おばあちゃんは、左手の薬指に、
指輪をふたつしています。
ひとつの指輪は、時々外すようですが、
もうひとつの指輪は、いつもしています。
ある夜の事です。
おばあちゃんは、指に石鹸を付けて、
指輪を取ろうとしています。
見ると、おばあちゃんの指の中で、
指輪は、くびれたウエストの様になっています。
そして、薬指と中指の境目は、切り傷のように、
赤く裂けていました。
とても痛そうです。
石鹸では、指輪は取れませんでした。
すると、おばあちゃんは、奥の部屋から糸を持って来て、
糸の先を口にくわえ、指に巻き付け始めました。
指は、糸を巻くほどに細くなって行きましたが、
指の色が、青く黒くなって行きます。
それでも、おばあちゃんは、指の先まで糸を巻き、
その上を、指輪をすべらせ、やっと外すことができました。
それからは、
おばあちゃんの薬指に指輪は、
ひとつになりました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます