浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】畑中繁雄『日本ファシズムの言論弾圧抄史』(高文研)

2017-11-20 20:30:34 | その他
 私の仕事の一つに、「横浜事件と海野晋吉」を解説するというものがある。

 海野晋吉は、静岡出身の弁護士、戦時下に、神奈川県の特高警察にでっちあげられた治安維持法事件の弁護を行った。海野は、有名な事件を数多く引きうけている。戦時下には冤罪や治安維持法関連の事件を担当する弁護士の多くが拘束されたりして、こうした事件を担当する弁護士がいなくなっていた。そのなかで残っていた数少ないリベラルな弁護士が、海野であった。

 その海野を顕彰しようという動きが始まっていて、私もそこに参加するようになったのである。

 今から10年ほど前にも、海野晋吉没後40年の顕彰事業があり、私もそれに加わっていたことから、今回も声がかかってきたのである。

 実を言うと、横浜事件にはそんなに詳しくないので、関連する本を購入して読み進めているのであるが、この本は実際に逮捕拷問された畑中氏が、大日本帝国時代の出版に関わる治安立法、その取締りの経過、そして事件について記しているもので、事件の全体像を把握するには最適な本だ。

 今朝から読み始めて、今読み終えた。本には付箋だらけだ。

 日本の今、治安維持法に匹敵するという共謀罪法が成立し、今また過去と同じような時代へと動き始めているからこそ、その過去をきちんと知ることは必要である。

 政治権力は、独裁的な政治へと向かうとき、まっさきに表現の自由を奪う。真実を知らさない、真実を報じさせない、真実を探らせない、真実を伝えさせない・・・・というように。

 横浜事件で逮捕され、拷問を受け、起訴された経験をもった人々、その多くは出版社の編集者や学者、新聞記者などであった。ある意味で知的な仕事に就いていた人々であるが、そういう人々にも、まったく砂上の楼閣、「共産党再建」という空想にもとづいて、特高警察の魔の手が伸びてきたのである。

 そのなかで殺された人もいた。

 大日本帝国が、どれほどの暴力的な国家であったかを、きちんと認識することが求められている。それを理解するためには、とてもよい本だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「国技」の暴力

2017-11-20 20:15:36 | その他
 相撲が「国技」であると言っているのは、相撲業界だけだ。メディアは、それをそのまま報じているだけだ。

 日馬富士と貴ノ岩の暴力に関わる事件が報じられているが、スポーツには暴力がいつもついてまわる。その暴力とは、殴る・蹴るなどの暴力そのものだけではなく、上意下達の厳しい上下関係、それもある種の暴力だ。

 使い走り、「上」の者の洗濯をさせる、金を貸すなど、スポーツに邁進している者から漏れ聞こえることだ。「下」のときに耐えれば、「上」になったときには、自分がされたことを「下」の者に命じることができる。

 まさしく「帝国軍隊」の論理が、スポーツ界には貫かれている。

 学校の部活動から、それは始まる。

 多くの子どもたちが、そういう世界で「訓練」されるなかで、「上」には逆らわない、という心性ができていくのではないだろうか。

 日本のスポーツは、暴力の論理に貫かれていると思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テレビのない生活

2017-11-20 20:10:34 | その他
 最近は、テレビを見ない方が精神的に安定すると語り続けている。トランプが来日したときは、全テレビ局がひたすらトランプ・安倍の「親密」ぶりを報じていたという。しかし私はそれを知らない。

 だが、水嶋くんはきちんと見ているようだ。彼の分析は鋭く、大いに同感できる。

トランプ・アベ非立憲政権の「国難」――兵器ビジネス突出の果てに
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする