
フッキソウ。ツゲ科フッキソウ属。
木のようでもあり、草のようでもある。図鑑でも木本とするもの(平凡社「日本の野生植物」)があり常緑性ながら肥大生長しないところから、草本とするもの(保育社「原色植物図鑑」)もある。
要するに双方の性質を併せもつということで、どちらかにはっきり分けたいと考えるのは、人間の方の勝手である。
アイヌは「ユク・トパ・キナ(鹿の群れの草)」と呼ぶ。地下茎を伸ばして群落を作るところからそう呼んだという。
造園の世界では日陰や寒さに強いカバープランツとして重宝される。

フッキソウの新葉。
フッキソウは常緑の葉で越冬し、6月に新葉を展開する。下部の葉はやがて落葉するが目撃されることはまずない。
新葉の展開で茎がこの調子で伸びれば、草丈はかなり高くなるはずだが実際にはそうならない。下部が這う形で草丈は20~30cmどまり。

フッキソウの開花。
下部の雌花は柱頭を開いて開花しているが、上部の雄花はまだ蕾状態。雌花が先行する「雌性先熟」の花。