心臓血管外科クリニックには様々な診察依頼がありますが、
そんなひとつが
「深部静脈血栓症」
下肢の静脈の血が淀んで固まって血栓ができると、
静脈の流れが悪くなって足が腫れたり、痛みが出ます。
血栓が大きくなってちぎれると血液の流れに乗って
肺に詰まり
「エコノミークラス症候群」になります。
整形外科を受診されて治療を受けても治らずに心臓血管外科に
紹介されることもありますし、最近は患者さん自身がよくご存知で
最初から「深部静脈血栓症」を心配されて受診される方が増えています。
診断には
「エコー検査」が決め手になります。
エコー装置は特別なものではなく、血管用のプローブがあれば
多くのクリニックでも検査可能です。
ただ、診断には血管を診る技術と経験がいるのですが、
今後、下肢静脈エコーが普及が期待されます。
また、
「Dダイマー」測定装置。
血栓ができると、血液中のDダイマーが上昇します、
深部静脈血栓症の診断に有力な検査です。
ただし、血栓症以外でも数値が上昇するので、Dダイマーが高いからといって
深部静脈血栓症とは即断できません。
Dダイマーが正常値なら新しい血栓が作られていない状態であることがわかります。
当院では、従来は検査会社に測定サンプルを出していたので
結果が出るまで1日の時間がかかっていました。
新たな測定装置を導入したので、数分で結果が分かるようになり、
『エコー検査」と「Dダイマー」検査が診察後1時間以内に完了して
「深部静脈血栓症」の診断が完了する体制になりました。
先日、下肢が腫れて痛みが続く患者さんが整形外科から紹介されました。
Dダイマーは4以上の高値で、エコー検査では足の付け根の大腿静脈、
膝の裏の膝窩静脈にやや旧い血栓が見つかりました。
胸部X線や心電図では肺や心臓の負担はありませんが、「エコノミクラス症候群」の
危険性があるため、CT検査や抗血栓治療が必要なので
緊急で病院に紹介させていただきました。
膝下以下の深部静脈血栓症であれば、入院しなくても外来での抗凝固療法
(血液の固まりやすさを抑えてサラサラにする)で治療が可能です。
「深部静脈血栓症」は増えているので、みなさまも下肢に異常を感じたら
検査を受けることを考えてください。