中国貴州省で日本語教師

2007年春~2009年春、青年海外協力隊

北京到着

2007年03月31日 | Weblog

北京到着後48時間が経つ。

北京は建設中のビルが目立ち、いかにも経済成長真っ最中といったおもむき。
でも、喧騒と埃の臭いがまさにアジアの街らしく、カトマンドゥやバンコクを思い出してとても懐かしいと感じる。方向指示器を出さない車の波のなかの4車線道路を北京市民にまぎれて渡り、私のバックパッカー魂やら旅ライダースピリットやらは呼び覚まされっぱなしである。

第一印象

・思っていたとおり、ご飯がおいしいすぎます。たまりません。
・思っていたよりも、店員や人々が親切です。ロシアと並び称される無愛想度だと予想していたけれど、私のような外人に笑顔を返してくれます。滞在地が外資系ホテルと大使館がひしめく、北京の広尾か青山かといった所だからかもしれませんが。

48時間で体験したこと

・事務所の方々から北京ダックをごちそうになる。白酒の飲み方講座もありました。ありがたいことです。
・北京セブンイレブンとカルフール(外資系大型ホームセンター)でお買い物。
・タクシーに乗って目的地にたどりつく。
・北京仕様携帯電話を支給され、ピンイン入力。
・宿舎である留学生寮のフロントのおばちゃんたちとお話する。お湯の出し方、インターネット部屋使用法などを訊ねる。
・台湾料理、韓国料理、イタリアンレストランで料理を注文する。
・TVに見入る。
・たばこやさんや理髪店のおばちゃんに道を訊く
・クリーニング屋に行って服を出し、何曜日に仕上がるか確認する。
・庶民的なスーパーに行って買い物する。
・DVDやCD屋をチェックする。

しばらくは中国語初級サバイバルの日々が続きそう。
通じた!とか、言われたこと全部は分からなかったけど、なんとかなった!と喜んでいるレベルは、毎日が新鮮で単純に楽しい。冷静に考えると単語を羅列している私や、強引に英語も使ってしまう私はアホかと思うけど、なんたって初級だから恥も外聞もないのである。

来週の目標は、つい口にしてしまうyeah,とか、a-ha,ではなくて、好!と言うようにすること。

長いお別れ

2007年03月27日 | 

レイモンド・チャンドラーは10代の頃に読破した作家の一人。
フィリップ・マーロウの表現力にすっかり心うばわれたものだった。

私にとっては、いかにもハヤカワ文庫らしい清水訳=チャンドラーの世界なので、ムラカミハルキ訳が出たというニュースを、収容所…もとい訓練所にて新聞書評で読んだ時はレイモンド違いじゃないかと思った。本当にカーヴァーではないのね。
ハルキ節とチャンドラーの疾走感…それって全く対称的なような気がするけどどうなんだろう?という興味と、ちょうどストーリーを忘れた頃だし読み返してみようかなという気になって、大きな書店で見てみると、積み木の平積みのこれでもかという過剰なディスプレー。これ買うと私はミーハーですというようなもんじゃないかと気がそげたんですが。結局こっそり買ってしまいました。もう船便で送りました。赴任地でハードボイルドします。タイトル、旅立ち気分にぴったりだし。

それにしてもチャンドラーファンとしては、『長いお別れ』よりも先に、あの『チャンドラー短編全集』のしょうもなく古びた翻訳を訳しなおしてほしいです。東京創元社さん、お願いしますよ~。

宅急便買い

2007年03月25日 | 
またやってしまいました本の買いこみ。
日本の本を扱っている本屋がない土地に長期間暮らすことを考えると、つい大量買いにはしってしまいます。まあ普段から相当の「本買い性癖」があるので。中学生くらいから、お金は無くても、なにはなくとも、本は買う。という、なんなんでしょうこの昭和初期文学青年のような性癖は。おそらく一生治りません。ふ~。

本屋のない土地とはいってもアマゾンで買えるから、ま、最少限に買えばいっかな、と自分に言い聞かせながら本屋に入り、今日もやってしまいました。ザ・宅急便買い。レジに本満載のかごを載せ、「これだけ買うので宅急便で家まで送ってもらえます?」とのたまう。まあ持って帰れないほど大量に買えばたいていの本屋は郵送費無料にしてくれます。

