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《6月16日(火)村上国対委員長代理、死因究明等推進基本法案衆議院与野党5党共提出 》
《6月13日(金) 鈴木克昌代表代行・幹事長 定例記者会見要旨 》
『改正国民投票法成立、解釈でなく改正を主張すべき』
【質疑要旨】
・国民投票法改正案成立を受けて
・集団的自衛権について
2012年12月26日、第2次安倍内閣が発足した。発足に当って、同日、安倍内閣の基本方針を閣議決定している。
基本方針(首相官邸HP)
〈政権交代が実現した。本日、「新しい日本」に向けた国づくりをスタートするに当たり、まずは、今回の選挙で示された、日本の現状に対する国民の強い危機感を共有し、内閣全体が緊張感を持って政権運営に当たることが必要である。
まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、東日本大震災からの復興を加速する。国自身が被災地の現場に出て、単なる「最低限の生活再建」にとどまることなく、創造と可能性の地としての「新しい東北」をつくりあげる。
特に、福島の再生を、国が前面に立ち、国の責任において実現する。東京電力福島第一原子力発電所事故による被災者の心に寄り添い、福島原発事故再生総括担当大臣を中心に各閣僚が連携して、福島の再生に全力を挙げる。〉云々――
安倍内閣は特に福島の「被災者の心に寄り添う」を内閣としての心の誓いとした。まさか口先だけのキャッチフレーズとしたわけではあるまい。
口先だけのキャッチフレーズを基本方針の冒頭に持っていったとすると、滑稽な倒錯となる。
要するに被災者の心に寄り添った福島の再生に全力を挙げることを安倍内閣の最大使命とした。
だからこそ、安倍晋三は折に触れて「福島の再生なくして日本の再生なし」と自身の口に言わしめることとなった。
「被災者の心に寄り添う」を安倍内閣の最大使命とした以上、首相以下、如何なる閣僚も違うことは許されない。
環境省が放射性廃棄物の中間貯蔵施設建設を巡って建設候補地の福島県双葉町と大熊町の住民等を対象に説明会を継続的に開き、直近では6月15日に開催した。それまでに土地や建物の買い取りに伴う補償額が具体的に示されないことに対して住民の間から不満が出ていたという。
《石原伸晃環境相「最後は金目でしょ」 中間貯蔵施設の建設めぐり》(朝日新聞デジタル/2014年06月17日 07時33分)
翌6月16日午後、石原環境相は首相官邸で菅官房長官に今後の事業日程などを報告し、その後記者の問いかけに答えた。
石原環境相「説明会が終わったから今後の日程について(長官に)話をした。最後はカネ目でしょ。(長官は)こちらが提示した(住民への補償の)金額については特に何も言っていなかった」
記事解説。〈中間貯蔵施設建設では、地元への交付金額や地権者に対する補償額が焦点になっている。石原氏の発言は、政府が地元との交渉をカネで解決する意図だと取られかねない。〉
「カネ目」発言が問題となったからだろう、同6月16日夕方、急遽記者団を集めたと記事は書いている。
石原環境相「住民説明会ではお金(補償)の話が多く出た。最後はお金の話だが、それは今は(金額を)お示しすることができないという意味で話した。お金で解決するとは一度も言ったことはないし、解決できる話ではない」――
両方の発言をつなぎ合わせると、6月15日の住民説明会では金額提示を行わなかったが、翌6月16日午後の菅官房長官に対する報告の中では金額を提示したということになる。提示に対して長官は「特に何も言っていなかった」。
被災者にしても生活がかかっている。中間貯蔵施設建設以降、周辺の土地の価値が下がらない保証はない。建設地内にしか土地を持っていなければ、国に売ってお仕舞いとすることができるが、建設地外にも土地を持っている場合、予想される値下がりに対して相殺したい気持も働くはずだ。一概に地域エゴとばかりに片付けるわけにはいかない。
大体が原発事故で散々に迷惑かけておいて、中間貯蔵施設を福島県内に建設する方がおかしい。東京都が福島第1原発発電電力の最大消費地と言うことなら、東京都内に中間貯蔵施設から最終処分施設までを建設すべきだろう。
それを東京都内に持っていかない理由が2020年に東京オリンピックを開催する都合上の政治エゴだとしたら、より問題となる。
福島県外に持っていく配慮も、住民それぞれが生活がかかっていることの配慮もせずに、「最後はお金の話だが」と、決め手は金額にあるといった意味を持たせて金額提示を後回しにする。しかも6月15日の住民説明会では金額提示をしなかったにも関わらず、翌6月16日午後には官房長官に金額を提示した。
果たして「被災者の心に寄り添う」石原官房長官の態度であり、発言であったかである。
新聞記事で知って、環境省のサイトで調べたことだが、石原環境省は発言を撤回しなかった。環境省第1会議室での6月17日午前の記者会見。
森日本テレビ記者「日本テレビの森です。『最後はカネ目でしょ』という言い方そのものに不快感を示される方も当然いると思うのですが、これに関して改めてお尋ねしますが、撤回する意思は無いということでしょうか」
石原環境相「撤回するとかそういう話ではなくて、どういう言い方で、何を聞かれたから言ったかということも正確には覚えていませんが、そういう不快な思いをされた方々に対しては心からお詫びを申し上げたいということです」――
不快な思いをした方には謝るが、「撤回するとかそういう話ではない」と、撤回する程ではないとする文脈で自身の発言を正当化している。
この正当化自体も、「被災者の心に寄り添う」安倍内閣としての心の誓いに添う発言と見ることができるかどうかである。
野党が石原環境相の「カネ目」発言を問題視して、石原環境相に対する不信任決議案を衆議院に、問責決議案を参議院に提出する動きを見せた。
この動きに対して自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長が6月18日の午前、東京都内で会談。「本人は既に釈明し、反省している」として両決議案を一致して否決する方針を確認したと、「NHK NEWS WEB」が伝えている。
安倍内閣は安倍晋三自身が音頭を取って、「被災者の心に寄り添う」を内閣としての心の誓いとした。被災者の心に寄り添った福島の再生に全力を挙げることを安倍内閣の最大使命とした。
自公は石原環境相の「カネ目」発言を「被災者の心に寄り添う」安倍内閣としての心の誓いに反しない発言と認めたことになる。
そのように認めたこと自体が「被災者の心に寄り添う」心の誓いに反しない決定とすることができるかどうかである。
もし反していたなら、石原発言と野党が提出した場合の不信任・問責両決議案与党否決は安倍晋三の 「被災者の心に寄り添う」心の誓いをウソにすることになる。
国民自身がどう判断するかである。