中国貴州省で日本語教師

2007年春~2009年春、青年海外協力隊

不思議の国の…

2008年07月20日 | ことば
今日知りえた衝撃の事実。

ルイス・キャロル(イギリス作家)
代表作

↓ 中国語訳

卡洛楽(英国著名作家)
代表作

『不思議の国のアリス』

《艾麗細(ありす、と読む)漫游奇境記》

まんゆうきって…。やじきた道中?

その他のアリスシリーズ↓

《艾麗細 夢游仙境》

仙境…。ちゅ、ちゅうごくだ。

青は藍より出でて

2008年04月28日 | ことば


学生が持ってくる原稿に、すでに添削した赤字が入っていて、実は元の文が正しいことがよくあって、のみならず、元の文は正しいのに赤字が間違っていたりすることもよくあり、あちゃーと心の中でつぶやきながら指導している。

教師の顔をつぶすのは断腸の思いだが、教師として正しいことばを教えなければならず、それが今の自分の最大の苦悩である。

教師たちは知識や教え方で優れていても、運用面では学生たちの中に教師よりも達者に話したり書いたりする者が2年生でも何人もいて、若い頭の柔軟性や吸収力というのは驚異的だ。

1日8時間は勉強に集中できる環境にある学生と、一度教師になってしまえば学務や政治に追われて毎日勉強する時間がとれない教師とでは当然差が出るだろう。

その差は、言語の運用力というものが「生もの」だということの証拠なのかもしれない。

自分がネイティブ・スピーカーであるというだけで、自分よりも経歴の長い教師に「(その言葉は)そうは言わないです」と一言のもとに否定してしまえるその立場にも辛いものがある。
自分が逆の立場だったら本当にすごく嫌だ。

他言語を学んだり教えたりすることは、尽きることのない努力の積み重ねなのだろうか。学んでも学んでも現実のネイティブ・スピーカーにはどこまでも敵わない部分があって、まるで修行のようだ。

それでも母語以外の言葉を操れるようになると、自分の母語とその周辺の世界が明るくなるのだと信じたい。新しい言葉を身につけた分だけ視野も意識も広がっていき、世界が多義的に豊かになると信じたい。


感冒薬

2008年01月18日 | ことば

中国語をあーおーえーから勉強し始めてそろそろ1年。最近、商店街で買い物をする時に、日本にいて日本語で店員に聞くのと同じような内容の会話を、心理的になんの抵抗もなく自然にすることができるようになったので、買い物がラクになった。

まさに、体で覚える外国語。

3日前ぐらいから鼻風邪をひいていて、近所の薬屋に風邪薬を買いに行った。
店員に風邪の症状を言うと、出してくれた薬の箱に書いてある内容が全部わかった。
と言っても、私が中国語ができるようになったからではない。
なんと、全部日本語として読めるからである。

「用于普通感冒或流行性感冒」…ふむふむ、普通の感冒あるいは流行性感冒に用いる、と。
「流鼻涕、鼻塞、咳嗽」・・・あ~この単語は知らないけど、鼻水、鼻づまり、咳、ね。
「用法用量 口服1日3次、1次2片」…1日3回、1回2錠。

店員の「6時間は時間をおいて飲んでね。この喉の薬(「扁桃腺」と箱に書いてある)も一緒に飲むと更にいいけど、いりますか」などという説明も日本語のように耳に入る。

漢字の威力で、外国語なのに外国語とは思えない。
文字を共有してるってすばらしい。

家に帰ってさっそく飲んで数時間寝て起きたら、びしっと完治していた。
日本から持ってきた風邪薬は3日飲んでも効果がなかったのに。
信じられない。
な、何が入っているんだろう・・・
すごいぞ中国の薬・・・

好きです!

2008年01月03日 | ことば

↑コマ回しは夏でもやっています。夜中でも街中でも年中…

日本でもやったことがなかった上司への年始の挨拶まわりというものをしてみました。年始の挨拶は、新年好!

新年好きです!

