安倍晋三のアベノミクス格差拡大を考慮外としたG7閉幕後のブリュッセル内外記者会見発言

2014-06-07 09:37:57 | 政治




      生活の党PR

       《6月8日(日) 村上史好国会対策委員長代理『日曜討論』(NHK)出演ご案内》
   
       番組名:NHK『日曜討論』(生放送)
       日 時:平成26年6月8日(日)9:00~10:00      

 安倍晋三がベルギー・ブリュッセルでのG7=先進7カ国の首脳会議閉幕後の6月5日午後(日本時間6月5日夜)、内外記者会見を行った。

 安倍晋三「私は、やっと日本が15年ぶりにつかんだと言ってもいいデフレ脱却のチャンスを決して逃してはならないと思っています。ですから、消費税増税以降の消費動向は、毎週チェックをしています。パソコンや自動車など、駆け込み需要の反動も見られますが、他方、スーパーでは、前年比マイナス幅が縮小してきており、百貨店でも、回復傾向にあるとの声も聞かれます。

 外食産業では、むしろ売り上げは好調で前年よりもプラスになっています。夏のバカンスについても、昨年よりも旅行予約が好調に進んでいるようでありまして、消費の落ち込みは、一時的なものとなると考えています。

 また、雇用情勢は極めて重要であります。雇用情勢に目を向けますと、有効求人倍率は17カ月連続で上昇し、1.08(4月)まで回復をしました。この 水準は、実に7年9ヶ月ぶりの水準であります。また、この春から、多くの企業が賃上げを決断しました。連合の調査で、平均して、月給が2%以上上昇。10年間で最も高い水準であります。

 夏のボーナスにつきましては、経団連の調査では、昨年より8.8%上昇しています。この数字は過去30年間で最高の伸び率となっています。雇用においても賃金においても大変よい結果ででてきています。企業収益の向上が賃金に回り、消費につながっていく『経済の好循環』に向けた動きは、 途切れていないと判断しています。

 消費増税は、国の信認を維持し、世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくため、17年ぶりの政治の決断でありました。

  同時に、反動減を乗り越えるため、万全の手を打ってきた訳でありまして、5.5兆円規模の経済対策を発動中であります。成長戦略もしっかりと打ち出していきます。

 IMFからも、日本経済に関し、消費税率の影響をうまく乗り越えつつある、反動減により4~6月期に経済は縮小しますが、本年の後半には、雇用増加や賃金上昇に支えられて、経済は回復する見込み、との分析がなされていることも承知しています。

 7月から年度後半にかけて、すみやかに成長軌道に戻していきたいと思います。安倍内閣は日本経済の再生を必ず成し遂げていきます」(首相官邸HP)――   

 消費税増税後に駆け込み消費の反動減に見舞われたものの、「スーパーでは、前年比マイナス幅が縮小してきており、百貨店でも、回復傾向にあるとの声も聞か」れる、「外食産業では、むしろ売り上げは好調で前年よりもプラスになってい」る、「夏のバカンスについても、昨年よりも旅行予約が好調に進んでいる」等々宣(のたまわ)っているが、それぞれの消費の役回りを演じている所得層が上・中・下、いずれの層に所属しているのか考えない、頭の悪い安倍晋三らしい単細胞な観察となっている。

 今回の春闘のお陰で低所得層までが大幅な賃金上昇の恩恵を受けて、上昇分を心置きなく消費に回すことができる安心感のもと、富裕層や中所得層に混じってスーパーや百貨店でせっせと買い物に励み、今まで抑えていた夏のバカンスを今まで抑えていた分、その欲求不満をパーッと解消したい衝動から大盤振舞いの予約に走っている等々の現象を反映した消費動向なら問題はない。

 一部所得層に偏った消費の反映としてある安倍晋三が観察した消費動向だとしたら、いわば中低所得層が置き去りにした状態の安倍晋三の景気のいい話だとしたら、そこに格差の存在を見なければならない。

 先ず安倍晋三が言っている「有効求人倍率は17カ月連続で上昇し、1.08(4月)まで回復」と言っていることを見てみよう。

 総務省統計局が発表した2014年4月分の「労働力調査(基本集計)」によると、〈正規の職員・従業員数は3288万人。前年同月に比べ40万人の減少。非正規の職員・従業員数は1909万人。前年同月に比べ57万人の増加。〉となっている。

