巻十三 明石 14 源氏
しほしほと 先づぞ泣かるる かりそめの
みるめはあまの すさびなれども
2007-1130-ysg230
Kad03-090
□・・・、またあやしうものはかなき夢をこそ見侍りしか。
かう聞ゆる問はず語りに、隔てなき心の程は思し合はせよ。誓ひしことも」
など書きて、 (源氏)「何事につけても、 しほ・・・ども」・・・□
源氏物語歌集 228
巻十三 明石 12 源氏
むつごとを 語りあはせむ 人もがな
憂き世の夢も なかばさむやと
2007-1128-ysg228
Kad03-088
□・・・、筝の琴のひき鳴らされたるも、けはひしどけなく、
うちとけながら掻きまさぐりけるほど見えてをかしければ、
(源氏)「この聞きならしたる琴をさへや」など、よろづに宣ふ。(源氏)「むつ・・・□
源氏物語歌集 227
巻十三 明石 11 源氏
秋の夜の つきげの駒よ わがこふる
雲居をかけれ 時のまも見む
2007-1127-ysg227
Kad03-087
□道の程も、四方の浦々見渡し給ひて、思ふどち見まほしき入江の月影にも、
先づ恋しき人の御事を思ひ出で聞え給ふに、やがて馬引き過ぎておもむきぬべく思す。
(源氏)「秋の・・・見む」 と、うちひとりごたれ給ふ。□
源氏物語歌集 226
巻十三 明石 10 娘
思ふらむ 心のほどや やよいかに
まだ見ぬ人の 聞きか悩まむ
2007-1126-ysg226
Kad03-083
□・・・、いみじうかひなければ、なかなか、世にあるものと尋ね知り給ふにつけて、
涙ぐまれて、さらに例の動なきを、せめて言はれて、浅からずしめたる紫の紙に、
墨つき濃く薄くまぎらはして、 (娘)「思ふ・・・まむ」□
源氏物語歌集 225
巻十三 明石 09 源氏
いぶせくも 心にものを なやむかな
やよやいかにと 問ふ人もなみ
2007-1125-ysg225
Kad03-083
□陸奥国紙に、いたう古めきたれど、書きざまよしばみたり。「げにも好きたるかな」と、
めざましう見給ふ。御使に、なべてならぬ玉裳などかづけたり。
またの日、(源氏)「宣旨書きは、見知らずなむ」とて、(源氏)「いぶ・・・□
源氏物語歌集 223
巻十三 明石 07 源氏
をちこちも 知らぬ雲居に ながめわび
かすめし宿の 梢をぞとふ
2007-1123-ysg223
Kad03-082
□心恥づかしき様なめるも、なかなかかかる物の隅にぞ思ひの外なる事も篭るべかめると、
心づかひし給ひて、高麗の胡桃色の紙に、えならず引きつくろひて、
(源氏)「をち・・・とふ 思ふには」 とばかりやありけむ。□
源氏物語歌集 222
巻十三 明石 06 源氏
旅衣 うらがなしさに あかしかね
草のまくらは 夢もむすばず
2007-1122-ysg222
Kad03-081
□まして年月思ひ給へわたるいぶせさを、おしはからせ給へ」と聞ゆるけはひ、
うちわななきたれど、さすがにゆゑなからず。(源氏)「されど、
浦なれ給へらむ人は」とて、 (源氏)「旅・・・むすばず」・・・□