浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

景色

2024-07-01 19:36:12 | 日記

 子どもの頃、学校から帰るとすぐに遊びに出た。家の前には寺があり、そこにはたくさんの松が生えていた。ぼくらはその松にのぼった。すべての松を征服した。

 寺の前には、ずっと田んぼや畑が広がっていた。冬になると、稲の藁が乾いた田んぼにまかれた。ぼくらはその藁の上で遊んだ。

 目に映る景色は、広く感じた。また空も広かった。

 だが子どもの頃目に映った景色は大きく変わった。まず寺から松の木が切られていった。残っている2本の松も、これ以上のびないように上の方で切られてしまった。

 そして田畑が広がっていたところには、家が建てられ、景色は狭くなった。空も狭くなった。

 わが家の裏には、父が生まれた家があった。しかしその家には跡継ぎがいなくて、近年土地を売った。そこには5軒の家が建った。新しい家だ。その家とわが家との間には、高い槇垣根があったが、それはなくなった。

 時代の移り変わりと言えばその通りであるが、しかしどうにも寂しさが募る。

 子どもの頃、ぼくらはその景色のなかにいた。景色はぼくらの生活そのものだった。しかしそうした景色はもう消えていった。

 学生時代、六大学野球を、たまに見に行った。神宮球場のまわりにはたくさんの樹木があった。いちょう並木を歩いたこともあった。学生時代をふりかえるとき、ぼくは、ぼくを包んだ景色の中にいる。

 新自由主義が席捲するなかで、カネ、カネ、カネ・・・・を求める企業が、公的権力と手を結び「開発」という名の景色破壊を進めている。

 東京に住んでいる人は、それでよいのか、と思う。

 東京に行くたびに、高層ビルが増えている。そのなかに高層のマンションがある。あの高いところの窓から、住人は眼下を行く小さな、小さな人びとを眺めているのだろうか。人間観が変わるのではないか。

 わたしは歴史の研究をしてきたが、その際に心がけていたことは、底辺から視る、ということだ。それをぼくはエラそうに「底辺の視座」と呼んでいた。底辺から視れば、社会全体を見わたすことができるのだ、と。

 どの視点から景色をみるのか、その際、自分はどこにいるのか。人文科学は、「視座」が大切だ。その「視座」がぼけている。

 なかには、高層ビルから視る景色、あるいはその社会に君臨する国家権力の「視座」から社会をみつめる人が増えているような気がする。 

 ぼくは、幼い頃の景色がなつかしい。

 ほんとにほんとに幼い頃、ぼくは親戚に泊まりに行き、その家のまえに広がる田んぼを眺めている。その田んぼには、牛がいた。牛が田んぼのなかをゆっくり進む。もちろんそのうしろにはお百姓さんがいた。

 そうした景色をみながら、ぼくは育ってきた。

 幼い頃、ぼくがいた景色がなくなっていくなかで、その景色を覚えている人びとが、去っていく。だからよけいに寂しさを感じる。

 おい、勝手に、カネのために、ぼくの景色をかえるなよ!!!

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ことばを判断する

2024-07-01 08:28:22 | 政治

 雑誌の『地平』の特集は、「ことばの復興」である。

 ネット、SNSはじめ様々な媒体で、ことばがいっぱい流されている。電車に乗っても、街を歩いていても、人びとはスマホをみつめている。何を見、何を読んでいるかは知らないが、おそらくそこには様々なことばがあるだろう。

 ネットを見ていても、政治家もアナウンサーもことばを発している。ところが、そのことばに重みがない。ことばに附随しているはずの実体、さらには感情もない。だから心を打たない。

 とりわけ、政治家のことばは空虚である。空虚なことしか話せない者が政治家になっている。そのなかでも、あの安倍晋三はひどかった。空虚だけではなく、そこに大きなウソが入っていても、彼へ平気でことばを発していた。

 それと同じような人物が、現東京都知事小池百合子である。選挙公約に「ゼロ」を掲げたが、ほとんど実現していない。しかしそうであっても、彼女は平気である。彼女は空虚である。何もないから、何でも言えるのだ。彼女にあるのは、上昇志向と利権、それだけである。利権の一つ、三井不動産に税金を流し込む、そしてその一部はみずからに環流される。

 彼女の口からでてくることばやうそ、すべてのことばは実体はなく、ただ投票してくれる人びとの歓心を買うだけのもの。選挙が終わったら、それらのことばは消えていく。

 庶民は、実体のあることばと空虚なことばを判断できなければならない。そうでないと、日本は利権漬けの腐敗国家となってしまう。今でも腐臭を放っているのだから、もうこの段階でストップさせなければならない。

 

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日本は「最貧国」?

2024-07-01 08:05:40 | 社会

ペットボトルの水が880円、美術館の日本語ガイドは消滅 欧米で痛感する日本が最貧国という劣等感

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