 この2014年4月の正規と非正規を合計した人数は5197万人。5197万に対する正規の割合は63.3%。非正規の割合は約36.7%。この割合は有効求人倍率の1.08にもほぼ反映されているはずだ。1.08がすべて正規として求人されているわけではなく、正規に対する非正規の割合で1.08は構成されているということであり、非正規の数が無視できない割合であるなら、回復した求人倍率を言うだけでは済まないことになるが、安倍晋三は数字を口にするだけで済ましている。

 最近人手不足が生じていて、非正規を正規として囲い込む傾向にあるが、企業の基本的経営戦略は人件費抑制を趣旨としている以上、正規とした非正規の給与をできるかぎり抑えるか、正規の給与を抑えてバランスを取るか、いずれかになる恐れがあり、そうなった場合、総体的に消費は抑制されることも考えなければならない。

 さて、「連合の調査で、平均して、月給が2%以上上昇。10年間で最も高い水準」だと言っていることである。

 大企業ばかりではなく、従業員300人未満の中小企業でも、賃上げ額の平均が4258円、去年の同じ時期より537円、率にして14%の増加、非正規労働者は時給の平均で11.43円増加と、これは去年より1.36円増加だと、6月4日付の「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。

 但し連合は春闘で非正規労働者は「誰もが時給1000円」の要求額を出していたはずだ。11.43円増加で1000円に届いたのかどうかは上記記事は書いてなかった。「誰もが時給1000円」の要求を出すについては、正規に見込まれる賃金上昇に対してただでさえ厳然として存在する格差が現在以上に拡大しない目標金額として算出した1000円であるはずだ。

 厚労省調査の昨年、「2013年 賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」のうちの「雇用形態別」賃金構造を見ると、年収が〈正社員・正職員314.7千円(年齢41.4歳、勤続12.9年)、正社員・正職員以外195.3千円(年齢45.5歳、勤続7.1年)〉となっている。

 正社員・正職員以外の年収195万3千円から時給を算出してみる。

 195万3千円÷12カ月=16万2750円/1カ月÷25日労働=6510円/1日÷8時間≒時給813円

 上記「NHK NEWS WEB」記事によると、中小企業非正規労働者は時給の平均で去年より1.36円プラスの11.43円の増加となているから、813円+11.43円=824.43円。雀の涙程度の上乗せ、連合要求に対する血も涙もない企業回答でしかない。

 今春闘連合要求の「誰もが時給1000円」に175.57円も不足する。しかもこの計算の主体は「年齢45.5歳、勤続7.1年」の非正規である。年齢の若い非正規はさらに「誰もが時給1000円」に遥かに届かない場所にいるはずだ。
 
 逆に「年齢45.5歳、勤続7.1年」の非正規が今春闘で「誰もが時給1000円」を獲得したとしても、年収240万円。「年齢41.4歳、勤続12.9年」の「正社員・正職員314.7千円」の年収に、安倍晋三が言っている「連合の調査で、平均して、月給が2%以上上昇」の2%を当てて計算してみると、320万9940千円。

 320万9940千円-240万円=80万9940円。

 例え非正規が「誰もが時給1000円」を獲得したとしても、正規と月換算で7万円近くの格差が出る。それが獲得できなかった。

 アベノミクス効果の円安の恩恵と消費税増税の恩恵が相まった物価上昇が時給1000円遥か以下の非正規の給与の上昇分を遥かに上回って、消費抑制の力となって働くことは誰もが考えるはずだ。

 だが、安倍晋三は考えずに消費税増税にも関わらず消費は回復しつつある、夏のバカンスも旅行予約が順調だ、有効求人倍率は17カ月連続で上昇し、1.08まで回復した、今春闘で月給が2%以上上昇した、10年間で最も高い水準だ、「『経済の好循環』に向けた動きは、 途切れていない」と、全く以ってノープロブレムなことを言っている。

 このノープロブレムは高額収入の正規社員、あるいは円安・株高で大きな利益を得た高所得層が対象であって、非正規、もしくは中低所得層は視野に入れていないことを正体としていることは誰もが否定できない事実であるはずだ。

 安倍晋三は消費活動が拡大して活発化し、日本の経済が回復軌道を上昇さえしていけば、格差拡大はさして意に介していないということである。だから、景気のいい話ができる。

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