ささやかな幸せ

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「ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ」の感想 ネタバレあり

2022-02-17 22:14:26 | 関ジャニ∞
「ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ」2/17昼 Zepp Osaka Bayside ネタバレあり


 ヘドウィグがライブ会場で過去を語る。東ドイツに住む少年ハンセルは、幼少時に母からプラトンの「愛の起源」の物語を聞かされる。(人間は、昔二人で一つだった。しかし、神が二人に分けてしまう。以来、人はカタワレを探し求める)以来、彼は自分のカタワレを見つけようと心に決める。ある日、彼はルーサー軍曹に見初められる。彼との結婚を選んだハンソルは、アメリカに渡るために性転換手術を受ける。しかし、手術は失敗し、股間に「アングリーインチ」が残ってしまう。母の名のヘドウィグを名乗りアメリカに渡米するも、離婚。ロックバンドを組むがうまくいかない。ベビーシッターのバイト先でヘドウィグは、少年トミーに会う。トミーに音楽を教えるヘドウィグ。しかし、トミーはヘドウィグの曲を盗んで、ロックスターに駆け上がる。最愛の人に裏切られたヘドウィグは、ストーカーのようにトミーのライブ会場を追い、会場のそばで巡業する。


 丸ちゃんが素晴らしい!男と女、少年と大人、変幻自在に歌い上げる。本当に歌が上手いというか、ニュアンスがいいというか。さとうほなみさんとのハーモニーもバッチリ。2曲目とラストで泣いてしまった。本当によかった。歌は、全て英語だが、なんとなく意味がわかる。
 丸ちゃんは、ハイヒールで動き回る。しかも、ハイヒールでジャンプしたり。
 アドリブなのかな?マリオの音楽を演奏して丸ちゃんが踊ったり、イツハクが演歌を歌ったり。歌舞伎の押し隈(隈取の化粧を絹布や紙に写し取る)のようにしたものを客席に投げる真似をしたり。かぶっていたハットが脱げ、ヘドウィグが足でポーンと向こうに蹴り出したのがかっこよかった。
 丸ちゃんが「赤ん坊」を「赤んべぇ」と言い間違えたかな?
 イツハクは、人気のドラァグクイーンだったが、ヘドウィグに「カツラをかぶらないなら、一緒にいてもいい」と言われ、その言葉を受け入れる。最後、ヘドウィグはイツハクにカツラをかぶせる。縛り付けたイツハクを解放しようとしたのだろうか。
 最後、ヘドウィグは、カツラもハイヒールもドレスも脱ぎ捨てパンツ一丁に。ワンパックだった丸ちゃんのお腹は、うっすらとサイドに線が入っていた。(腹筋は割れていない)そして、ベースを演奏。額には、トミーの象徴の十字。ヘドウィグは、トミーと同化することで、アングリーインチを持つ自分を受け入れたのだろうか。力強い歌は、トミーへのストーカーまがいの行為を止め、自分の道をしっかり歩んでいこうとする決意のように思った。正解ではないかもしれないが、私の解釈です。
 とにかく、圧倒された。どうぞ、このまま完走できますように。

2/21追記 舞台を見ての主観的な考察です。
 舞台の始まりは、かかんだヘドウィグ。まるで子どものよう。その後は、ジュデイオングの「魅せられて」のような、エリマキトカゲのような衣裳で歌う。後で考えると、ヘドウィグは傷ついた子どもで、歌う時は自分を奮いたたせ、大きくみせようとしていたのかな。
 ベルリンの壁で分断された東ドイツ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争のあったクロアチアときな臭い記憶のある場所が出てくる。二人で一つの人間が分断される神話。性転換手術。分断が物語の底に流れている。そして、オーブンの中で聞く音楽やアングリーインチに象徴される、分断からおこる閉塞感。それが、ラストの解放につながるのだろうな。
 お菓子でハンソルを釣ろうとするルーサーは、強い立場の者が富にものを言わせて、弱者を支配するような感じで嫌悪感をもよおす。先進国や富める者が弱い立場のものから、搾取するような感じ。
 さとうほなみさんが演じているから、誤解しそうになるが、イツハクは、男。後半にイツハクが歌うのは圧巻だった。その時のヘドウィグの歌は、何か弱い感じがした。もし、イツハクの歌を際立たせるために、わざと弱く歌っていたら、丸ちゃんはスゴイな。そこでヘドウィグが自分の衰えを感じ、イツハクを縛り付けずに自由にさせようとすることにつながるのかな?
 


 

 
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