シドニー五輪の思い出

気温が下がって、静かになったかに見えた虫の声も
台風の影響で、蒸し暑さがぶり返したせいか、
鮮やかな復活を遂げている。

蝉は30度を超えると鳴かないと言うが、
秋の虫たちは20度を下回ると元気が無くなる。

2000年の9月24日
シドニーオリンピックのマラソン競技で高橋尚子選手が
金メダルを獲得した。

この時私は、夫とふたり、奥穂高岳登山に出かけていた。

上高地を出発すると同時に、マラソンもスタートの
号砲が鳴った。

我々のスタートに合わせるかのようだった。
（我々の方がマラソンのスタートに合わせたと言った方が
もしかしたら、正しい）

普段は登山中にラジオを聴くことなど滅多に無いのだが、
この時は特別だった。
高橋選手の事が気になって、ずっとレースの模様を
聴きながら歩いた。

そして我々が横尾に到着したころ、高橋選手も
優勝のテープを切ったのだった。

普段は殆ど思い出す事も無い、奥穂登山だが
高橋選手の話題が出る度に

あっ、そうだった…あの日私たちも
奥穂登山に行ったんだ。。。

って事を思い出すのである。