ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『王とサーカス』『ヨイ豊』

2016-03-08 21:08:59 | 
 いかなご漁が昨日から始まる。今年は、1kg2500円と高い。しかも、大きい気がする。明日くらい、時間がとれそうなので、炊こうかな。

『王とサーカス』 米澤穂信 東京創元社
 新聞社をやめたばかりの太刀洗万智は、雑誌の海外旅行特集の事前取材でネパールにいた。そこで、国王をはじめとする王族殺人事件が発生。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を始めるが、彼女の前にある男の死体が。それは、前日、王族殺人事件の裏事情を知っているのではないかと取材協力者として会った軍の男だった。しかも、彼の背中には「INFOMER(密告者)」の文字が刻まれていた。この文は、何を意味しているのか?
 始めは、少し冗長な感じだが、途中から一気にページをめくる手が止まらなくなる。そして、最後に意外な事実が明かされる。(なんとなく読める部分も一部あったが)ジャーナリズムとはという問いもあり、「王とサーカス」という題の意味が深い。 

『ヨイ豊』 梶よう子 講談社
 黒船来航から12年、江戸亀戸村で三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。娘婿ながら慎重派の清太郎と、粗野だが才能あふれる八十八。ひと回り歳が違う兄弟弟子の二人は、尊王攘夷の波が押し寄せる不穏な江戸で、一門を、浮世絵を守り抜こうとする。
 芸術やスポーツの世界では、努力だけでは太刀打ちできない才能を持った人がいる。好きだし、そこそこの才能はある。しかし、突出した才能がないことは自覚していながら、生業にしている。真面目だが、おもしろみがないと言われる国貞の気持ちは、凡人の私たちも心が添いやすい。
『ヨイ豊』という題名の意味がわかったとき、なんともいえない気持ちになった。最後の国貞の姿には、心をつかまれ、不覚にもに泣いてしまった。しかし、一番最後の部分はなくてもいいような気がする。直木賞候補作というのも納得の作品。よかった。
コメント
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