源氏物語歌集 060
巻五 若紫 16 源氏
見ても又 逢ふ夜まれなる 夢の中に
やがて紛るる 我身ともがな
2007-0530-ysg060
Kad01-174
□・・・、なほ人に似させ給はぬを、などかなのめなる事だにうちまじり給はざりけむ、と、
つらうさへぞおぼさるる。何事をかは聞え尽くし給はむ。くらぶの山に宿も取らまほしげなれど、
あやにくなる短か夜にて、あさましうなかなかなり。 (源氏)「見ても・・・□(角文版)
巻五 若紫 16 源氏
見ても又 逢ふ夜まれなる 夢の中に
やがて紛るる 我身ともがな
2007-0530-ysg060
Kad01-174
□・・・、なほ人に似させ給はぬを、などかなのめなる事だにうちまじり給はざりけむ、と、
つらうさへぞおぼさるる。何事をかは聞え尽くし給はむ。くらぶの山に宿も取らまほしげなれど、
あやにくなる短か夜にて、あさましうなかなかなり。 (源氏)「見ても・・・□(角文版)
源氏物語歌集 059
巻五 若紫 15 尼君
汲みそめて 悔しと聞きし 山の井の
浅きながらや 影を見るべき
2007-0529-ysg059
Kad01-173
□・・・なるらむ」 御返し (尼君)「汲みそめて・・・見るべき」 惟光も同じ事を聞ゆ。
「このわづらひ給ふ事よろしくは、この頃過ぐして、
京の殿に渡り給ひてなむ聞えさすべき」とあるを、心もとなうおぼす。□(角文版)
巻五 若紫 15 尼君
汲みそめて 悔しと聞きし 山の井の
浅きながらや 影を見るべき
2007-0529-ysg059
Kad01-173
□・・・なるらむ」 御返し (尼君)「汲みそめて・・・見るべき」 惟光も同じ事を聞ゆ。
「このわづらひ給ふ事よろしくは、この頃過ぐして、
京の殿に渡り給ひてなむ聞えさすべき」とあるを、心もとなうおぼす。□(角文版)
源氏物語歌集 058
巻五 若紫 14 源氏
浅香山 あさくも人を 思はぬに
など山の井の かけはなるらむ
2007-0528-ysg058
Kad01-172
□・・・、つきづきしう言ひ続くれど、いとわりなき御程を、いかにおぼすにかと、
ゆゆしうなむ、誰も誰も思しける。御文にも、いとねんごろに書い給ひて、例の中に、
(源氏)「かの御放ち書なむ、なほ見給へまほしき」とて、 (源氏)「浅香山・・・□(角文版)
巻五 若紫 14 源氏
浅香山 あさくも人を 思はぬに
など山の井の かけはなるらむ
2007-0528-ysg058
Kad01-172
□・・・、つきづきしう言ひ続くれど、いとわりなき御程を、いかにおぼすにかと、
ゆゆしうなむ、誰も誰も思しける。御文にも、いとねんごろに書い給ひて、例の中に、
(源氏)「かの御放ち書なむ、なほ見給へまほしき」とて、 (源氏)「浅香山・・・□(角文版)
源氏物語歌集 057
巻五 若紫 13 尼君
嵐吹く 尾上の桜 散らぬ間を
心とめける ほどのはかなさ
2007-0527-ysg057
Kad01-172
□(尼君)「ゆくての御事は、なほざりにも思ひ給へなされしを、ふりはべさせ給へるに、
聞えさせむ方なくなむ。まだ難波津をだに、はかばかしう続け侍らざめれば、
かひなくなむ。さても、 嵐吹く・・・はかなさ いとどうしろめたう」とあり。□(角文版)
巻五 若紫 13 尼君
嵐吹く 尾上の桜 散らぬ間を
心とめける ほどのはかなさ
2007-0527-ysg057
Kad01-172
□(尼君)「ゆくての御事は、なほざりにも思ひ給へなされしを、ふりはべさせ給へるに、
聞えさせむ方なくなむ。まだ難波津をだに、はかばかしう続け侍らざめれば、
かひなくなむ。さても、 嵐吹く・・・はかなさ いとどうしろめたう」とあり。□(角文版)
源氏物語歌集 056
巻五 若紫 12 源氏
面影は 身をも離れず 山桜
心のかぎり とめて来しかど
2007-0526-ysg056
Kad01-171
□(源氏)「もてはなれたりし御気色のつつましさに、思ひ給ふる様をも、
えあらはしはて侍らずなりしをなむ。かばかり聞ゆるにても、
巻五 若紫 12 源氏
面影は 身をも離れず 山桜
