『神戸新聞』のコラム。
額に汗して働く。対価として給金を得て、物を買い衣食を満たす。お金を介した等価交換で資本主義経済は成り立つのに、資本家ばかり儲(もう)かるのはなぜか
◆疑問を主題にしたカール・マルクス著「資本論」第1巻が今年、刊行から150年を迎えた。かつては答えを求め、競うように読むのが流行(はや)った時代もあった
◆マルクスは言う。商品経済の資本主義では人々の労働力も商品だ。給金は自分が命をつなぎ、子孫を残すための費用の総計で決まる
◆例えば、その費用を稼ぐのに1日6時間の労働が必要とする。12時間働けば給金は倍になるはずだ。だが現実には、資本家は12時間働かせながら6時間分しか支払わない。残る6時間分は資本家の儲けとなる。長く働かせれば働かせるほど、儲けは膨らむ
◆1巻の第8章は当時の労働者の実態を描く。引用した1860年の新聞によると、英国のレース製造業では9歳や10歳の子どもが、未明から深夜まで働かされていた。彼らの体はやせ細り、人間性は石のように固まった
◆現代日本に目を向けてみる。ブラック企業、過労死、高収入の専門職を残業代支払いの対象から外す「高度プロフェッショナル制度」…。労働時間を巡り労使の対立が広がる。資本論はまだ流行遅れでないらしい。2017・11・27
額に汗して働く。対価として給金を得て、物を買い衣食を満たす。お金を介した等価交換で資本主義経済は成り立つのに、資本家ばかり儲(もう)かるのはなぜか
◆疑問を主題にしたカール・マルクス著「資本論」第1巻が今年、刊行から150年を迎えた。かつては答えを求め、競うように読むのが流行(はや)った時代もあった
◆マルクスは言う。商品経済の資本主義では人々の労働力も商品だ。給金は自分が命をつなぎ、子孫を残すための費用の総計で決まる
◆例えば、その費用を稼ぐのに1日6時間の労働が必要とする。12時間働けば給金は倍になるはずだ。だが現実には、資本家は12時間働かせながら6時間分しか支払わない。残る6時間分は資本家の儲けとなる。長く働かせれば働かせるほど、儲けは膨らむ
◆1巻の第8章は当時の労働者の実態を描く。引用した1860年の新聞によると、英国のレース製造業では9歳や10歳の子どもが、未明から深夜まで働かされていた。彼らの体はやせ細り、人間性は石のように固まった
◆現代日本に目を向けてみる。ブラック企業、過労死、高収入の専門職を残業代支払いの対象から外す「高度プロフェッショナル制度」…。労働時間を巡り労使の対立が広がる。資本論はまだ流行遅れでないらしい。2017・11・27