滔々と見透かす霞とうとうと
数年前の花見の頃。
冷たい雨のそぼ降る谷中の墓地。
数人の男が一本の傘に身を寄せていた。
年の頃は五十がらみ。
少し色あせたジャンパーの背中が丸く列ぶ。
そう、男たちは顔を寄せ合うように、
全員が内側に向かってひっそりと立っていた。
雨は桜の花びらを叩く。
雨は男たちの傘を叩く。
やがて、その秘密結社の輪が少し崩れる。
ひとりが右手を隣の男に差し出す。
ワンカップ大関。
受け取った男は一口飲む。
ふうとため息をつく。
その息は白い。
雨が手を濡らす。
傘が少し傾き、
ゆっくりと輪が元に戻る。
集会は続く。
金蹴り元気
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