…じゃなくて、好!YES!の意味なので、

新年よし!

と、単刀直入に肯定してます。

対するあけましておめでとうは、何がどうおめでたいのかなんとなく分からなくもないけれども年が明けたわけだから新しくておめでたいと言いあって私たち一緒にお祝いしてますよね?どうぞよろしく。という感じ。

考えてみると你好!ニーハオ!という挨拶も、

あなたが好き!

というか、

あなたはいい!

と、いきなり肯定していて、

日本語の挨拶の、

今日(こんにち)は…何?

今晩(こんばん)は…何?

お早(はよ)うございます…早いから何?

という、だから何?という分からないところがなくて、けっこう素敵かも…。


晩上好! Good Evening !

早上好! Good Morning !

你好! あなたはいい!



貴州語、貴州人

2007年11月20日 | ことば

↑学内でよく見かける「普通話(標準語)を話しましょう」看板。


 これまでに理解できた貴州語一覧。


日本語=中国語[普通話の発音]…貴州語の発音


無い= 没有 [メイヨウ]…めで!


少し= 一点アー [イーディア~]…でぃでぃご


あの= 那ガ [ネイガ]…あご~


 行きますか?= 去不去 [チュープチュー?]…けぷけ?


 いくら?=多少銭? [ドーシャオチェン?]…はおどーしゃお?


つくづく貴州語って外国人泣かせの謎の言語だわ…。


しかも貴州の南部と北部では全然言葉が違うらしいし。


「貴州南部出身の○○さんが電話で故郷のお母さんと話している時、私は、今、日本語を話していますか?と言うぐらい聴き取れないです」「私は貴州省出身ですが、貴州省北部出身の△△さんが同郷の友人と話しているとき、意味が分からないですよ」などと、学生たちが立派な日本語で説明してくれた。南北の違い以外にも、都市ごとに違いがあり、貴陽弁もあれば遵義弁もある。


さらに少数民族出身の場合、民族語も使っているから、幼い頃から、TVや新聞の普通話&地域の方言&民族語の3言語使用があたりまえの世界ってこと?


じゃ、そこに日本語や英語が加わったところで、日本人が英語に対して身構えるようには誰も身構えず、物怖じしないのかも・・・。


 


ところで、先日の日曜日は久々に日本語を一日中使わないで街で中国語の実践練習ができる貴重な日だった。


今までは二言目には「どこの国の人?」と外国人なのがバレバレだったのだが、・・・日本人と言っても嫌な顔をされたことが一度も無く、皆大喜びしてくれるのでバレてもいいのだけど・・・先日は、初めて、タクシーの運転手にもデパートのお姉さんにも商店街のおばちゃんにも、


あなた、貴州人じゃないよね?福建の人?広州の人?」


と聞かれた。


やった~!私の中国語って、勉強してないけど自然に上達したのね!少なくとも中国人に間違われるほどのレベルに達したのね!(店のおじさんはなぜか「あんたイギリス人?」って聞いてきたけど)・・・と、るんるん気分で帰宅。


でもって、今週1週間ぶりに中国語の授業に出てみると、基本単語の四声を間違えて先生にまったく理解してもらえなかった・・・。自分を利口と思ってしまった、おばかなあたし。


ま、三歩進んで二歩下がるっていうのが外国語習得のだいごみってことね。そういうことにしておくわ。



対照言語学と語用論の日々

2007年10月25日 | ことば


作文の授業の始めにはいつも添削した作文を返し、誤用紹介をするのだが、今日は、日本語の「了解」はOKぐらいの意味なんだよ、とか、日本語の「要求」は中国語の「要求」と比べて命令のような強さがあって全然違うんだよ、などと、いつまでも誤用が消えない語を、恨みをこめて(?)黒板で一覧表にして解説した。

