そよかぜ日記

写真、メモ、日常のできごと etc. 拡大できる写真も、あちこちに

アイスプラント

2010年03月21日 | 日常


新野菜の紹介です。上の写真、水をかけて水滴がいっぱいついているわけではありません。
この野菜、原産はヨーロッパ・西アジアからアフリカにかけてで、学名は Mesembryanthemum crystallinum、ハマミズナ科の植物です。
上で写真では水滴が付いているようだと書きましたが、触ってみると硬いものですので、和名は、葉の表面に氷がついているようだとして、「アイスプラント」と名付けられています。表面を拡大してみると、なかなか美しいものです。



漬物を作る時に塩を使うように、濃い塩水は植物の体から水を奪います。ですから、多くの植物では、海に近い所では根から水を吸収できず、海水を被ると地上部からも水分を奪われ、生育することができません。
しかし何種類科の植物は耐塩性を高めるしくみを持っていて、「塩生植物」と呼ばれています。
アイスプラントも塩生植物の一種で、表皮に塩嚢細胞(ブラッダー細胞)と呼ばれる細胞があり、体内に侵入した塩類を追い出し、ここに隔離しておきます。これが氷のように見えるわけです。細胞の表面は比較的丈夫で、ブヨブヨしている感じはありません。
なお、学名の種名のクリスタリナムはこれをクリスタルと見たわけです。
この塩嚢細胞は、葉の表は光合成を円滑に行うためでしょうか、あまり発達はしていないのですが、葉の裏や茎の表面には大きく膨れた塩嚢細胞を見る事ができます。下は茎を写したものです。



アイスプラントは栽培が容易で生長も早いので、植物の耐塩性研究の材料として注目されてきているのですが、最近は日本でも塩味のする新野菜として、ソルトリーフ、ソルティーナ、クリスタルリーフ、バラフ、プッチーナなどという名前で売られはじめました。
写真は佐賀大学のベンチャー企業がバラフという名前で販売しているものを使いました。ちなみに「バラフ」とはアフリカのスワヒリ語で、「水晶」や「氷」を意味するようです。
氷または水晶のように見える部分には、海水に近い成分が入っているわけですから、当然塩味がするのですが、シャキッとしていて、表面以外は水分が多く柔らかく全く癖の無い味ですので、塩辛いという印象は全くありません。