安倍晋三の自衛隊海外派遣恒久法制定は戦争する国になることを前提とすることだと国民に説明する必要がある

2014-12-31 08:50:22 | Weblog


 ――なぜなら、「原発安全神話」ならぬ「集団的自衛権行使安全神話」に立つことになるからに過ぎないからだ――

 安倍政権は自衛隊海外派遣を常時可能とする恒久法制定の方針と日本領海内に外国軍艦が侵入退去しない場合、首相の判断で自衛隊出動を可能とする安全保障法制制定の方針だとマスメディアが伝えいてる。

 選挙前はこういったことは国民に言わず、選挙後に言い出す。売り手側が買い手側に対して商品売買の契約前には何も言わず、いざ契約という段階になって色々と条件を出してくるようなインチキ商売さながらである。

 要するに安倍晋三は選挙に悪影響する情報は隠し、好影響な情報だけを出して国民を誘導する情報操作で選挙に臨み、まんまと成功して大勝した。

 安倍晋三らしい陰険・狡猾な選挙戦術である。

 日本領海内に外国軍艦侵入退去しない場合の首相判断による自衛隊出動は「日経電子版」が伝えているが、自衛隊海外派遣常時可能恒久法制定については次の記事から見てみる。

 《自衛隊派遣 「非戦闘地域」見直す方針》NHK NEWS WEB/2014年12月30日 7時11分) 

 これまでの自衛隊の海外派遣はその都度特別措置法を国会を通して成立させ派遣してきた。それを恒久法制定に代えて、簡単且つ迅速に自衛隊を派遣する仕組みに変えようということである。

 ミタだとか、秋子さんだとか、信子さんだとか、要望があり次第家政婦を手早く派遣するようにである。

 法案は来年の通常国会に提出する方針だという。

 それはそれでいいだろう。但し自衛隊の活動地域を2014年7月1日集団的自衛権行使閣議決定の「支援する他国が戦闘行為を行っている場所では活動を行わない」ことを前提に「非戦闘地域」等限定のこれまでの考え方を見直す方針だとしていることについては問題なしとすることはできない。

 前後相矛盾する方針のように見えるが、要するに「支援する他国が戦闘行為を行っていない戦闘地域」での活動を許可するということである。

 進行形を取り入れたということを意味する。現在進行形の戦闘地域は自衛隊の活動は不可能とするが、過去進行形の戦闘地域は自衛隊の活動を可能とするということである。

 「非戦闘地域」という概念を持ち出すと、過去の戦闘地域でも、それがわずか数日前の過去であったとしても、活動できなくなる窮屈さが生じて、それを取り除くために非戦闘地域限定を取り外すということなのだろう。現在進行形でなければ、何でもいいということなのだろう。安倍晋三が得意の最初は隠していて、後になって手の内を見せるマジックから判断して、少なくとも自衛隊の海外派遣が当たり前となっていく過程で、そういったことになるはずだ。

 問題は過去進行形の戦闘地域であったとしても、再び現在進行形の戦闘地域とならない保証はどこにもないということである。停戦協定が成立した、成立した当座は停戦は守られていたが、数日して再び衝突し、戦闘状態に入ったという例は世界中、どこにもある。

 その場合はどうするのだろう。7月1日の閣議決定を改めて見てみる。文飾は当方。

 〈政府としては、いわゆる「武力の行使との一体化」論それ自体は前提とした上で、その議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでの自衛隊の活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して、従来の「後方地域」あるいはいわゆる「非戦闘地域」といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切る枠組みではなく、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の「武力の行使と一体化」するものではないという認識を基本とした以下の考え方に立って、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進めることとする。

〈(ア)我が国の支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現場」では、支援活動は実施しない。

(イ)仮に、状況変化により、我が国が支援活動を実施している場所が「現に戦闘行為を行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する。〉――

 過去進行形が再び現在進行形となった場合、「直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する」としているが、そうそううまくいくのだろうか。自衛隊部隊が敵勢力一体の勢力と見做され、追撃を受けない保証はない。

 また、自衛隊の支援活動を「他国が『現に戦闘行為を行っている現場』ではない場所で実施する補給、輸送」等に限定しているが、補給を断つことが戦争に於ける勝利の大きな条件の一つとなっている。

 食糧の補給を断つ、武器の補給を断つ、兵士の補給を断つ。断たれた側は戦闘能力を減退させていき、兵士は戦闘意欲を喪失していく。

 当然、補給任務に関しても敵勢力と一体の勢力と見做され、そこが過去進行形の戦闘地域で尚且つ完全な非戦闘地域だろうなかろうと、補給の輸送を断つために攻撃を加えることになる。