心のかぎり とめて来しかど
2007-0526-ysg056
Kad01-171
□(源氏)「もてはなれたりし御気色のつつましさに、思ひ給ふる様をも、
えあらはしはて侍らずなりしをなむ。かばかり聞ゆるにても、
おしなべたらぬ志のほどを御覧じ知らば、いかに嬉しう」などあり。□(角文版)
源氏物語歌集 055
巻五 若紫 11 尼君
まことにや 花のあたりは 立ち憂きと
霞むる空の 気色をも見む
2007-0525-ysg055
Kad01-167
□・・・わづらふ」 御返し (尼君)「まことにや・・・をも見む」 と、
よしある手のいとあてなるを、うち捨て書い給へり。 御車に奉る程、大殿より、
(人人)「いづちともなくておはしおはしましにける事」とて、御迎への人人、・・・□(角文版)
巻五 若紫 11 尼君
まことにや 花のあたりは 立ち憂きと
霞むる空の 気色をも見む
2007-0525-ysg055
Kad01-167
□・・・わづらふ」 御返し (尼君)「まことにや・・・をも見む」 と、
よしある手のいとあてなるを、うち捨て書い給へり。 御車に奉る程、大殿より、
(人人)「いづちともなくておはしおはしましにける事」とて、御迎への人人、・・・□(角文版)
源氏物語歌集 054
巻五 若紫 10 源氏
夕まぐれ ほのかに花の 色を見て
けさは霞の 立ちぞわづらふ
2007-0524-ysg054
Kad01-167
□・・・、(尼君)「ともかうも唯今は、聞えむかたなし。もし御心ざしあらば、
いま四五年を過ぐしてこそは、ともかうも」と宣へば、さなむ、と、同じさまにのみあるを、
ほいなしとおぼす。御消息、僧都のもとなる小さき童して、 (源氏)「夕まぐれ・・・□(角文版)
巻五 若紫 10 源氏
夕まぐれ ほのかに花の 色を見て
けさは霞の 立ちぞわづらふ
2007-0524-ysg054
Kad01-167
□・・・、(尼君)「ともかうも唯今は、聞えむかたなし。もし御心ざしあらば、
いま四五年を過ぐしてこそは、ともかうも」と宣へば、さなむ、と、同じさまにのみあるを、
ほいなしとおぼす。御消息、僧都のもとなる小さき童して、 (源氏)「夕まぐれ・・・□(角文版)
源氏物語歌集 053
巻五 若紫 09 聖
奥山の 松のとぼそを まれに開けて
まだ見ぬ花の 顔を見るかな
2007-0523-ysg053
Kad01-166
□・・・顔を見るかな」 と、うち泣きて見奉る。ひじり、御まもりに独鈷奉る。見、給ひて、
僧都、聖徳太子の百済より得給ひける金剛子の数珠の、玉の装束したる、
やがてその国より入れたる箱の唐めいたるを、透きたる袋に入れて、・・・□(角文版)
巻五 若紫 09 聖
奥山の 松のとぼそを まれに開けて
まだ見ぬ花の 顔を見るかな
2007-0523-ysg053
Kad01-166
□・・・顔を見るかな」 と、うち泣きて見奉る。ひじり、御まもりに独鈷奉る。見、給ひて、
僧都、聖徳太子の百済より得給ひける金剛子の数珠の、玉の装束したる、
やがてその国より入れたる箱の唐めいたるを、透きたる袋に入れて、・・・□(角文版)
源氏物語歌集 052
巻五 若紫 08 僧都
優曇華の 花待ち得たる 心地して
深山桜に 目こそ移らね
2007-0522-ysg052
Kad01-166
□・・・見るべく」 と宣ふ御もてなし、声づかひさへ、目もあやなるに、 (僧都)
「優曇華の・・・移らね」 と聞え給へば、ほほゑみて、(源氏)「時ありて一度開くなるは、
難かなるものを」と宣ふ。ひじり、御かはらけ賜りて、 (聖)「奥山の・・・□(角文版)
巻五 若紫 08 僧都
優曇華の 花待ち得たる 心地して
深山桜に 目こそ移らね
2007-0522-ysg052
Kad01-166
□・・・見るべく」 と宣ふ御もてなし、声づかひさへ、目もあやなるに、 (僧都)
「優曇華の・・・移らね」 と聞え給へば、ほほゑみて、(源氏)「時ありて一度開くなるは、
難かなるものを」と宣ふ。ひじり、御かはらけ賜りて、 (聖)「奥山の・・・□(角文版)