ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(1)「危なかった浮き袋」

2022年02月01日 19時13分54秒 | 日記
ちいチャンの家は、海のすぐ近くにあります。
夏になると、ちいチャンは家で水着に着替え、浮き袋を片手に海に泳ぎに行きます。
ちいチャンは、泳げるんです。3メートル。
浮き袋を、ポーンと1メートルほど先に飛ばし、海底の砂を足でキックして、飛ばした浮き袋まで
パシャパシャと泳いで、浮き袋にターッチ!
それが、ちいチャンの泳ぎの練習でした。
ある日、いつものように浮き袋を飛ばし、海底の砂をキックしてパシャパシャと浮き袋めざして泳
いでいたら、なぜだか浮き袋が、ちいチャンの泳ぐ波で、だんだんと離れで行ってしまうのです。
「まってー!まってー!」
ちいチャンは、一生懸命泳ぎます。
けれど、ちいチャンは3メートルしか泳げないので、疲れてしまいました。
(ちょっと立って休もう。)
そう思ったちいチャンは、海底に足をつけようとしました。
すると、ブクブクブク頭がすっぽり海の中に入ってしまいました。
(足がとどかない...。)
浮き袋は波に流され、だんだんと深い方へ流されていたのです。
(うきぶくろー!もうおよげないー!あしがつかないー!)
海の中でちいチャンはもがきました。
するとそこへ、ちいチャンの友達が泳いで来ました。
「どうしたの?」
「うきぶくろがとどかない!あしがつかない!」
ちいチャンの友達は泳ぎをやめて、海底に足をつけて立ちました。
ちいチャンを自分の肩につかまらせ、浅い方へ連れて行き、ちいチャンの足のつく所まで戻ると、
今度は、ちいチャンの浮き袋めざして泳ぎだしました。
「はい!浮き袋!」
戻って来た友達は笑顔で、ちいチャンの浮き袋をちいチャンに渡してくれました。
「ちいチャンは、背が小さいから足が届かなかったんだね。」
友達が立てる程の深さの所で、ちいチャンはおぼれかけたのでした。

それからは、ちいチャンは、浮き袋を飛ばして泳ぎの練習をするのをやめることにしました。
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