安倍晋三のウソとゴマカシに気づかなければならない(日本記者クラブ党首討論・集団的自衛権議論)

2014-12-12 08:19:31 | Weblog

 
 昨日の深夜から今朝にかけの衆院選終盤情勢を伝えているマスコミのネット記事はどれも自民党が300議席の勢い保っているとして、民主党や維新の党は勢いを得ることができず、苦戦を敷いられているようだが、このまま雪崩れ込む情勢にあるようだ。

 安倍自民党にそんなに勝たせていいものなのかどうか、この辺で一考すべきではないだろうか。
 
 衆議院選挙公示前日12月1日(2014年)の8党首による日本記者クラブ党首討論会での安倍晋三のウソ・ゴマカシは集団的自衛権の議論にも及んでいる。今回はそのウソ・ゴマカシを見てみようと思う。

 先ず党首が党首に質問し、答弁する形式の第1部から海江田民主党代表が安倍晋三に質問したところから入る。発言の中から集団的自衛権に関する議論のみを取り上げて、他の議論は削除する。

 幸いにも文字化した記事をネットで見つけたので、質疑はそれに拠る。年寄りにはキツイ、ビデオを聞き取れない個所を何度も巻き戻したりする手間が省くことができて、誰からも貰ったことのないクリスマスプレゼントを早めに貰った感じがする。文飾は当方。

 《日本記者クラブ8党首討論会》

 海江田民主党代表集団的自衛権は、先ほども話が出ましたけれども、日本の国が攻撃されていないのにもかかわらず、やっぱり日本の国の自衛隊が他国で戦争をやるということになるわけですけれども、これと、これまで日本が国是に掲げてきました専守防衛とが、どうやって整合性がとれるのか、これは矛盾するんではないだろうかと思いますが、わかりやすく、どうして専守防衛の原理原則とこの集団的自衛権が矛盾をしないのか、お答えをいただきたいと思います」

 司会「安倍さん、最初の質問に端的に答えたうえで、1 分間で集団的自衛権をお願いしますよ」

 お前さんは本題には答えずに関係ないことを長々と喋る悪い癖があるから、手短に答えろよとは残念ながら司会は注文をつけなかった。

 安倍晋三集団的自衛権につきましては、これはわれわれ、先般、7 月1 日に閣議決定を行ったところでありまして、一部容認をいたしました。しかし、その際、われわれは厳しい3要件をつけたわけでありまして、その3要件とは、『我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること』ということがちゃんと入っているわけでございまして、事実上、先ほど山口代表が示されたように、他国のいわゆる一般的な集団的自衛権全部を認めることとは違うわけでございまして、そのままにしておきますと、まさにわが国が大変な状況になってくるという状況において行う。集団的自衛権という武力行使においては、そういう歯どめがしっかりとかかっているわけであります。

 来年、法整備を行うわけでありますが、当然、自衛隊を動かしていくときには国会の承認というのは当然必要になってくるだろうと、このように考えております」

 司会「ありがとうございました」

 一問一答形式であるために、一旦はここで打ち切りとなった。

 2部に入って、朝日新聞の星浩が山口公明党代表と安倍晋三に問い質している。

 星浩朝日新聞社特別編集委員「外交安全保障の問題に移ります。集団的自衛権について、山口さんに具体的にお伺いします。現在の安倍政権の閣議決定によりますと、例えば、戦闘中のペルシャ湾に機雷が撒かれたときに自衛隊の掃海艇はそこに出動して掃海作業ができるのか、できないのか、山口さんの見解をお伺いしたいと思います。

 山口公明党代表機雷掃海一般は、停戦やあるいはその停戦の合意、実質上の停戦等が行われれば、国際協力でやっていいことだと思います。しかし、戦闘行為として敷設されているところを取り除く、これ自体も戦闘行為とみられる状況であれば、これは慎重に考えなければいけないと思います。

 今回、閣議決定で決められたことは、先ほど申しあげた新しい3要件、つまり国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されることが明白な場合、明白な危険がある場合、こういうことですから、それに当てはまるかどうか。

 これを安倍総理あるいは内閣法制局長官ともに同じ答弁をされていらっしゃいますが、国会では、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、つまりペルシャ湾での機雷敷設ですね、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるかどうか。これは単なる経済的利益が損なわれるということだけではだめですよ、という考え方です。

 もう一つ、そのわが国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断するんだ、このように答弁されています。

 ですから、そのペルシャ湾の実際に起こる事態が、こういう閣議決定及び予算委員会の答弁、この基準に合うかどうか、これを判断していくことが重要だと思います。それに基づいた法律をこれからつくっていこうと考えているわけです」

 星浩朝日新聞社特別編集委員「一時的に石油が途絶えるということは、根底から覆る事態ですか、事態じゃありませんか」

 山口公明党代表「いま言ったような、戦禍がわが国に及ぶ蓋然性とか、わが国の国民がこうむる犠牲が深刻、重大だ、ということはなかなか簡単には言いにくいことだと思います」

 星浩朝日新聞社特別編集委員「安倍総理、その点についてはいかがでしょう。安倍総理は、石油が途絶えることは根底から覆る可能性について言及されていますけれども、いまの山口さんの考え方についていかがでしょうか」

 安倍晋三「これは個別の状況、世界的な状況で判断をしなければいけません。ホルムズ海峡が完全に封鎖をされているという状況になれば、これはもう大変なことになって、油価は相当暴騰するということを考えなければいけないわけでありますし、経済的なパニックが起こる危険性というのは世界的にあるわけでありまして、そこでこの3要件とどう当てはまるかということを判断していくことになります。3要件に当てはまる可能性は私はあるとは思います。

 ただ、同時に、先ほど山口代表がおっしゃったように、戦闘行為が行われているところに、普通、自衛隊の掃海艇は行きません。自衛隊の掃海艇というのは木でできていますから、そもそも戦闘行為が行われているところに行ったら一発でやられてしまうわけであります。そこで、通常は、停戦が完全に行われている状況で、停戦が行われた後、行きますが、しかし、事実上の停戦が行われていても、実際に停戦がなされていなければ、要するに国際法上、機雷を掃海することは集団的自衛権の行使に当たりますから、そういう状況、これはなかなか起こり得ないのですが、想定外ということは許されませんから、そういうときのために、事実上、今回閣議決定を行っている、ということであります。

 事実上、戦闘行為はほとんど行われていませんが、完全な停戦合意は国際条約として結ばれていないという状況というのはあり得るわけでありまして、数カ月間、その間も、しかし、しっかりとやっていかなければいけないという考えでありますが、当然その間、その決定するうえにおいては、3要件に適合しているかどうか、そのうえにおいてさらに国会で判断もいただくことになります」(以上)――

 山口公明党代表は、実質的に停戦が成立している場所での機雷掃海は可能だが、戦闘行為中の機雷敷設に対する掃海は戦闘行為を伴うことになるから、「慎重に考えなければいけない」と言っている。

 しかし集団的自衛権という観点から言うと、山口代表の言っていることには矛盾がある。

 集団的自衛権とは同盟国と共に戦うこと、あるいは共に戦争をすることを意味するから、実質的に停戦が成立している場所での機雷掃海集団的自衛権の論外であって、単なる国際協力に過ぎない。

 当然、このようなケースの場合、例え3要件に当てはまったとしても、集団的自衛権の行使としての機雷掃海とはならない。議論に載せること自体に矛盾が生じる。

 では、山口代表は敵国によって戦闘行為の一環としてペルシャ湾に機雷が敷設されて石油の輸送がストップして日本のみならず世界が重大な経済的被害を被る危険性が生じた場合はどう考えているかというと、「単なる経済的利益が損なわれるということだけではだめで」、「わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況あるかどうか」等、閣議決定や安倍晋三と内閣法制局長官の国会での答弁を引用して、その基準に合うかどうか判断していくことが重要だとしている。

 山口代表にしても、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」と判断された場合は戦闘行為中の機雷掃海であっても、認めるとしていることになる。

