ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『刑罰』『泣くな研修医』

2020-04-07 21:28:08 | 
 カミュの『ペスト』が読まれているらしい。確か、本棚にあったはず。久しぶりに読もうと本を探す。あった。開いた。すぐ閉じた。昔の文庫なので、字が小さいのだ。老眼の今、これは読めない・・・。

『刑罰』 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一訳 東京創元社
 黒いダイバースーツを身につけたまま、浴室で死んでいた男。誤って赤ん坊を死なせてしまったという夫を信じて罪を肩代わりし、刑務所に入った母親。人身売買で起訴された犯罪組織のボスを弁護することになった新人弁護士。薬物依存症を抱えながら、高級ホテルの部屋に住むエリート男性。―実際の事件に材を得て、異様な罪を犯した人々の素顔や、刑罰を科されぬまま世界からこぼれ落ちた罪の真相を描きだす。
 シーラッハの『犯罪』『罪悪』は、なんか嫌な後味が残ったが、『刑罰』はそれらと比べるとライト。しかし、読み終わっても「う~ん」とうなってしまう。さすが上手だなと思うが、やはり苦い。

『泣くな研修医』 中山祐次郎 幻冬舎
 新米医師の毎日は、何もできず何もわからず、先輩医師や上司からただ怒られるばかり。だが患者さんは、待ったなしで押し寄せる。生活保護で認知症の老人、同い年で末期がんの青年、そして交通事故で瀕死の重傷を負った5歳の少年…。医者は、患者さんに1日でも長く生きてもらうことが仕事じゃないのか?なんで俺じゃなく、彼が苦しまなきゃいけないんだ?それでも全力で助けたい。新米医師の葛藤と成長を圧倒的リアリティで描く医療ドラマ。
 読みやすい。まっすぐな研修医がいとおしい。アオハルな話。きっとドラマ化されると思う。

 コロナウイルスの感染症の拡大で絵本『大森林の少年』を思い出す。今から100年前、スペイン風邪から我が子を守るために北の森林の伐採場へ避難させる。主人公のマーベンは小学生でたった一人で大人ばかりの伐採場で人間関係を築いていくのだ。春になり、病の去った家族の元にマーベンは帰っていくのだが。早く、コロナウイルスの蔓延がおさまってほしい。

 岩波少年文庫『北のはてのイービク』で飢えに襲われている時におじいちゃんは言う。「つらい時は笑い、苦しかったことを振り返って見られる日を楽しみに待つ」閉塞感に押しつぶされるのではなく、未来の楽しみを考えて少しでも明るく過ごしたい。
 

 
コメント
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