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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

シメノウチの種子形態

2008-09-11 | 研究ノート
・以前にも触れたことがあるが、試験地の第1苗畑前にある”シメノウチ”という看板がかかっているカエデの園芸品種は、細葉と普通葉が混生している。ずっと前から気になっていたのだが、技術スタッフの協力を得て、細葉枝と普通葉枝のそれぞれ3枝から種子60粒を採取。



・得られた種子を苗畑に播種。それぞれの枝ごとにどんな葉の子どもが得られるか・・・楽しみである。今回は、細葉と普通葉の枝についた種子の形態が違うのかどうか、各枝10粒をスキャナーで取り込んで、例によってSHAPEで解析。



・対称成分としては5つが選ばれたが、その違いは微妙だ。どうやら、第1主成分は種子の幅、第2主成分は種子と翼の大きさのバランス、のようだ。しかし、全体的に変異の幅は大きくない。第1主成分と第2主成分について、枝ごとに平均値と標準誤差のグラフを描いてみる。



・細葉を赤、普通葉を水色に塗り分けてみると、明瞭な違いがあるようにも見える(符号が違う)が、必ずのように例外があるので本当に違いがあるのかどうかは難しいところである。もし細葉と普通葉の枝が完全に異なる遺伝子型ならば、もしかすると種子の形が全然違ったりするのではないかと思ったのだが、そう簡単ではないようだ。

・今更ながら、シメノウチというのは何者かをネットで調べてみる。シメノウチはカエデの園芸品種の一つで、葉が細いのが特徴のようだ。しかし、普通葉が混じるとは書いていない、と思ったら、別の場所でも細葉と普通葉が混生するものがあるようだ。なんでも、”植物学上珍奇なもの”らしい。

・この個体の正体は一体なんだろう。”キメラ”だったりするのだろうか、思いつきで始めた研究だけど、”接ぎ木や枝変わり”を科学するという点では、意外と面白いテーマになるかも・・・。