源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

20朝顔13 なき人を

2008年03月10日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 320
巻二十 朝顔 13 源氏

    なき人を したふ心に まかせても
    かげ見ぬみつの 瀬にやまどはむ


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Kad04-068

□内にも、御心の鬼に思す所やあらむ、と思しつつむ程に、
阿弥陀ほとけを心にかけて、念じ奉り給ふ。おなじ蓮にとこそは、
(源氏)「なき・・・はむ」 と思すぞ憂かりける、とや。□

20朝顔12 とけて寝ぬ

2008年03月09日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 319
巻二十 朝顔 12 源氏

    とけて寝ぬ 寝ざめ寂しき 冬の夜に
    むすぼほれつる 夢の短かさ


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□今もいみじく濡らし添へ給ふ。
女君、いかなる事にかと思すに、うちもみじろがで臥し給へり。
(源氏)「とけ・・・かさ」□

20朝顔11 かきつめて

2008年03月08日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 318
巻二十 朝顔 11 源氏

    かきつめて むかし恋しき 雪もよに
    あはれをそふる をしのうきねか


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□かんざしおもやうの、恋ひきこゆる人のおもかげに、ふとおぼえて、
めでたければ、いささか分くる御心もとりかさねつべし。
鴛鴦のうち鳴きたるに、 (源氏)「かき・・・ねか」□

20朝顔10 こほりとぢ

2008年03月07日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 317
巻二十 朝顔 10 紫

    こほりとぢ 石間の水は ゆきなやみ
    空すむ月の かげぞながるる


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□月いよいよ澄みて、静かに面白し。女君、
(紫)「こほ・・・るる」
外を見出して、すこし傾き給へる程、似る物なくうつくしげなり。□

20朝顔09 あらためて

2008年03月06日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 316
巻二十 朝顔 09 朝顔

    あらためて 何かは見えむ 人のうへに
    かかりと聞きし 心がはりを


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Kad04-061

□・・・、げにかたはらいたしと、人々、例の、聞ゆ。
(朝顔)「あら・・・りを
昔にかはることは習はずなむ」と聞え給へり。□

20朝顔08 つれなさを

2008年03月05日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 315
巻二十 朝顔 08 源氏

    つれなさを むかしにこりぬ 心こそ
    人のつらきに 添へてつらけれ


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Kad04-060

□夜もいたう更け行くに、風のけはひ烈しくて、
まことにいともの心細くおぼゆれば、
さまよき程におしのごひ給ひて、 (源氏)「つれ・・・けれ ・・・□

20朝顔07 身をかへて

2008年03月04日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 314
巻二十 朝顔 07 源氏

    身をかへて 後も待ち見よ この世にて
    親を忘るる 例ありやと


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Kad04-059

□・・・、うとましくて、 (源氏)「身を・・・やと たのもしき契りぞや。
今のどかにぞ聞えさすべき」とて立ち給はぬ。 西面には御格子まゐりたれど、
いとひ聞え顔ならむも如何とて、一間二間はおろさず。□

20朝顔06 年ふれど

2008年03月03日 | 17絵合~20朝顔
源氏物語歌集 313
巻二十 朝顔 06 典侍

    年ふれど このちぎりこそ 忘られぬ
    親の親とか いひし一言


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Kad04-059

□・・・、生きとまりて、のどやかに行ひをもうちして過ぐしけるは、
なほすべて定めなき世なり、と思すに、ものあはれなる御気色を、
心ときめきに思ひて、若やぐ。 (典侍)「年ふ・・・一言」 ・・・□

20朝顔05 いつのまに

2008年03月02日 | 17絵合~20朝顔

源氏物語歌集 312
巻二十 朝顔 05 源氏

    いつのまに よもぎがもとと むすぼほれ
    雪ふる里と 荒れし垣根ぞ


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Kad04-058

□・・・、三十年のあなたにもなりにける世かな、かかるを見つつ、
かりそめの宿をえ思ひ捨てず、木草の色にも心を移すよ、と思し知らるる。
口ずさびに、 (源氏)「いつ・・・根ぞ」 やや久しうひこじらひ開けて入り給ふ。□


20朝顔04 秋はてて

2008年03月01日 | 17絵合~20朝顔

源氏物語歌集 311
巻二十 朝顔 04 朝顔

    秋はてて 霧のまがきに むすぼほれ
    あるかなきかに うつるあさがほ


2008-0301-ysg311
Kad04-054

□おとなびたる御文の心ばへに、「おぼつかなからむも、
見知らぬやうにや」と思し、人々も御硯とりまかなひて聞ゆれば、
(朝顔)「秋は・・・がほ 似つかはしき御よそへにつけても、露けく」 ・・・□