自分としては見境無く欲しい本を買っているのではなく要不要?と自問自答しながら、以前から読みたかったものや本当に役に立ちそうなものを中心に厳選して買っているのですが、3日間の合計がノートパソコン1台分という値段を考えると、なんというか、クレイジーというか、ちょっと気がおかしいのではないかというか、尋常ではないらしい自分が心配になったりします。あんた将来『知の考古学』でも執筆するんかい、と自分にツッコミを入れてしまいます。

けれど、以前知り合いのブランド服好きな人で、店に入ってクローゼット1列を指差して「ここからここまで、全部ちょうだい」と店員にのたまうという話を聞いたことがありますが、そんな人よりはましでしょう。
え?似たようなもんですか?やっぱり・・・

<買った本たちの分類>北京の本屋で無かったら困るものたち。うわさによれば、有っても日本で買うより高くつくとか。
・授業の質を左右するかもしれない日本語教育用テキストの類
・日本語教育用ではないけれど授業で使える類の本あれこれ
・読んでおきたいと思っていた日本文化論の古典
・軽く読んで楽しめそうな中国事情の類
・中国語の参考書の類
・ずっと読もうと思っていて読んでいなかった一部の日本文学
・気分転換に自分で楽しむための本

<プラスすでに持っていて持って行く本>持っているけれどまだ読んでいなかった読みたい本たち。人類学の古典や英語原書

自分の過去のペースから考えると、あとは北京で教材系の本をそろえれば、たぶん半年は本を買わなくてすむかなと、ひと安心です。
というか、買いたくなっても倹約しろよ自分。

あ、郵送費をまだ計算してなかった・・・。


70日間がまんしたこと

2007年03月24日 | Weblog
山ごもりを終えて家に帰ってから今日まで、70日間やりたくてもできなかったことを次々とほぼ全部やりおおせた。

約2ヶ月我慢していたことは、たぶんこれから2年間我慢することと同じなのかもしれない。2年後にこのリストを見て、同じだ~と思うか、あ・私変わった~と思うか、はてさてどちらになるのだろう。

やったこと
1.やたら手間のかかる料理を作って食す。3時間かけて作るビーフシチューなど。
2.職人さんが目の前でにぎってくれる寿司を食す。やっぱり回転寿司とは全然味がちがう。
3.長風呂。アロマオイルにアロマキャンドル付。
4.車の運転。特にAT車じゃなくてマニュアル車が楽しい。
5.本屋散策。神保町を何時間もぶらついて本をたくさん買う。
6.庭のバラ等の手入れ。

1週間でこれら全部をやって、余は満足じゃ。

出国までなにやら変則的な毎日で、やれやれなのだが、
もうひといき、がんばろっと。

かっこいい人たち

2007年03月23日 | Weblog

かっこいい、と言われると、ありがとう、と笑顔で応えるのが、高校時代からの常なわけですが。
私は一応女なので、女性陣からかっこいいと思われてもいったい何の得があるのかということもあり。
もちろん褒め言葉と感じるのでうれしくないわけがないのですが。
時折、痛切に、自分はなんてかっこわるい人間なんだろうと思うので、複雑な時もあります。

荷造りの最中に、不在中に届いていた学会誌「文化人類学」の茶封筒の封を切ってみた。

いつかはこういう日が来るだろうなと思っていたことが起こった。

表紙によく知っている人の名前が3人載っていた。
以前研究会で会ったことのあるT大のKさん。Kさんとは昔つまらないことで批判しあったことがあったけれど(たぶんKさんは忘れているであろう瑣末なこと)、そのやりとりの中で、相当に知的で、にもかかわらず驕ったところのない素敵な人だと知った。二人目は共同研究室でよく話した先輩Fさん。ユーモアのセンスがあってタフで知性の塊のような人で大好きだった。それから同じ読書会でやっぱり仲の良かったHさん。彼はともかく人間関係構築力やバランス感覚が抜群で、表面的には親しみやすい雰囲気なのだけど実はものすごく賢い人。