 だが、こういった問題設定自体が山口代表の場合は前の発言と矛盾することになる。なぜなら、このような問題設定は自身が「慎重に考えなければいけない」と言っている戦闘行為中の機雷掃海となるからだ。

 要は戦闘行為中であろうとなかろうと、すべては3要件が基準になるということを言っているに過ぎない。

 では、安倍晋三の議論を見てみる。

 ホルムズ海峡の完全封鎖は「3要件に当てはまる可能性は私はある」と答えている。

 但し議論の展開にウソとゴマカシを紛れ込ませている。

 山口代表と同様に完全停戦が実施されている場合は集団的自衛権行使の対象とはなり得ない。対象とするのは戦闘中か、停戦が合意されていながら、その合意が完全には守られていない準戦闘行為中を前提としなければならない。

 安倍晋三も「戦闘行為が行われているところに、普通、掃海艇は行きません」と断っている。但し「普通」と断りを入れいている。“特別”の場合は、戦闘中でも準戦闘中でも対象となり得るというわけである。そのための「閣議決定」だと。

 安倍晋三にしても山口代表と同様に、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」と判断された場合は、いわば「3要件」に当てはまると判断された場合は戦闘行為中、あるいは準戦闘行為中の機雷掃海集団的自衛権行使の対象とすることを自身の真意としているということである。

 だが、安倍晋三は自身の真意を国民に分かりやすいように正直に端的な言葉で説明はしていない。いわば明確には説明責任を果たしていない。ゴマ化そうとする意識があるからだろう。「戦闘行為が行われているところに、普通、掃海艇は行きません」と言い、「掃海艇というのは木でできていますから、そもそも戦闘行為が行われているところに行ったら一発でやられてしまうわけであります」と言って、さも戦闘行為中や準戦闘行為中の集団的自衛権行使はないかのように思わせている。

 勿論、本心は別のところにある。それも適正な判断であるかのように思わせる言葉の使い方をしている。

 「事実上、戦闘行為はほとんど行われていませんが、完全な停戦合意は国際条約として結ばれていないという状況というのはあり得るわけでありまして」という表現で戦闘行為が殆どないかのような言い振りで、実際には完全停戦合意ではない以上、機雷掃海阻止の攻撃の可能性は排除できないのだから、準戦闘行為中以外の何ものでもない状況を対象として、「3要件」に適合しているかどうかの判断と、「国会で判断もいただくことになります」との言葉遣いで国会の承認を前提に集団的自衛権行使を「しっかりとやっていく」と結論づけている。

 国会の承認にしてもクセモノである。国民の大多数が反対であったとしても、安倍自民党が衆参共に単独多数を占めていたなら、国民の反対は有効性を失って有名無実となるからだ。

 安倍晋三は普天間の辺野古移設と同様に民意に従わずに自身の意思に従って集団的自衛権の行使を行うだろう。

 準戦闘行為中だけではない。戦闘行為中であっても、国会で多数派の議席を占めていたなら、それを力として行使を可能とすることができる。

 当然、12月14日の衆院選投票日で自民党に議席を与えれば与える程、安倍晋三の集団的自衛権行使の力を増殖させて、万能に近い場所に鎮座させることになる。

 国民自らがそうさせるということである。

 だが、そう思わせないところに安倍晋三のウソとゴマカシで成り立たせた光り輝く雄弁術の存在意義がある。

 安倍晋三は「掃海艇というのは木でできていますから」と言っている。ネットで調べたところ、機雷爆破の方法の一つとして磁気を使用する場合があり、この磁気対策のために船体が鉄ではない木造船が使用されることになったようで、現在は非磁性鋼製や繊維強化プラスチック (FRP)の採用の船が広がっているということだが、例え木造船でも準戦闘中、あるは戦闘中の海域に派遣して、それを護衛する空母や駆逐艦、戦闘機を派遣して、敵の攻撃に対して防戦の撃退行為、あるいは戦争行為を行って、“立派に”集団的自衛権の行使を全うするに違いない。

 安倍晋三の軍国主義・国家主義がそう仕向ける。

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