井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

葉の出し方、葉の落とし方、樹それぞれの個性

2010年11月26日 | 日記
落葉広葉樹は落葉する前に葉の色をいろいろに変えますが、葉の落とし方にもタイプによる違いがあります。
葉にも寿命があって、古い葉から順に落とす訳ですが、葉によって寿命の差もあるでしょうし、落葉の時期については寿命以外の要因もあるでしょう。



ヤマモミジの紅葉です。
樹冠の外側(枝先)の方がより赤く紅葉していて、内側の方は紅葉は遅れているように見えます。
この先落葉する場合も、樹冠の外側から先に葉を落としていきます。このタイプの樹木は「一斉開葉型」といい、春先に一斉に葉を展開するので、葉の寿命は同じとみてよく、日光のよく当たる樹冠部分に紫外線が多くあたり、葉の老化が早く、より早く葉を落とします。



シラカンバの黄葉です。
写真では一寸分かりにくいですが、樹冠の内側から黄葉が始まり、落葉も内側から進みます。
シラカンバなどこのタイプは「順次開葉型」といい、春先から夏にかけて順に葉を展開していき、早く開いた古い葉から順に落葉していきます。



ドロノキの落葉です。
順次開葉型のドロノキが古い葉を次々に落として、一番新しい葉が枝先に残っています。
順次開葉型は光環境に合わせて葉を展開するタイプで、撹乱地(氾濫跡や山火事跡など)に新しい林を作っていくので、パイオニア・ツリー(先駆樹種)とも呼ばれます。
これに対して一斉開葉型は日当たりのあまり良くない林の中でも生育できるグループで、極相林を構成する樹種ということで極相樹種とも呼ばれます。勿論その中間種もあり、そちらの方が多いといえます。
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