッシュかつ俺ジナルな芝居をするオジサンが目白押しで、最年少の根津甚八さんすらあの渋さw ジャニーズ風の兄ちゃんが1人も出て来ないキャスティングが素晴らしい!
女優陣は岩下志麻さん&岸田今日子さんを筆頭に、辺見マリさん、中原ひとみさん、そして畑中葉子さんと、これまた艶のある方ばかり。まさにオトナの映画!
そんなワケでセクシーショットは、後ろから前から畑中葉子さんです。
1991年にリリースされた、成田裕介監督による東映Vシネマ。生島治郎 原作&又野誠治 主演による『凶悪』シリーズの第2弾です。
『クライムハンター』シリーズの流れを受けた前作『凶悪の紋章』(’90) はGUNアクションがメインだったけど、今回は殴る蹴るのボディーアクションがメイン。本来、又野誠治さんの武器はこっちですから、本領発揮で見応えも大幅アップしてます。
アクションだけでなく、お色気サービスもぬかりなし! 今回は当時の大人気セクシー女優=美穂由紀さんがブルース……じゃなくて会田刑事のセックスフレンドに扮し、又野さんと激しい濡れ場を演じてくれます。
だけどヒロインは美穂さんじゃなくて、燃えるいい女の小野みゆきさん。殺されたジャーナリストの恋人で会田の捜査に協力するんだけど、実は彼女こそ事件の首謀者だった!という、少ない出番で印象を残すオイシイ役どころでした。
ほか、前作から引き続きご登場のエージェント=矢部警視に、特別出演の原田芳雄さん。
殴り合いでブルースに負けて女を取られちゃうホタテマンに、友情出演の安岡力也さん。
さらにジョニー大倉さん、白竜さん、プロレスラーの橋本真也さん、そして懐かしのルビー・モレノさん等が脇を固めておられます。
又野さんのボディーアクションがたっぷり堪能できて、しかも前作より刑事物テイストが濃くなった分、この第2作目の方が私は楽しめました。けど、3作目が創られなかったところを見ると、売れ行きはイマイチだったのかも知れません。
あの『太陽にほえろ!』の晩期を支えたのは間違いなくブルース刑事ですから、又野誠治さんに魅力が無いなんてことは絶対ない。私自身、ブルースの主役回を一番楽しみにしてましたから。
けど、デビュー作で与えられた役があまりに良すぎると、卒業した後がかえって大変なのかも知れません。私が『太陽〜』で一番好きだったボンボン刑事=宮内淳さんも、ボンより魅力的な役に恵まれず俳優としては短命に終わっちゃいました。
又野さんの場合、いかつい役ばっかり演じて『太陽〜』で見せたコミカルさを封印しちゃったのが、私としてはすこぶる残念でした。今回の『凶悪の牙』では美穂由紀さんとの絡みで軽妙な芝居を一瞬だけ見せてくれたけど、あとのシーンはやっぱりコワモテで通してしまい……
いかつい風貌の人がいかつい芝居をしたところで、そのままなんだから面白くも何ともない。ずっと比較されて来た松田優作さんがコミカル志向だったから、あえて逆を狙ったんでしょうか?
関係ないけど会田刑事の愛銃がマグナムでもショットガンでもなく、スクエアバットのチーフスペシャル(S&W M36)なのが渋い! そこは原作通りなのかも知れません。
実は私、ちょっとだけ映像業界で働いた時期に、又野誠治さんと一緒に仕事したことがあります。『太陽にほえろ!』の刑事さんたちの中で現場をご一緒できた、唯一の俳優さんが又野さんなのです。
ちょっとだけお話する機会もあり、ブルース刑事のファンだったことはお伝えしたけど、過去の栄光に触れられるのはご本人的には愉快じゃなかったかも知れません。
撮影現場でも終始コワモテだったけど、メイキング用のカメラを向けた時だけは『太陽〜』でやってたようなお茶目なアドリブを見せてくれて、めちゃくちゃ嬉しかったしホッとした想い出があります。
亡くなられたのはその翌年で、私は葬儀にも参列しました。どうやら自殺らしいって事で、残念……そして勿体ないとしか言いようありません。
あの個性をもっと活かせる監督なり脚本家なりはいなかったの?って思うけど、ご本人も雑誌のインタビューで、いい人だったりコミカルだったりする役は全部断ったみたいな発言をされてるんですよね。
私は自主制作映画で役者もやってましたから、善人より悪人の方が演じてて楽しい心理も解るんだけど、客観的に見ると又野さんはコミカル路線の方が(例えば阿部寛さんみたいに)魅力を発揮できたような気がして……だから残念だし勿体ない。
なにかの本で、ショーケンさんが主演された深作欣二監督のアクション映画『いつかギラギラする日』の続編に、岩城滉一さんとダブル主演で又野さんの起用が決まってたのに、諸事情で企画が流れちゃったと読んだ記憶があります。
もし実現してたら、どんな役だったんだろう? また悪役だったとしても、深作欣二監督なら面白いキャラに演出してくれたかも知れず、その後の運命が変わってたかも?……なんて、今更そんなこと考えても仕方ないですね。
セクシーショットは小野みゆきさん、ルビー・モレノさん、そして美穂由紀さんです。
1990年にリリースされた、成田裕介監督による東映Vシネマの第6弾。原作は生島治郎さんのハードボイルド小説『凶悪』シリーズで、つまり天知茂さんが主演された昭和の刑事ドラマ『非情のライセンス』シリーズの平成バトルアクション版!
主役の特捜刑事=会田健を演じるのは、我らがブルース刑事こと又野誠治さん! そしてヒロイン役が武田久美子さん! 奇しくも武田さんゲストの『太陽にほえろ!』#704をレビューしたのと同じ週にCATVで放映されました。
ボギー刑事こと世良公則さんが主演し、又野さんが悪役で共演した『クライムハンター/怒りの銃弾』(’89) からスタートした東映Vシネマは、すっかり女性向けのメディアとなったテレビに取って代わり、バイオレンスとエロの活劇を一手に引き受け、とにかく銃を撃ちまくってオッパイを見せるというw、エンターテインメントの本来あるべき姿をとことん追及してくれました。
そしてこの『凶悪の紋章』がリリースされた’90年は、マカロニ刑事こと萩原健一さんの『裏切りの明日』、ボギー世良さんの『クライムハンター3/皆殺しの銃弾』、そしてドック刑事こと神田正輝さんの『野獣駆けろ』と、七曲署OBたちが主演するGUNアクション作が続々登場!
以前レビューしたVシネマ史上ナンバー1カルト作と云われる『女バトルコップ』もこの年にリリースされてます。あれから30年、Vシネマもすっかり廃れちゃいました。どうも昨今の男子たちはバイオレンスにもエロにも興味ないみたいで、破滅です。草だけ食ってろっ!!(怒)
で、この『凶悪の紋章』ですが、なにせブルース又野さんが主演ですから、ニヒリスト天知さんの『非情のライセンス』とはまるっきり別物。ご覧の通り『ランボー』&『ダイ・ハード』な内容となってます。
国家的プロジェクト「新東京構想」に絡む巨大商社の陰謀と、警察上層部の汚職に真っ向から立ち向かうブルース、じゃなくて会田刑事!ってなストーリーは一応あるんだけど、それは又野さんがタンクトップ姿でショットガンを撃ちまくる為のお膳立てに過ぎませんw
エンディングのタイトルバックも、拳銃を撃つ誠治! ショットガンを撃つ誠治! ハダカで身体を鍛える誠治! シャドウボクシングする誠治!etc…と、完全に又野誠治PVの様相。『太陽〜』でブレイクしきれなかった又野さんを、ここでアクション大スターに育てたる!っていうスタッフの意気込みと愛がヒシヒシ伝わって来ます。
又野さんだけじゃなく、初の濡れ場を披露された武田久美子さんにとっても本作は大いなるチャレンジ。と言ってもブルースに乳を揉まれ、ディープキスするだけだけど、アイドルからオトナの女優に脱皮したい意気込みもまたヒシヒシ伝わって来ます。
敵ボスの愛人役でブルースとは敵対するポジションだけど、乳を揉まれたりする内に愛が芽生えたりなんかして、ジーパン刑事こと松田優作さんの『最も危険な遊戯』を彷彿させる展開にもなって行きます。
ほか、ちょっとカマっぽい敵の用心棒役に、当時デビューしたての宇梶剛士さん。
ピンチのブルースに武器を調達し、ろくに顔も見せずに去って行く謎のクライムハンターに、友情出演のボギー世良さん。
そして『非情のライセンス』で山村聰さんが演じられたエージェント=矢部警視に、『クライムハンター』の時とまんま同じ格好の原田芳雄さん。
ほか、冒頭でブルースとチョメチョメする女に庄司みゆきさん、敵ボスの愛人2号に村上麗奈さん、愛人3号に相田寿美緒さんが扮し、庄司さんと村上さんは乳首とお尻をボインぼよよ〜ん!と見せてくれます。これがね、本当のエンターテイメントなんですよ。お分かりですか?
というワケでセクシーショットは武田久美子さん、相田寿美緒さん、村上麗奈さんです。
2003年に公開された、平山秀幸監督による東映配給の角川映画。ご存じ山田風太郎さんの怪奇小説『おぼろ忍法帖(後に魔界転生と改題)』を超豪華キャスト陣で見事なアクション映画に昇華させ大ヒットさせた、深作欣二監督による1981年版のリメイク作です。
オリジナルで沢田研二が演じた天草四郎に窪塚洋介、千葉真一が演じた柳生十兵衛に佐藤浩市、若山富三郎が演じた柳生但馬守に中村嘉葎雄、緒形拳が演じた宮本武蔵に長塚京三、室田日出男が演じた宝蔵院胤瞬に古田新太、そして佳那晃子が演じた細川ガラシャに代わるヒロインとして登場する天草四郎の従者=クララお品に麻生久美子が扮するほか、黒谷友香、吹石一恵、杉本哲太、加藤雅也、高橋和也、柄本明、國村隼etc…といったキャスト陣が脇を固めてます。
予想通り……いや、予想を遥かに超えて、つまんなかったですw どんな失敗作でも何か良い部分を見つけるよう普段から心掛けてるつもりだけど、1つも無かったですw
そりゃあ、佐藤浩市さんが柳生十兵衛を演じればカッコいいに決まってるし、脱がなくても麻生久美子さんならちゃんと妖艶さを表現してくれるけど、そんなことは当たり前の大前提ですからね。
(尺はオリジナルより短いのに)えらく間延びした脚本、メリハリ無くケレン味のカケラもない演出、まったく印象に残らない音楽と、オリジナルを超えたと思える要素が何1つ見つからず、とにかく退屈で退屈で何度となく睡魔に襲われました。
殺陣や演技も含めて技術面はかなり進歩してる筈なのに、そして同じ角川&東映のタッグで創られた超大作なのに、創る人の才能1つでここまで雲泥の差が生まれてしまうのか!っていう、ある意味貴重な実験データとして後世に残すべきかも知れません。
怪奇小説をアクション映画に大幅アレンジした'81年版と同じことをやっても仕方ないから、今回は出来るだけ原作の世界観に寄せるんだっていう製作意図は理解出来るんだけど、その結果つまんなかったら何の意味もありません。
「どうやって前作と違うことをするか」じゃなくて「どうやって前作より面白くするか」を徹底的に考えるべきでしょ?……って、そんなこと一流のプロフェッショナル達が分かってない筈ないと思うんだけど……
平山秀幸監督の作品にはこれまで縁がなく1本も観たこと無いんだけど、それなりに高い評価を受けて来られた方みたいなので、この題材には向いてなかったって事でしょう。
評価されてるから、過去にヒット作を生んでるからっていうだけの理由で、ろくに適性も考えずに監督を任せてしまう日本映画界の丸投げ姿勢にこそ、何より深刻な問題があるんじゃないですか?
窪塚洋介くんの天草四郎も、予想以上に薄っぺらくて魅力のカケラも感じられません。この人も「前作(ジュリー)とは違う天草四郎にするんだ!」っていう意識に囚われ過ぎじゃないですか? この人以外に適任者はいない!ってところまでキャスティングを煮詰めましたか?
前作であんなに鮮烈な印象を残した細川ガラシャをあえて出さず、ヒロインを天草四郎の従者に変えちゃったのは、どうせ「LOVEの要素を入れないと女性客を呼べないから」って決めつけるスポンサー連中の指図でしょう。前作はほとんどLOVE要素が無いのにあれだけ女性客を集めたんだぞ!って反論する人はいなかったんですか?
すでに20年近くも前に、日本のメジャー映画はこうして骨抜きにされちゃってるワケです。もはや元には戻れません。もちろん前作とは対照的にこの映画は大コケし、東映はまたもや経営危機に瀕する羽目になりました。やれやれ……
せめてもの救いは、本作を彩るヒロインたちの華やかさ。天草四郎を一途に愛する従者=クララお品を演じた麻生久美子さん、柳生十兵衛を一途に愛する舎弟=おひろを演じた黒谷友香さん、そしてその妹=お雛を演じた吹石一恵さん。20年近く前だけあって、皆さんまだあどけない!
しかし黒谷さんは自分の意に反して魔界衆の仲間(つまりゾンビ)にされてしまい、だけど最後は十兵衛を庇って宮本武蔵と相討ちになって死ぬという、ただ女性客を泣かせる為にだけ設定されたようなキャラクター。
原作に存在するのかどうか知らないけど、そういうウェットさが『魔界転生』という作品に必要でしょうか? そもそも武蔵は十兵衛が仕留めないとダメでしょうに! ガッデム・シットのサノバビッチ!!(畜生のコンチキショー!!)
吹石さん扮するお雛に至っては全くストーリーに絡んでおらず、せめて脱いでくれれば……っていうか、このお三方を脱がせる為なら『魔界転生』が『魔界転生』でなくなっても全然オッケーですよ私はw どうせコケるならそこに全製作費を注ぎ込むべきでした。次回こそよろしく。さいならさいなら。さいなら。