私はFさんとHさんの身近にいて一人の仲間として彼らの「産みの苦しみ」を見ていたので、なんとも言えない気分になった。2人ともものすごく勉強していた。院生の頃はそれが普通と思っていたが、今思えば相当な勉強量、研究量をそれぞれがこなしている、それが院生生活だったと感じる。日々地道に意志を貫く、孤独に耐え、時に自信喪失して沈み、無名の年月を耐えぬ抜く。一見無骨だけどこれほどかっこいいことはないと思う。

その彼らが、着実に成果を出した。
それで、私は。
いったいどこへ向かっているのか。
また、a rolling stone gathers no moss…を繰り返すつもりなのか。
それが私の答えだったのか。
これから自分の過去の研究にどんな答えを与えるつもりなのか。
少し視界がかすんだ気がした。

だけど、冒頭の川田先生の論文「文化人類学とは何か」を読んで、気持ちが変わった。
私はそれほど遠くには離れていないし、人類学から背を向けているわけではないのではないかと。
川田先生の「開発」や「文化遺産」への問題意識。それに、靖国神社をフィールドワークなさって、安易なナショナリズムを警戒する姿勢に勇気づけられる。
あらためて私は、自分の価値観とほとんど一致し、自分のものの見方の基盤となるような、人類学という学問に出会えたことをうれしく思う。
今後、論文をものにできるかどうかはともかく、ずっと学会員でいようと思う。




ニッポンの3月

2007年03月20日 | Weblog
昨日からニッポンの3月を、満喫しています。

1.強風。
2.年末予算調整のため一斉にやっている道路工事をそこらじゅうで見る。とてもじゃま。
3.会うは別れの始まり。

それでテーマソングは(やや懐メロの)MISIAの「つつみ込むように…」。
古いCDが見当たらず、どうしても歌詞を聴きかえしたかったので、ネットからDLして1曲購入という新体験を果たす。

国際船便用に郵便局ダンボールを購入。
午後は県庁表敬訪問。

おつかれさま

2007年03月16日 | Weblog

無事おつとめを果たし、退所しました。
実は網走でも府中でもなく、二本松で暮らしておりました。

再終週に活けた花は、コデマリ(小手毬)、ラナンキュロス、千日紅。
今なんとなく花言葉を検索してみたところ、それぞれ、「努力」「晴れやかな魅力」「変わらぬ友情」。ぴったりだったようです。


で、ほんとのとこ

2007年03月10日 | Weblog
退所まで残すところ5日である。
荷物送るための赴任先住所をもらったり、退所用のダンボール配布が始まったりしているので、いよいよだな~と感慨にふける。

で、生活の感想はどうかといえば、一言で言って
ラク
させてもらいました。

…私に集団生活があうとは思えないし、冬にスキーも行かず、ひきこもって勉強と予防注射の日々で、ストレスがたまるに違いないと思っていたのに、こはいかに。

いや、本当にラクです。通勤ラッシュもないし、残業もないし、スーパーで食材を買ったり、お風呂を掃除したり、毎日食器を洗ったり、つまり、ハードなお仕事も細々とした家事も一切なし。逆にここに来てから、普段なんとも思わずにやっていた仕事や家事がいかに神経をすり減らすものだったのかを知りました。

中国語クラスは宿題が少なかったからかもしれませんが…
でも、中国語クラスで訓練生活を振り返って語り合う(もちろん中国語ですよ~)授業では、私以外の3人のクラスメート(20代前半)は皆「自分の時間が無い!時間に余裕がなさすぎる!」という心の叫びを語っていて、「時間がたくさんあってラクでした」と答えた私は完全に浮いてしまいましたとさ。

生活班が一緒の同じ年代の姐さんに「いや~まいった。浮いちゃったよ。言わなきゃよかった」と言うと、その姐さんも「わたしも自分の時間がたくさんあってストレスをまったく感じない日々だった」とのこと。
その姐さんは勉強熱心で、毎晩夜遅くまで睡眠時間を削って勉強していたので、意外だなと思ってつっこんで聞いてみると、

「だって上司や取引先の都合で動かんくてもええし、全部自分のためにやることばかりやんか~」

同意。

「もしかしたら、うちらがストレス感じてないんは、うちらが周りにストレス与えてるからちゃうんかと思うんやけど」

うっ。そ、それは…