すると、いつもはあまり質問が出ないクラスなのに、
「要請と申請と申告の違いは何ですか?」
とか、
「風習と風俗と風土の違いは?」
と、質問続出。
(わお!質問が自由に出る雰囲気になってきていい感じ、ホイ来た、受けてたつとも)と例文挙げつつ、語法をビシバシ解説する。
そういえば、こういう語用論的解説は、よく塾で、こまっしゃくれたお受験小学生たちから質問を浴びせかけられてやっていた。今は大学生だから、相手は大人である。しかも、これから日本に行く人も多い。それを考えあわせて、「風俗」がだいたいは書き言葉であることと、口語で使う時の俗なる意味も教えておいた。
今日教えたことを全て忘れて、そればっかり覚えていたりして・・・





母語の干渉

2007年10月24日 | ことば

    

       ↑やきいも、売っています。

授業をしていないときは何をやっているかというと…
あれやこれや、です。

一番多いのはネイティブチェック。

秋になってからよく持ち込まれるものは、教師からは大学院入試の研究計画書、4年生からは日系企業の面接での自己紹介文、3年生からは1級試験過去問の語彙のニュアンスの解説、2年生からは某財団に奨学生として出す作文。

事務室で、やって来る書き手と一緒に書類をのぞいて、じみ~に、赤ペンチェックや、模擬面接などをやっています。

そこでいつも頭を悩ませているのが「母語の干渉」。

日本語教師の資格試験で毎年のように出題される、あの「母語の干渉」。


私は日本へ行って、働きたいです。
日本で風俗の言葉を覚えます。
(3年生女子)


(ふうぞく!?)あの~、日本へ行ってどんな仕事をするんですか?

はい、観光会社で研修生をします。

そうですか(ほっ、思わず心配しちゃったよ)。
それで、日本へ行って、日本の慣習や日常会話を覚えたい、のですね。
研修が終わって中国に帰ってから、どんな仕事をしたいですか?

故郷に戻ったら、経理をやりたいです。

(もしや…)けいりって、どんな仕事ですか?会社の中でお金の計算を専門にする人のこと?

いいえ、ちがいます。父は会社を持っています。私はその会社をもらいます。

それなら、「けいり」じゃなくて…。

オオ、先生、間違えました。社長です。

そうですね(やっぱり)。

私、もっとよく日本語を了解しなければなりませんね。

了解、は違います。中国語の了解は、日本語では理解です。(たのむ、皆で了解します了解しますって言うのやめて~何度言ったら分かるんだ~心の叫び)


こんな感じで、中国語に日本語と字面が全く同じで意味が違う語彙があふれかえっているため、単語レベルで母語干渉しまくり

もとはといえば、大昔に日本語が中国語を輸入しまくっていたせいなのですが…。

たらちねの

2007年10月18日 | ことば


中国に来て、日本語が好きになった。

これまで、言葉にこだわって生きてきた。

言葉といっても、日本語が母語だから、自然、日本語にこだわって生きてきたことになる。

日本にいる時は、日本語の持つ限界やあいまいさ、不自由さに意識がいっていた。

考え出すとわけがわからなくなる慣用の正しさ。
辞書を引いても判別ができない語感。
どの編集部にいる時も、いつも編集者どうしで「~って言う?言わない?」と周囲に確認して最終的に確信が持てるコロケーションのあいまいさ。

日本語が美しいとか、豊かだとか、そんなこと思ったことがなかった。

ただ言葉にこだわって生きている、毎日格闘している、それだけで。

日本語教師の資格取得を目指しているときも、日本語が美しいとか、素晴らしいとか、そんなこと全く思っていなかったと思う。

だけど。

中国に来て半年が過ぎて、最近しみじみ日本語の良さを感じることが多い。

一番好きだと思うのは、ほとんどの音が母音で終わること。

中国語は子音が大きくて子音でリズムをとる。
日本語は、対照的に、母音がよく響く。

どんな単語も、母音がふわふわと響いて、優しい。
ゆっくり、ていねいに話していると、静かで、優しい気持になれる。

母音の響きの優しさに気付いたのは、
韓国人教師が電話で韓国語を話すのを聞いたとき。
韓国語も母音がよく響く言語で、意味は分からないけれど、なんてエレガントで優しく響く言葉なのだろう!と、かなり驚いた。

そのとき、学生たちがよく「日本語は気持が優しくてきれいです」、とか、「日本人の女性は皆優しいんですか?」などと言っているのは…熟年の女性教師から、「やっぱり日本の男性は皆優しいんですか?」と真顔で聞かれたりするのは…こういうことなのかもしれないなと思った。

謝辞祝辞

2007年09月08日 | ことば

創立記念日に、大学内に日本語文献館と大学歴史資料館と自然博物館が開館した。

以前、式典に呼ばれた時に、通訳の先生の日本語原稿をその場で校正するという、気分は国際報道部ニュースデスクのような仕事をしたことを思い出し、木曜の夜にマニュアル「日本語謝辞祝辞文例集」を編集しておいた。

予想が的中し、金曜日の朝9時に電話で起こされ、15分後には教員室で、幹部の謝辞の通訳原稿をみていた。なんと朝8時半から幹部の会議があったらしい。
教授歴10数年の先生でも、「ご列席賜り、厚く御礼申し上げ」とか「祈念いたしまして謝辞とさせていただきます」といった式典決まり文句の日本語は理解しがたいらしい。だいたいスピーチ文は長文になりがちなので、日本人でもコロケーションがおかしくなりがち。その上、待遇表現が豊富。例えば、自分たちを主語にして「我が校は貴財団の~に選ばれまして」と言うのがおかしいところを「貴財団~に我が校を選んでいただきまして」と直す。さらに、やりもらい表現の語感。「授与」でいいのか「贈呈」か「進呈」か「手交」かといった語感に気を使う。

校正しながら、そういえば去年の今頃も日本で同じようなことをしていたな~と思い出す。編集室で企業の社史序言の謝辞祝辞を赤ペンで直していた。結局わたしは、どこにいてもどんな肩書きでも、特技は変わらないし同じような仕事をしているということか…。

その夜8時、スーツのクリーニングを取りに行っていると、携帯電話が鳴る。若手教師が明日急にスピーチをすることになったので原稿作りを手伝ってほしいとのこと。再び教員室に駆けつける。PCに向かい、日本語のタイピングは私のほうが速いので、共同で文章を作りながら、発音とアクセントの指導。夜9時になると、先週から指導していた代表スピーチの学生たちが来て、中国語の文が急に変わったので、日本語も手直ししなければならないとのこと。夜11時には先生二人と学生二人の原稿書きと発音指導を終えた。



自分と中国との相性がいいと確信できる点が一つある。
それは仕事の進め方。
出国する前の研修で中国生活の先輩たちから聞いていたのだが、計画は無いも同然、電話一本で直前に予定が変わったりするという。来てみて実際そういうところがあると感じる。で、ふりかえってみると私は元々スケジュールどおりに行動するよりも「瞬発力」勝負が大好きで、だからマスコミに就職したり、趣味がオフロードツーリングやスキーなんていう、度胸ととっさの判断力勝負のものばかりだったりするのだった、そういえば。
この国に来て、そんな自分の持ち味をあらためて発見できてよかった。

まあ仕事の面だけで、恋愛に関しては瞬発力も度胸もみじんもなく、相変わらずゾウガメのようなのだが…

これは化石↓





アドバルーン

2007年09月06日 | ことば

行事の時はいつも大学の正門にアドバルーンが複数用意される。
その隣には先学期に建った電光掲示板が輝く。(発光ダイオード!)

