世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

感嘆

2009年11月08日 23時07分00秒 | Weblog
是枝裕和「歩いても歩いても」を見る。
すげえおもしろかった。
長男の15回忌、老夫婦の家に長女家族と次男家族が集まり一泊する。
いつもはお互いの生活をしている人たちが
この日ばかりは少し違う生活を強いられる。
はじめて泊まる嫁はもとより、
以前は当たり前に暮らしていたはずの息子も
当時と今の違いにグロテスクな違和感を感じる。
その辺の細かい作りこみに感嘆する。
そうしてどうしてもウチの家族のことを思い出す。
祖母の家に行ったときに見た、
2階の畳の上に介護用のトイレが置いてあった光景を思い出す。
叔母が自分の娘のことを祖母と母に涙して語っていた光景を思い出す。
もう身体が弱って作れなくなった祖母の煮豆のおいしさを思い出す。
いまだに解けぬ父方の祖父母宅での母の緊張を思い出す。
食べきれないと言っても言っても食べ物を作る祖母を思い出す。
10種類くらいある自分の飲み薬を「色がきれいだろ」と並べて見せていた祖父を思い出す。
酔っ払った叔父に一言だけたてついた従姉妹のお兄ちゃんを思い出す。
私たち家族の訪問日に赤い印がうたれた祖父母宅のカレンダーを思い出す。
家族に関する思い出を思い出させる起爆装置みたいなのがたくさん埋め込まれた映画だった。
それであとからあとから思い出されるのだった。

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