 例え補給・輸送任務が厳密には武力行使の一体化ではなくても、敵勢力にとっては敵部隊の武力行使を支援する任務と見做され、その意味に於いて武力行使の一体化ではないとする厳密さを失う可能性も否定できない。

 そもそもからして非戦闘地域での補給・輸送を「当該他国の「武力の行使と一体化」するものではない」とすること自体無理がある。

 補給・輸送は最終的には戦闘地域に向けたものとなる。日本が集団自衛権行使によって支援する国の部隊はその補給を現在進行形の戦闘地域で受け取るか、戦闘地域を出て、非戦闘地域で受け取るか、あるいは非戦闘地域の中継基地で一旦受け取って、支援国の別の部隊が戦闘地域の味方部隊に輸送するいずれかの方法を取らなければならない。

 自衛隊側からすると、現在進行形の戦闘地域にまで輸送するか、前以て非戦闘地域で受け渡す取り決めをして、そこで受け渡すか、あるいは非戦闘地域の中継基地まで輸送するか、いずれかの方法を取ることになる。

 集団的自衛権行使容認の厳密な要件に従って非戦闘地域での受け渡しを行うことにしたとしたとしても、敵勢力は相手勢力の戦闘能力と戦闘意欲を改めて注入することになる補給の受け渡しを座視し、むざむざと見逃すだろうか。

 見逃すことは戦闘に勝利するための重要な戦術の一つを放棄することを意味するゆえに、見逃す確率は非常に低いから、そこが例え戦闘地域から離れた中継基地であったとしても、非戦闘地域が直ちに現在進行形の戦闘地域に早変わりする確率は逆に高くなる。

 当然、自衛隊は支援国の部隊と武力行使の一体化を以って敵勢力部隊との戦闘行為に入らざるを得なくなる。

 それとも、集団的自衛権行使の要件に入っていなからと言って、支援国部隊を置き去りにして自衛隊だけがその場から撤退するのだろうか。道義的に許されないだろうし、許されたとしても、敵勢力部隊の追撃を受けることになる。補給・輸送が高くつき、それを困難にする、あるいは断念させるためにである。

 結果、武力行使の一体化は回避不可能となる。

 安倍政権はこういった非戦闘地域が現在進行形の戦闘地域となった場合の武力行使一体化を想定して「非戦闘地域」の概念を見直す方針にしたのではないだろうか。

 集団的自衛権行使のための武力行使が一旦許されたなら、単なる戦闘行為が膠着状態化し、その膠着状態を打破するための支援部隊の投入、戦闘の拡大化、そして戦争状態への突入といった段階を経ない保証はない。

 この保証はアフガンやイラク、シリア、イスラム国の例を見れば、決して幻想で済ますことはできない。

 要するに集団的自衛権憲法解釈行使容認を背景とした自衛隊海外派遣恒久法制定は日本が戦争する国になるということを前提としなければならない。

 日本領海内に外国軍艦が侵入退去しない場合、首相の判断で自衛隊出動を可能とする安全保障法制制定にしても、外国軍艦がおとなしく退去する常なる保証はない。自衛隊機や自衛艦に向かって攻撃に出た場合、戦闘状態に入り、それが戦闘地域拡大という経過を辿った場合、戦争状態への突入という場面も想定可能となる。

 もし安倍晋三が日本は決して戦争をする国にはならないと断言するなら、「原発安全神話」ならぬ「集団的自衛権安全神話」に立つことになる。一旦始まった戦闘行為が抜き差しならない状況に直面することは決してないと断言することであり、戦闘が決して戦争状態に発展することはないと断言することになって、アフガンやイラク、シリア、イスラム国の抜き差しならぬ状況を現実のものではないと否定することにもなるからだ。

 こういったプロセスを想定した場合、当然、多くの自衛隊員の犠牲を覚悟しなければならない。国民の生命・安全を守る責任を負う一内閣が国民の過半数の納得を得る憲法改正に拠らずに閣議決定で集団的自衛権の行使を自ら容認し、国民である自衛隊員の生命・財産を奪ってもいいだろうか。その責任を取ることができるのだろうか。

 あくまでも国民が憲法改正を決め、国民が責任を取る形式にしなければならない。

 安倍晋三は日本を国民への説明がないままに自衛隊員の生命・財産を奪う戦争をする国にしようとしている。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする