井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

オオハナウドの子作り(種子作り)戦略

2010年07月07日 | 日記
花は、実を結び子孫を残すためのもので、虫媒花の場合、昆虫たちを呼び寄せることが大事とされる。
多くの花をまとめてつけるのを花序というが、花序の形も、昆虫を呼び、より効率的に受粉・結実するよう工夫されている。



オオハナウドの花序です。
大型のセリ科植物としては、北海道で一番早く開花するようです。
周辺部の花弁が目立って大きいのも、昆虫たちを呼び寄せるのに役立っているのでしょう。



オオハナウドの結実です。
傘形に沢山の花をつけるのを散形花序といいますが、セリ科の多くは、散形花序を複数つけるので、複散形花序といいます。
頂部の花序を頂花序、側面につくのを側生花序と呼びますが、実を結ぶのは頂花序だけで、側生花序は雌しべが退化して、雄花として働くといいます。

これも、果実をより効率的につけるための工夫とも考えられます。
殆どの場合この形をとりますが、例外もあります。



例外のオオハナウドです。
頂花序だけでなく側生花序も果実をつけています。自然界の中には、ルールどおりに割り切れないケースも結構でてくる訳で、これもそういうケースでしょう。

オオハナウドは1回繁殖型多年草ですから、蓄えた栄養からすれば、頂花序だけを結実させるのが普通なのでしょうが、この個体は、よほど多くの栄養を蓄えたのでしょう。
(1回繁殖型多年草というのは、多年草だけれど、毎年花を咲かせるのではなく、1回花を咲かせ実を稔らせると枯れ死する、そういう植物のことです。)
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