「アドバルーン」って、ドイツ語か何かなと思って語源辞典を引いてみたら、advertising balloonのカタカナ日本語だった。

もう何度も書いているが、私の相棒の先生の日本語力は、OPIで言えば超級クラス。

以前、私が風邪を引いて嗄れた声で、しかもマスクをしながら話しかけて彼女と普通に会話をしていて5分後に、「はっ、この人にとって日本語は外国語だったんだ」と気づいて驚嘆したことがあった。それから彼女は普段「私今日生理なの・・・」などと呟いたりする。どこでそんな言葉を覚えるんだろう、一体この人の日本語はどこまでできるんだろう・・・と驚かされる。(ちなみに彼女の過去の日本滞在時間は1週間で、この地域にもこの省にも日本人がほとんどいない。)しかも先日、私より英会話が流暢であることが分かった。もはや白旗を揚げて、いっぱい聞けていっぱい喋れる身に良くつく外国語学習のノウハウを教わるしかない。

そんな彼女のウィークポイントは、カタカナ日本語。わけのわからない和製省略英語は難しい。

今日は、同僚たちに、「アドバルーン」と「テープカット」と「RV車」と「オフロード車」を教えたのだった。(・・・後半は私の趣味ではなくて質問されたから答えたまでですよ念のため)

多言語社会

2007年07月21日 | ことば
授業がなくなって2週間。なんとなくいらいらする。エネルギー源を失った感じ。そういえばわりとワーカホリックだったっけか?と自覚する。先輩隊員や同期隊員から、着任して数ヶ月の間授業がなくて・・・うーむ。という話を聞いたことがあるが、今やっとその気持ちが分かった気がする。

友人が夜遊びに連れて行ってくれた。これは地下通路。




ピザハットを発見。



浙江省の人が同席していたので、みんな普通話だった。
標準中国語なら、意味が分からないままずっと聴いていても疲れないということに気がついた。自分にとってどうもズーズーッ、ツッ、という音が多い早口の方言が疲れるだけらしい(わがまま)。
ところで、浙江省の人が電話で同じ省の人と話しはじめると、これもまた独特な言葉で、貴州人は「今話している言葉はぜんぜん理解できない」と言った。「単語ぐらいは分かるんじゃないの?」と聞いたが、分からないという。

それなら浙江と貴州ほど離れていない、近接する省なら分かるんじゃないかと思うが、そうでもないらしい。
貴州の近隣の広西チワン自治区出身の学生同士が話している言葉も異国語のようで分からないというし、このへんのコピー屋や印刷関係の店は、ほとんど湖南省の人たちがやっているそうだが、またこれも異なる言語のような発音をする。そして貴州省の中でも貴陽弁とか遵義弁とか、バリエーションが豊富だ。

そんなわけで、ちまたの店や市場では、
「え?なんだって?」
「~だよ!」
「~でいいんだね?」
「そうそう!」

という相手の言った事を確認するやりとりがしょっちゅう行われている。
そのせいか、私が「え?何?」と聞き返しても日本人だと思われず、
「私の普通話の発音が悪いのね・・・」
と相手のコンプレックスを刺激するだけだったり、
(この人普通話が話せないほど教育を受けていないのかしら)
などと馬鹿にされたりしているようなのが、ちょっと悲しい。





ホームシックなの?

2007年07月17日 | ことば

中国で働きはじめてもうすぐ3ヶ月になる。
中国の人々の印象は、パワフルで仕事が速い人々だなあ・・・という感じ。
パワフルといえば、最初の職員会議の時、5~6人が一斉に話しているのを見ていたら、ふと、ネパールの街中でヒンディ語を話すインド人グループを思い出したりもした。なんとなく似ていた。・・・とはいえ、同僚はさすがに大学講師だけあってみんな上品だと思う。街やバスの中にはやけに大声の人々が・・・。

今日、中国人数人と食後に散歩している時、世話役の先生が、
「センセイは最近、寂しそうな顔をして遠くを見ることがあるよね、ホームシック(想家)なの?心配なんだけど・・・」
と真顔で心配してくれたので、正直に、
「いや・・・中国語を聴き続けると、時々疲れるんだよ・・・」
と言ったら笑われた。
中国語は抑揚が多く、子音が多く、日本語にない有気音や鼻母音や捲舌音があって、日本語よりも口の動きが忙しい。わりと弾丸トークに聴こえる。
仕事の徹夜明けで眠かったり、疲れ気味だったりすると、耳が中国語の聴き取りを拒否しがち・・・。もっとヒアリング能力が上がったらそんなに疲れなくなるんだろうけど。

