HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

「依存症」という壁! 

2013-05-31 14:28:37 | 健康
 「依存症」は、「精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を
繰り返し行った結果、それらの刺激を求める抑えがたい欲求である渇望が生じ、その刺激を
追い求める行動が優位となり、その刺激がないと不快な精神的、身体的症状を生じる精神的、
身体的、行動的な状態」と定義されるとか。

 難しいことはさておき、「依存症」ななかな抜けられないことにあります。
いろいろな「依存症」があり、「アルコール依存症」「ギャンブル依存症」「ネット依存症」を
はじめ、いろいろな依存症があります。

 最近、「依存症」の克服が難しいと感じるのは…






「ニコチン依存症」

いわゆる「タバコを止められない」という状態です。
ニコチンは、神経伝達物質である「アセチルコリン」に分子構造が似ていて、
タバコを吸い続けると、しだいに「アセチルコリン」の働きが弱り、
吸わないでいると、離脱症状(イライラ・昼間の眠気・落ち着かないなど)が
現れるようになります。
これが「ニコチン依存症」です。





「禁煙外来」は医療保険も使えるので、多くの患者さんが禁煙にチャレンジされています。
最近は「チャンピックス」という飲み薬を使って、禁煙の成功率も高くなっています。
「ためしてガッテン」でも紹介されました。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20111026.html


でも、禁煙成功の先に大きな「壁」が… 


「禁煙したのですが、フッとタバコが吸いたくなり、1本だけと思ったのですが、
あまりに美味しくて止まらなくなりました」


再びタバコを吸ってしまった方は、ほとんど同じようなことをおっしゃいます。

禁煙成功者のうち、どの位の人が再び喫煙してしまうのかは正確には分かりませんが、
当院の禁煙外来受診者で禁煙成功後に再び喫煙している方がチラホラ見かけます。
さらに、当院での禁煙外来も開始して2年以上経過して、再度、禁煙外来を受診される方も
出てきました。
どなたも、「なんとなく1本だけ吸ってみようかと思ったら…」と。

「ためしてガッテン」で、「再喫煙の理由は、快楽の強烈な記憶」と紹介されています。
禁煙治療で、アセチルコリンの働きが正常に戻っても、一度経験した快楽からなかなか抜けられない…
人間は誘惑に弱い生き物ですね。


現在の「禁煙外来」は12週間に5回の受診と薬の処方が「保険でできる禁煙外来」ですが、
禁煙成功者が再びタバコに舞い戻らないようにするためには、
長期的で継続的な取り組みが必要だと感じています。

「依存症」との戦いは難しいものです 
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