もしかすると、言語がパワフルな構造だから、この人たちはこんなにエネルギッシュなのだろーか。音素がエネルギーを要求するから、基礎の筋トレがばっちりで、食事もいっぱい食べるし、元気なのかなあ。



上善如水

2007年07月10日 | ことば
酒のことを悪く書いたけど今はちょっと前言撤回したい気分。

上司への土産はやっぱり酒だろうと北京のイトーヨーカ堂で買った「上善如水」を持っていったら、これはどういう意味ですか?と聞かれたので、たぶん「君子の交わりは淡きこと水の如し」をもじったのではないかと言うと、いいや違うとにんまり笑い、「上善如水」は老子の言葉なんだよ、と教えてくれた。
うっ、そうだったんスか・・・
日本酒なのに老子の言葉だったんスね・・・
それを「日本の物です」と言って中国人へお土産として持っていってしまったことに若干の羞恥心を感じる。

で、食事をしながら一緒に飲みましょうということになる。
(中国のレストランのよいところは持ち込み自由なところ。これに慣れてくると、どうして日本のレストランは持ち込み不可なのかな?と思う。)
父と同じくらいの年の人と、普段いる通訳役の先生抜きで、筆談と電子辞書と『旅の指差し会話帳』をフル活用してお話。上善如水の句の中国語読みを教えてもらうのも、「日本の酒はジュースです」と言いながらビールジョッキで日本酒を飲んでいる人を見るのも、とても楽しかった。夜9時を回ってから、「部下が待っているからこれからまた仕事に戻ります」と言って立ち去った後ろ姿は日本のおじさん方と同じく哀愁ただよい、やっぱり中国の管理職も仕事量が多くて大変なんだなと思う。

仏独お気の毒

2007年06月06日 | ことば

第二外国語は、フランス語、ロシア語、ドイツ語、韓国語などがあるらしい。

フランス人に、ボンジュー♪って挨拶するときは、中国語でバカ!(棒猪!)と言うと通じるのだそうだ。
ドイツ人に、さよーなら♪と挨拶するときは、去死!・・・。
うっひゃ~。


若い娘観

2007年05月25日 | ことば

ここが大学内の私の研究室。
ここでoffice hourです、などと、大学講師ぶりながら、本を開いている。
…その本は、実は、中国の小学校一年生用テキスト『みんなで読もうこてん、ことわざ300詩』だったりするのだが。

今週の質問で多かったのは、日本語試験4級(中国国内のみで実施されるもの)の問題。どうも、この試験問題を見ていると、日本語教育界ではなく、日本の国語教育に携わった人が作っている問題という印象を受ける。

「父は若い娘が一人で海外旅行に行くなんて、A.とんでもない B.思いがけない と言っている」

どうして B.思いがけない、ではいけませんか?と教師も学生も困惑していた。
とんでもないは一般論で使うことが多くて、非難の気持ちがある、思いがけないは個人的な経験で、単純に意外だと思うだけで特に非難の意味はない、と例文をあげながら即答する。が、まだ分からない様子。

どうしてここに非難する言葉ですか

あー、えっと、日本では昔、女は家にいなければならないと考える時代がありました。うんうん、知っていますね。それで、女は一人で旅行しては危険だ、絶対だめだと言う人が多かった…それを一般の、道徳のように考えるおじいさんもいるんですよ。そこで一同初めて納得した顔をして、おお~なるほど日本の文化ですね…と唸っていた。(文化なのか?)

中国の女性の地位は高い。と、一般によく言われる。ちなみにこの大学でも学長と同じ権力を持つ「書記長」は女性で、「副書記長」も女性で、学部長の教授も女性で、学科長も女性である。そんなわけで、この一般論を実感する日々。

文化的社会的背景を共有しないと理解できない文がある、解けない問題になってしまう、その一例だと思う。